超絶音響 工場労働 記録映画
厳しい現実、その響き―。
今日、著しい経済成長を遂げているインド。
北西部グジャラート州にある巨大な繊維工場が本作の舞台である。工場内部に入っていくカメラが捉えるのは、劣悪な環境で働く労働者たちの姿。中には幼い子供もいる。あからさまな労働力の搾取。グローバル経済の下で歴然と進行する労使の不平等。出稼ぎ工場労働者が囚われる過酷な労働状況の告発を主題とする一方で、流麗なカメラワークによる画面はまるで宗教絵画のような「美しさ」を漂わせている。
そして、画面を凌駕する圧倒的なまでの音響。
作業機器から出る音の反復とその独特のうねりには、高揚感すら生まれるだろう。
高精細・高解像度で記録され構築されたオーディオ・ヴィジュアルは、嗅覚や皮膚感覚まで刺激するかのように見る者の体感に訴える。
1895年、リュミエール兄弟が『工場の出口』を発表して以来、映画は工場を捉えてきた。絶えず「労働」と「人間」を巡って来たともいえる映画の歴史に、本作はどのように位置づけられるのか?「記録」と「芸術」の境界を探求する、新鋭ラーフル・ジャイン監督による問題作。
★テッサロニキドキュメンタリー映画祭
ギリシア議会ヒューマンバリュー賞
Fipresci賞
国際審査委員賞
★サンダンス映画祭
ワールドシネマドキュメンタリー 審査員特別賞
★チューリッヒ映画祭
ドキュメンタリー国際長編部門最優秀賞
★ムンバイ映画祭
シルバー・ゲートウェイ賞
★英国ドキュメンタリー グリアソン賞
ドキュメンタリー国際長編部門最優秀賞
コラージュ・アーティストの河村康輔氏によるポスタービジュアル
本作のポスターやチラシなどのデザインを、大友克洋氏との渋谷PARCO『AKIRA』アートウォールやadidasとのコラボレーションなど幅広い領域で活躍するコラージュ・アーティストの河村康輔氏が担当。海外版ビジュアルをベースに河村氏の緻密かつ大胆な創造性が、作品イメージを進化・発展させています。
劇場窓口での前売り特典購入特典として
河村氏デザインの特製ステッカーセットがプレゼントされます。
「地獄」のような光景
迷路のように複雑な構造を持つ建物の奥へと通り抜け、カメラは過酷で非人道的な労働の現場へと見る者を導いていく。
ダンテが描いた地獄を思わせる、インドのグジャラート州にある巨大な繊維工場。
ラーフル・ジャイン監督は親密かつ心を乱す映像により、この工場で働く労働者たちの生活とその苦悩、そして逃れられない環境をつぶさに観察する。強力な視覚言語と脳裏に刻まれるイメージの数々、そしてインタビュー。
不平等、抑圧、そして貧富の格差を生む巨大な分断について物語る。
1960年代から西インドのサチン地域は、それまでに前例のない無規制の工業化が進められた。
膨大な数の繊維工場はその証左である。映画『人間機械』は、この地域の一つの工場に焦点を当て、前近代的な労働条件の実体と、そして先進国と途上国間の巨大な格差・分断について告発している。
インドにおける繊維・縫製産業
400億USドルの規模にあるインドの繊維・縫製産業だが、ほとんどが非公式な“闇”の経済であり、ほとんど規制もない。
そこで働く労働者は4500万人とも言われており、1260万の子供たちが児童労働に従事している。
工場の95%以上に労働組合はない。彼等の残業時間は週70-80時間を超え、そのほとんどが無賃金あるいは低賃金である。労働者の平均的な日給は2USドルから5USドル、月給にすると90USドルから150USドルほどである。
世界の「強制労働」の現在
強制労働を強いられている人々の推定数。
「国際労働機関」によれば世界中で2100万人が強制労働の被害者とされ、「世界奴隷指数」(THE GLOBAL SLAVERY INDEX オーストラリアの人権団体Walk Free財団が発表)の報告では、3600万人にも達すると言われている。そして、その半分がインドにいるとされる。
現実を記録!問題作『人間機械』予告
■監督:ラーフル・ジャイン Rahul Jain
監督兼プロデューサー。ニューデリーに生まれ、ヒマラヤで育つ。カルフォルニア芸術大学で映画とビデオを学び、美術学の学士号を取得。現在は美学・政治学の修士課程で学んでいる。関心のある題材は、距離、他者性、そして日々の生活。本作はデビュー作になる。
2016年/インド・ドイツ・フィンランド/デジタル/カラー/71分
配給:株式会社アイ・ヴィー・シー
配給協力:ノーム
宣伝:スリーピン