12月22日よりシネスイッチ銀座にて公開するアルゼンチンのパブロ・ソラルス監督『家へ帰ろう』

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスに住む88歳の仕立屋アブラハムが、ブエノスアイレスからマドリッド、パリを経由して故郷ポーランドに住む70年以上会っていない親友に、最後に仕立てたスーツを届ける旅に出るロードムービーです。

監督・脚本を手掛けたパブロ・ソラルス自身がユダヤ人で、ホロコースト体験者だった祖父の家では「ポーランド」という言葉を発することすらタブーであったことから本作の着想を得、自身のアイデンティティーを確立させるために避けて通れないテーマをユーモアと軽やかさを交えながら結実させた感動作だ。

画像1: © 2016 HERNÁNDEZ y FERNÁNDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A

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世界の映画祭で観客賞8冠の心温まるロードムービ-

主人公のアブラハムを『タンゴ』(カルロス・サウラ監督)で知られるミゲル・アンヘル・ソラが演じ、『欲望のあいまいな対象』(ルイス・ブニュエル監督)のアンヘラ・モリーナがマドリッドの宿の女主人を演じる。

ともに自国では知らない人はいない伝説的俳優として名をはせる二人だが、共演は初めて。
ミゲル演じるアブラハム、そしてアンヘラ演じる女主人ともに人生の酸いも甘いもかみ分けた大人の魅力全開の特別映像を解禁いたします。

宿泊費を安く抑えたいアブラハムと割引くつもりのないゴンザレス。アブラハムの熟練の口説き文句もなんのその。その理由は・・・・。バーでのやり取り、ゴンザレスは自分の結婚離婚を繰り返した人生をアブラハムに話します。
「夫は3人、1人目は私と子供2人を捨てた。7年も探したわ」「7年目に現れたのか?」「2人目がね」とサラリ。愛に揺れた激動の人生を堂々と語るゴンザレスにアブラハムもうなずくしかない…。

また、アブラハムが店内の客の女性の視線に応えているとゴンザレスが笑いながら「連れは私よ」と主張。アブラハムは「無視したら失礼じゃないか」と応戦。ラテン男女のいつまでも愛とともに生きる粋な会話が映画全体にも軽やかなテンポを与える、ユーモアあふれる場面。

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ミゲルは68歳(今回は88歳という役柄のため老けメイクを敢行)、アンヘラは63歳。
年齢を重ねても今だ現役、恋愛の機微を感じさせる、ベテラン俳優同士の演技合戦。
大人の会話劇を存分に楽しめる特別映像となっています。

大人の会話劇に魅了される『家へ帰ろう』本編映像&予告

画像: 大人の会話劇に魅了される『家へ帰ろう』本編映像 youtu.be

大人の会話劇に魅了される『家へ帰ろう』本編映像

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パブロ・ソラルス監督インタビュー

●キャスティングについて

Q.アブラハム役を演じたミゲル・アンヘル・ソラさんは、長い時間かけて特殊な老けメイクをしてあの役を演じられたそうですね? 本来の彼の写真を見て驚きました。もちろん、メイクだけでなく、彼自身の演技が素晴らしかったのですが。

A.はい。メイクはほんの一部であって、キーは彼の声やしゃべり方、アクセントなどでした。彼は映画の中で、実際とは異なるアクセントのスペイン語で話しています。
それらすべてを完璧にこなす彼を演出するのは、天才にアドバイスしているような気分でした。

Q.ミゲル・アンヘル・ソラさんをキャスティングされた経緯は?

A.キャスティングを考えた時に、役よりも若い人を選ぼうとしていたため、60代で探していましたが、彼は最初から第一候補でした。
幼い頃から私は、彼の演技をテレビで観てきましたが、信念を持って役に挑むところがなにより素晴らしいと感じていました。彼は役者としてちょっと気難しい部分もありますが、素晴らしい人間性の持ち主。よりよい世界を創り出したいという思いを抱きながら演じており、そんなところをリスペクトしてきました。
彼に脚本を送った時は、決して信心深いほうではありませんが、祈りました。彼が脚本を気に入り、続いてアンヘラ・モリーナやほかの役者も素晴らしい人々が集まってくれた。彼が引き受けてくれたのは、本当にラッキーだと思っています。

Q.マリア役を演じたアンヘラ・モリーナさんが、『欲望のあいまいな対象』(1977/ルイス・ブニュエル監督)で、キャロル・ブーケと二人一役を演じたコンチータは、とても印象的でした。

A.スペインにキャスティングに行った際、ミゲル・アンヘル・ソラと同じように脚本を気に入り、引き受けてくれたことを光栄に思っています。彼女はスペインの大スターなので、まさかと思いました。それも主演じゃないのに。

