NYのジャパンソサエティでは、「The Other Japanese New Wave: Radical Films from 1958-61」と題して、2019年4月5日より27日まで、1958年から61年に絞り込んだ日本のニューウェーブ映画として吉田喜重、蔵原唯繕などの11作品の特集上映が開催されます。
日本の映画の歴史の中で、同時期に登場してきた大島渚、篠田正浩監督などが国際的な評価を得た中で、特にこの年代に焦点をあて、そのほかの作家、作品などを再検証する企画となっています。

これらの作品は、日本の映画評論家で「アンダーグラウンド・フィルム・アーカイブス」などの著作で知られる平沢剛氏のキュレーションによるもの。

同時に3月24日より、大学の有する映画アーカイブ機関としては世界最高峰のハーバード・フィルム・アーカイブでも同企画上映がおこなわれており、ハーバード・フィルム・アーカイブからは企画の補完的な作品として羽仁進監督を大きく取り上げ『不良少年』(61年)『充たされた生活』(62年)『初恋・地獄篇』(68年)の3本の作品も合わせて紹介されました。

以下ジャパンソサエティでの予告とセレクションされた作品となります。

「The Other Japanese New Wave: Radical Films from 1958-61」予告

画像: The Other Japanese New Wave: Radical Films from 1958-61 youtu.be

The Other Japanese New Wave: Radical Films from 1958-61

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上映作品

『ろくでなし』(1960年)吉田喜重
 Good-for-Nothing

大島渚や篠田正浩らとともに松竹ヌーヴェルヴァーグの旗手として活躍した吉田喜重監督の長編デビュー作。

津川雅彦、川津祐介などが出演。

『狂熱の果て』(1961年) 山際永三
 The End of Love

石井輝男監督らに師事した山際永三の監督デビュー作。
当時の六本木族の無軌道な青春を描く。星輝美、松原緑郎のほか若かりし藤木孝が出演。

画像: kobe-eiga.net
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『われらの時代』(1959年)蔵原唯繕
 The Age of Our Own

大江健三郎の自伝的な書き下し長篇から、「銀座のお姐ちゃん」の白坂依志夫が脚本を書き、滝沢英輔、中平康、鈴木清順らの助監督を務めていた蔵原唯繕が監督。
その後、「銀座の恋の物語」『キタキツネ物語』『青春の門』『南極物語』などのヒットメーカーとなった監督の初期作。
時代の若者の閉塞感と無力感を見事に捉えて、だらしなく生きて行く、希望のない若者たちの「われらの時代」を描く。
出演は、小泉静夫、長門裕之、吉行和子、渡辺美佐子。

『狂熱の季節』 (1960年) 蔵原唯繕
 The Warped Ones

「われらの時代』と同じく蔵原唯繕監督作品。インテリ族とビート族と、二組の若い男女の対比の裡に、虚しく燃焼する現代青春の狂態を鋭い感覚で描破する異色の問題作。
出演は、川地民夫、郷えい治、長門裕之など。

画像: "The Warped Ones" by Koreyoshi Kurahara - scene 2 youtu.be

"The Warped Ones" by Koreyoshi Kurahara - scene 2

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『血は渇いてる』 (1960年)吉田喜重
 Blood is Dry

『ろくでなし』に続いて発表された吉田喜重監督の長編第2作。
大島渚監督のあの「日本の夜と霧」とともに同時2本立てで封切られた作品。
自らの脚本を監督したもので、マスコミの機構とマスコミが作りあげた英雄を描く。
増村保造監督の『巨人と玩具』とも時代のせいか類似を言われている作品。
佐田啓二、三上真一郎、芳村真理、岩崎加根子等が出演。

画像: 「血は渇いてる」(公開年月日 1960年10月09日) 予告篇 youtu.be

「血は渇いてる」(公開年月日 1960年10月09日) 予告篇

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『悪人志願』(1960年)田村孟
 The Samurai Vagabonds

大島渚監督との共同脚本の『新宿泥棒日記』『絞死刑』『少年』『儀式』や、そして『青春の殺人者』『瀬戸内少年野球団』などの脚本家として有名な田村孟の唯一の監督作。
ある地方の小都市の荒涼とした風物を背景にした、三人の男女の物語。
脚本は田村孟・成田孝雄。

出演は、炎加世子、津川雅彦、渡辺文雄など。

『武士道無残』(1960年) 森川英太朗
 The Tragedy of Bushido

「松竹時代劇ヌーベルバーグ第一弾」として企画された作品。
武士道の美名のもと、主君への殉死を命じられた若者に、生きることを望む兄嫁が、自ら肌をゆるして「反逆の性」を突出させるという時代劇のタブーに真っ向から挑んだ作品。
また、森川英太朗監督の唯一の長編映画。

出演は、森美樹、高千穂ひづる、山下洵一郎、渡辺文雄など

『彼女だけが知っている』(1960年)高橋治
 Only She Knows

高橋治の第一回監督作品で、脚本は高橋治と助監督の田村孟。
高橋監督は、小津安二郎監督の『東京物語』に助監督として関わった後に松竹ヌーベルバーグの一員として、吉田喜重、大島渚、篠田正浩と一緒に映画作りをした。
2014年第71回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門で上映。
高橋は1965年松竹を退社後は、作家として活動し1983年 釣師の世界を描いた、『秘伝』で第90回直木賞受賞している。

出演は笠智衆、水戸光子、小山明子、渡辺文雄など

以上の長編8作品に加え、日本大学芸術学部映画研究会の最初の作品と言われる平野克己、康浩郎などの監督たちによる『釘と靴下の対話』や野田真吉監督『忘れられた土地』、松本俊夫監督『安保条約』短編三本を加えた特集上映となっている。

ジャパン・ソサエティ詳細は下記より

https://www.japansociety.org/page/programs/film/the-other-japanese-new-wave

ハーバード・フィルム・アーカイブは下記より

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