4月7日まで東京都美術館において、「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」が開催されています。
カバー画像:曽我蕭白 《雪山童子図》 紙本着色 一幅 169.8×124.8cm 明和元年(1764)頃 三重・継松寺
美術史家・辻惟雄氏(1932〜)が、今から半世紀近く前の1970年に著した『奇想の系譜』。そこに紹介されたのは、それまでまとまって書籍や展覧会で紹介されたことがない、因襲の殻を打ち破り意表を突く、自由で斬新な発想で、非日常的な世界に誘われる絵画の数々でした。それから半世紀近くたった現在では、かつては江戸時代絵画史の傍流とされてきた画家たちが、その現代に通じる革新性によって熱狂的ともいえる人気を集めています。
本展では『奇想の系譜』で取り上げられた6名の画家、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳の他に白隠慧鶴、鈴木其一を加えました。
8名それぞれの画家の作品を厳選し、近年の「若冲ブーム」、「江戸絵画ブーム」、ひいては「日本美術ブーム」の実相をご存じの方にも、またこの展覧会ではじめて魅力的な作品に出会うことになる方にも、満足していただける内容を目指しました。現代の私たちの目を通して、新たな「奇想の系譜」を発信することで、豊かな想像力、奇想天外な発想に満ちた江戸絵画の新たな魅力を紹介します。
本展のみどころ
1 江戸時代の奇想画家8名の代表作が勢揃い!
岩佐又兵衛、狩野山雪、白隠慧鶴、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、鈴木其一、歌川国芳。自由で斬新な個性を発揮した画家の系譜をたどります。
2 新発見、初公開の作品に注目
若冲《梔子(くちなし)雄鶏図》《鶏図押絵貼屏風》や芦雪《猿猴弄柿(えんこうろうし)図》など、新発見や初公開の作品が出品されます。
3 海外からの出品も多数、そして初の里帰り作品も
著名なプライス・コレクションから若冲、芦雪、其一の優品が出品されます。
そして米国・キャサリン&トーマス・エドソンコレクションより、其一の《百鳥百獣図》が初の里帰りを果たします。
出品作家紹介
伊藤若冲
この《紫陽花双鶏図》で若冲は、2種類の群青を使いわけた紫陽花と、実際に飼い、観察し尽くした雄雌の鶏を描いています。「動植綵絵」に類似する作がありますが、本作が先行しています。プライス氏は1960年代にこの作品を購入しました。
《象と鯨図屛風》には、うずくまり鼻を高々と上げる象と海上に胴を出して勢いよく潮を吹く鯨が描かれています。陸の王者と海の王者が、互いにエールを交換しているようです。近年、北陸の旧家から見出され、MIHO MUSEUMが収蔵するところとなりました。
《梔子雄鶏図》は、本展に向けた調査において見出された作品で、昭和2年まで東本願寺大谷家に所蔵されていました。いくぶんためらいが見られる画風、淡白な色彩、落款の書体などから、30歳代の希少な初期作と思われます。
曽我蕭白
《群仙図屏風》は、六曲一双屏風にそれぞれ4人ずつ、合わせて8人の謎めいた仙人が配されています。墨を基調とし、けばけばしい着色を施したサイケデリックな画面がすさまじい不協和音をつくり出しています。この奇怪な作品との出会いが、辻惟雄氏が『奇想の系譜』を執筆するひとつの契機となりました。
白隠慧鶴
《達磨図》、通称「朱達磨」。画風から最晩年の作と推定されます。80歳を超えて縦2メートル近くあるこんな大作を描き出す白隠の面目躍如。下書きの線をそのまま残したり、何度も線を引き重ねるなど従来の筆法をくつがえす表現が斬新です。
鈴木其一
《百鳥百獣図》はアメリカからはじめて里帰りする、其一の奇想を代表する作です。細密きわまりない筆致で、さまざまな鳥と獣を描き出します。ありとあらゆる生き物を描き出そうとする構想は、若冲から感化された可能性が高いです。
狩野山雪
《梅花遊禽図襖》では、一本の老梅の幹がコの字形に屈折し、さらに激しい屈曲を繰り返して左方に伸びています。幹には赤白の蔦がからみ、一羽の小鳥が宿ります。枝にまばらな梅の花、背地にはすべて金箔を張り詰める襖絵。山雪の冷徹な形態感覚を象徴する作です。
歌川国芳
《宮本武蔵の鯨退治》は江戸時代初期の剣客・宮本武蔵の鯨退治伝説をもとに、三枚続の画面いっぱいに大鯨を配した大胆な構図。「武者絵の国芳」を象徴する作品です。
奇想の系譜×パルコ
グッズにも見所があります。
「パルコ」4ブランド mintdesigns(ミントデザインズ)、STOF(ストフ)、IKUMI(イクミ)、toumei(トウメイ)とのオリジナリティあふれるコラボ商品を本展特設ショップで販売しています。どれもが奇想天外な発想に満ちた江戸絵画の特徴を活かした商品です。またとない江戸絵画とのコラボレーションを、この機会に是非お楽しみください。
江戸時代のとんでもなくアバンギャルドな奇想の絵師たちが東京都美術館に集結しているこの展示。美術ファンなら見逃せません。ぜひ、ミラクルワールドを体験しに行きましょう。
開催概要
展覧会名:奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド
会期:開催中〜4月7日(日)
*3月20日(水)はシルバーデーにより65歳以上の方は無料(要証明)。
そのため混雑が予想されます。
会場:東京都美術館
〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
開室時間:9:30~17:30
※金曜日、3月23日(土)、3月30日(土)、4月6日(土)は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
休室日:月曜
※ただし、4月1日(月)は開室
主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、日本経済新聞社、NHK、
NHKプロモーション
共催:朝日新聞社
協賛:凸版印刷、 トヨタ自動車、 三井物産
協力:日本航空
企画協力:浅野研究所
公式サイト:https://kisou2019.jp
お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
観覧料 当日券 団体券
一般 1,600円 1,400円
大学生・専門学校生 1,300円 1,100円
高校生 800円 600円
65歳以上 1,000円 800円
※ 団体は20名以上
※ 中学生以下は無料
※ 身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・ 精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
※ 毎月第3土・翌日曜日は家族ふれあいの日により、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2名まで)は一般当日料金の半額
※ 都内の小学・中学・高校生ならびにこれに準ずる者とその引率の教員が学校教育活動として観覧するときは無料(事前申請が必要)
※ いずれも証明できるものをご持参ください
※ チケットの変更・払戻・再発行は致しません
※ 今後の諸事情により、開室日、開室時間等を変更する場合がございます。
※ 駐車場はございませんので、車でのご来場はご遠慮ください
※会期中に一部展示替えがあります。
出品作品や展示期間は変更になる可能性があります。
新・北斎×奇想の系譜セット券
「新・北斎展」と「奇想の系譜展」、ふたつの展覧会が開幕後も一般前売料金で楽しめるお得なセット券です。各展の会期中、各展を1回ずつご観覧いただけます。販売価格:2,800円(税込) 各1,400円×2枚発券 新・北斎展1枚と奇想の系譜展1枚
販売期間:2019年3月24日(日)まで
取扱先:公式オンラインチケット、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット
「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」
開催期間:開催中~2019年3月24日(日)
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 森タワー52階)
公式サイト: https://hokusai2019.jp
cinefil 読者チケットプレゼント
下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」プレゼント係宛てにメールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。
☆応募先メールアドレス info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2019年3月3日 24:00 日曜日
記載内容
1、氏名
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
当選無効となります。
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