撮影初日、午前の撮影が終わったところでアシスタントディレクターが、「アンヘラが近くのバーで怒って泣いている」と私を迎えに来ました。
バーに行ってアンヘラに理由を聞くと、「ミゲルはちゃんと顔が映っているのに、私は頭しか映っていない。もう午後は出演したくない」と言われてしまいました。私はアンヘラに、「これまであなたは100本以上の映画に出演してきましたが、僕はまだ2本目。午後は必ず顔を写すので、ぜひ出演してほしい」と言って、「一日の終わりにもう一度話し合ってなにか問題があれば解決していきましょう」と提案しました。

アンヘラに、「今までに組んだ監督で誰が一番やりやすかったか?」と聞くと、「ブニュエル」と答えました。「毎日、撮影が始まる前に、どういう画が欲しいか明確に説明してくれた。1テイクで撮り終え、撮影後は満面の笑みでOKと言ってくれた」。それがやりやすかったんだそうです。
「僕もそうします」と答えたら、「いや、それは信じられない。あなたがブニュエルになれるとは思わない」と言われてしまった(笑)。
「彼は台詞を完璧に覚えて来ないと受け付けてくれないの」と彼女が続けたので、「じゃあ、僕の脚本をもう一度見直して、台詞をちゃんと覚えてきてくれますか?」と提案したのです。
その日の午前中に撮ったシーンは、ちょっとセリフが曖昧だったので。「そうしてくれたら、欲しい絵を明確に説明し、1テイクで、笑顔でOKを出します」と。
それでも彼女は「信じられない」と言っていましたが、翌朝5時45分にホテルの下に食堂に行ったら、彼女は脚本を広げ、自分の台詞に線を引いて一生懸命覚えていました。

スタンバイしている時に、アンヘラがアシスタントディレクターを呼んで、再び私と話したいと言ってきました。彼女のもとに行くと、「時々なんだけど、ブニュエルも2テイクでOKの時があったわ」と。

画像1: メイキング写真 © 2016 HERNÁNDEZ y FERNÁNDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A

メイキング写真
© 2016 HERNÁNDEZ y FERNÁNDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A

●映画の場面が意味すること

Q.旅の途中でアブラハムは、所持金を失ったアブラハムに親身に接するぶっきらぼうなホテルのオーナー、ドイツを毛嫌いする彼を辛抱強く支えようとするドイツ人の人類学者、病院の仕事を超えて助力してくれる看護師と、3人の女性と出会います。なぜ3人の女性がアブラハムを導くという設定にされたのでしょう?

A.即興で書き上げて、特に深く考えず、想像の中で浮かんできたことを文字に起こしました。
それをあとで読み返して、また新たに降りてきたことを上書きするか、そのまま受け入れるかという2パターンに分かれるのですが、今回は3人とも最初に書いた人物像をそのまま演じてもらいました。撮影に入る前に反対意見もあって、なんで女性3人なんだ? 同じシチュエーションの繰り返しじゃないか。2人男性にして1人女性にしよう、など様々な意見がありました。しかし、自分への直感を信じて、3人の女性にしました。

画像2: メイキング写真 © 2016 HERNÁNDEZ y FERNÁNDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A

メイキング写真
© 2016 HERNÁNDEZ y FERNÁNDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A

[STORY]
アルゼンチンに住む88歳の仕立屋アブラハムは、施設に入れようとしている家族から逃れ、ポーランドへ向かうための旅に出る。目的は、70年前にホロコーストから命を救ってくれた音信不通の親友に自分が仕立てた「最後のスーツ」を渡すこと。
飛行機で隣り合わせた青年、マドリッドのホテルの女主人。パリからドイツを通らずポーランドへ列車で訪れることができないか、と四苦八苦していたアブラハムを助けるドイツ人の文化人類学者など、旅の途中で出会う人たちは、アブラハムの力になろうと自然体で受け入れることで、彼の頑なな心を柔らかくしていく。
 たどり着いた場所は70年前と同じ佇まいをしていた。アブラハムは親友と再会できるのか、人生最後の旅に“奇跡”は訪れるのか……。

監督・脚本:パブロ・ソラルス
音楽:フェデリコ・フシド(『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』『瞳の奥の秘密』)
撮影:フアン・カルロス・ゴメス

出演:ミゲル・アンヘル・ソラ(『タンゴ』『スール その先は…愛』)、アンヘラ・モリーナ(『ライブ・フレッシュ』『シチリア!シチリア!』『題名のない子守唄』)、オルガ・ボラズ、ユリア・ベアホルト、マルティン・ピロヤンスキー、ナタリア・ベルベケ 

2017年/スペイン・アルゼンチン/スペイン語/カラー/スコープサイズ/5.1ch/93分/原題:EL ULTIMO TRAJE/

英題:The Last Suit 
後援:アルゼンチン共和国大使館 インスティトゥト・セルバンテス東京
配給:彩プロ 協力:朝日新聞

12月22日より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー

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