私の場合、20代の頃から今まで、映画の配給、宣伝の仕事をたくさんしてきた。最近では、オンライン試写と言って、ネットでの試写で映画を見せることができるようになったが、それまでは、ずっと東京都内を中心とした試写室という割と小さな空間で、マスコミ関係者に対して試写を行い、そこで見てくれた方々にお願いして、記事を書いてもらったり、番組で放送をしてもらったりしていた。
今回も、オンライン試写と並行して、実際に試写室を借りてのマスコミ試写を行った。先日はその最終試写を行なって、満席となるほどの多くの方にご来場いただいた。何といっても、配給、宣伝マンとしては古株であっても、監督としては新人。ただでさえ、どなたが来てくれるのだろうか? 見る方が少なかったらどうなるのだろうと、そわそわするもの。今回は、別に宣伝担当にお願いしている会社があるのだが、こちらのそわそわの度合が違う。
試写の前に、皆さんの前で、試写される映画の公開情報や上映時間を話す「前説」というのがある。私は、百回以上やったと思うのだが、それでも毎回緊張する。今回、監督が試写にも立ち合っている体で、前説の前に監督の私から一言挨拶をさせてもらった。
「還暦で監督になりました西田です。この映画、まだあまり手応えを感じていません。ご覧になりましたら、何でもいいので、SNSやブログなどでも書いて下さい」
で、前説は宣伝担当の若者に託して引き下がった。
さて、試写の反応は?
何人かの方には呼び止められて、感想を語って下さったり、ここの設定はなんぞや? など質問をもらったりした。宣伝担当やプロデューサーであっても、試写の後に質問を受けたりすることもあるが、なんといっても、このへん、監督となると違うものだ。
こういうことにも、監督になったという実感が現れるものだと思った。
写真:松原智美(『また逢いましょう』音楽 アコーディオン奏者)
以下、『また逢いましょう』クラウドファンディングページより特報等もご覧いただけます。