<画廊とギャラリーの違いはどこにあるのだろうか?>上田雄三
画廊という展示形式の場所は明治、大正以降、銀座から築地にかけて新聞社や出版社が多く存在し、文筆家や小説の文豪や画家たちが多く集まる銀座界隈に画廊が多く集まっていたことに起因する。
新橋から銀座七丁目にかけて、飲屋街や芸妓の街であったことで、高級クラブも多く集まり、その店に小説家や文豪や画家も多く集まっていた。資生堂ギャラリーは1919年に福原信三(創業者・福原有信の三男)が当時一流の画家たちから日本画、水彩画、写真の指導を受けていたことからも、資生堂の化粧品部2階に(陳列場として)ギャラリーを開設したことから、日本の最古の画廊と言われ、日本の企業が最初に作ったギャラリーとして知られている。この資生堂ギャラリーが七丁目であったことも大きく影響し、銀座に多くの画廊が集結していた。一時は500以上もの書画、骨董や日本画、西洋油画を取り扱う画廊が存在し銀座が画廊の中心地であった。
その後1980年代、1990年代頃から日本画や絵画だけでなくインスタレーションや海外の国際的な展覧会に日本人も多く参加するようになり、国際的な視点からも、海外の美術関係者、キュレーターが訪れるようにもなり、画廊はギャラリーと名前を変えていくことなった。
こうした時期、1992年にはNiCAF(Nihon International ContemporaryArt Fair)(現在の東京アートフェア)がスタート。1995年3月に開館した東京都現代美術館が「Museum of Contemporary Art Tokyo」「現代=Contemporary」と強調したこともうなずける。
アートが国際的で現代的な新しいイメージとして定着していったことからも画廊もギャラリー(Gallery)へと変化していった。形式的には画廊もギャラリーも同じではあるが、国際的な流れを求めることで、さらに多くの人たちに日本のアートを知ってもらうためにも「画廊」はギャラリーへとオーナー個人の名前をつける(欧米化)ギャラリーにすることで、海外との戦略に展開を求めて広がりを見せ変化していった。六本木に森美術館が2003年10月にオープンし、日本のアート界はますます国際的なイメージを求め、必要とされるようになり、銀座周辺以外から現在の六本木森美術館周辺や品川寺田倉庫周辺へとギャラリーが点在するようになっていった。
「新世代への視点2018」は1993年7月よりスタートし、今年で19回目を向かえる。(当初、隔年開催の時もあったため回数が異なる)銀座、京橋に位置するギャラリー(gallery21yo-jは2015年に自由が丘に移動)が個展形式によって、40歳以下の若いアーティストを選抜して紹介する。
若いアーティストが紹介される展覧会は数多くあるが、同時期に合わせて11のギャラリーで開催されることで観客・コレクター・アーティスト・美術関係者、一般の観客との交流も深めることで相乗効果を狙う。銀座は2020年の東京オリンピックに向けて、海外からの旅行者も急増し、ホテルが林立する国際的な街へと変わりつつある。現在、銀座、築地、京橋周辺にはホテルが194軒(JTB調べ)あり。ますます多くの海外からの観客も増えることになる。日本の無名なアーティストは価格帯も低く、海外の観光客にも購入がしやすい。「新世代への視点2018」の若いアーティストたちは銀座ギャラリーから発信されて、さらなるグローバルな展開を広げていく。世界に発信されるJapanese Contemporary Artは東京、銀座から再び活気を見せることになるだろう。
詳しい情報は以下のホームページをご覧ください。
2012 女子美術大学大学院美術研究科博士前期課程美術専攻洋画研究領域修了
2018 武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻版画コース在籍
2018 武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻油絵コース修了
2011 多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業
2004 大阪美術専門学校絵画専攻卒業
2018 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻油画研究領域在籍
2014 和光大学表現学部芸術学科卒業
2014 武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻版画コース修了
2001 大阪芸術大学美術学科版画コース卒業
2018 女子美術大学大学院美術研究科博士前期課程美術専攻洋画研究領域在籍
2009 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
Statements from Galleries
Focusing on a new generation in Tokyo 2018
―画廊からの発言― 新世代への視点2018
会期:2018年7月23日(月)- 8月4日(土)
Date: 23rd(mon.) July – 4th (sat.)Aug.2018
主催:東京現代美術画廊会議
ギャラリーなつか・コバヤシ画廊・ギャラリイK・ギャルリー東京ユマニテ・藍画廊
ギャラリーQ・ギャラリー58 ・ガルリ ソル・gallery21yo-j・ギャラリー川船
FUMA Contemporary Tokyo|文京アート
Organizer:
Gallery Natsuka・Gallery Kobayashi・GalleryK・Galerie Tokyo Humanité
ai Gallery・Gallery Q・Gallery58・GALERIE SOL・gallery21yo-j・Gallery Kawafune
FUMA Contemporary Tokyo