壮大なスケールで日本の美しさを描いた日本画の巨匠・横山大観(1868-1958)の生誕150年、没後60年を記念し、「生誕150年 横山大観展」が、京都国立近代美術館において2018年6月8日(金)~7月22日(日)まで開催中です。
《群青富士》をはじめ、日本一長い画巻、重要文化財となっている《生々流転》など大観の代表作を網羅した10年ぶりの大回顧展となっています。
豪華絢爛で繊細な日本の美、名作《夜桜》、《紅葉》が並んで同時公開されています。(前期7月1日まで)
新作の《白衣観音》《彗星》なども公開されますので見どころ満載です。
東京国立近代美術館でも大盛況を博し、5月13日には天皇皇后両陛下もご鑑賞なさいました。
「奇想天外」とも言われ、伝統的な日本の美を継承しながらも、新しい時代にふさわしい斬新な日本画を生み出した大観の芸術の世界を是非、この機会にお見逃しなく、ご鑑賞ください。
それでは、いくつかの作品をご紹介いたします。
今回の展覧会では、時代ごとに大観の絵画の変遷をたどります。
「明治」の大観
徳川400年の歴史に幕を閉じ、明治維新の風が吹いて、新しい時代が始まりました。
東京美術学校に学んだ大観でしたが、師の岡倉天心の指導のもと、日本の新しい時代に新たな絵画の創出を目指し、日本美術院を設立しました。
「理想」や「概念」を絵にすること(いわゆる「理想画」)で、人物の表情や感情を豊かに表現するようになりました。
また、技術面では、輪郭を描かずに絵画を組み立てること(いわゆる朦朧体【もうろうたい】)の手法を用い、色をぼかしたり、重ねたり、金銀泥を刷いたりして、空気感、大気や光の繊細な状態を表現しました。
そして、油絵のように絵具を使うことにより、色鮮やかで華やかな美しさを表しました。
これら若き日の大観の取り組みが後の「日本画」を変えてゆくことになります。
また、大観は好奇心に溢れ、ハレー彗星やナイアガラの滝など突飛な主題を思いつき、時代を先取りした斬新な作品が見られます。
「大正」の大観
1913(大正2)年に師の岡倉天心が亡くなると、大観のこれまでの新奇を狙った革新主義的な人という低評価は、東洋の伝統に新しい風を吹き込む実力者という高評価に変化しました。
この時期の大観の作品は、中国の水墨画や琳派、やまと絵などの伝統的な技法や構図の影響が伺えます。
大観は自身の作品を華麗な色彩表現の彩色画と、モノクロームの水墨画に二分化し、それぞれ伝統を重んじながらも改変していきました。
《群青富士》も、大観の代表作の一つで、日本の象徴ともいえる富士山を、大胆な色使い、構図で意匠的に描きました。明るく伸びやかな富士山の屏風です。
大正期の大観の特徴は、明快な構図と、印象深い色使いです。
《生々流転》は、全長40メートルもの画巻で、水の流転を描いた壮大なドラマです。
大観は、「葉末に結ぶ一滴の水が、後から後からと集まって、瀬となり淵となり、大河となり湖水となり、最後に海に入って竜巻となって天に上る。それが人生であらうかと思って、『生々流転』を画いた」と、大観自身も述べているように、まさに人の人生を描いているのです。 (引用 「生誕150年 横山大観展」図録 印象社)
「昭和」の大観
宮内省からも作品依頼を受けるようになり、大観は竹内栖鳳とともに名実ともに画壇を代表する画家になりました。
昭和5(1930)年にローマで開催された日本美術展では日本画壇の代表となり、大作《夜桜》を描き上げました。
日本のシンボルでもある桜を世界の場で披露したのです。
かがり火に夜桜を浮かび上がらせ、幻想的な美しさに誘います。
繊細な桜の花びらは淡い色彩で、陰影をつけ、細部までこだわって描かれています。桜とともに描かれている松の表情もやわらかで風情があります。
《夜桜》と並ぶ名作《紅葉》もまさに日本の美、見事な艶やかさです。
朱色の鮮やかな紅葉が大画面を彩り、背景には群青色の水面が広がる景色は圧巻です。
紅葉の葉は濃淡をつけ一枚一枚異なった表情を見せます。背景の川面は紺碧で、さざ波や水しぶき、霞がプラチナ泥や、箔によって、美しく表現されています。
装飾的である一方、幹や枝は墨で写実的に描かれています。
《紅葉》は、日本有数の美しい庭園美術館である足立美術館所蔵のものです。
華やかな《紅葉》、《夜桜》の並列展示は、とても貴重で見ごたえがあります。
前期のみ(7月1日まで)ですが、是非、足をお運びください。
明治から大正の激動の時代に、伝統を継承しながらも新しい独自の日本画を築き、時代を超えて今なお、輝き続ける横山大観の世界を是非、ご堪能ください。
展覧会概要
会期:2018年6月8日(金)~ 7月22日(日)
会場:京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
開館時間:9:30~17:00 (6月8日~6月30日の金・土曜日は20:00まで、7月6日~7月21日の金・土曜日は21:00まで)
*入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし7月16日(月・祝)は開館、7月17日(火)は休館
観覧料:
一般1500円(1300円) 大学生1100円(900円) 高校生600円(400円)
*()内は前売および20名以上の団体料金、いずれも消費税込
*中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。いずれも要証明
◎前売券販売期間:3月1日(木)−6月7日(木)
主催:京都国立近代美術館、東京国立近代美術館、日本経済新聞社、毎日新聞社
後援:テレビ大阪
特別協賛:ダイワハウス
協 賛:京都銀行、京都美術工芸大学、東レ、ライブアートブックス
特別協力:横山大観記念館
協 力:あいおいニッセイ同和損保
生誕150年 横山大観展@京都 cinefil チケットプレゼント
下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、生誕150年 横山大観展@京都 cinefil チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。
☆応募先メールアドレス info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2018年6月24日 24:00 日曜日
記載内容
1、氏名
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
当選無効となります。
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