1960年代、映像作家たちは、ライブ・パフォーマンスの要素を取り入れることで映像メディアの拡大を試みました。
映画特集「昨日からの別れ‐日本・ドイツ映画の転換期」の一環で、飯村隆彦、金井勝、シュウゾウ・アヅチ・ガリバーという日本の実験映画/アンダーグラウンド映画のパイオニア3名が、6月12日~15日、ゲーテ・インスティトゥート 東京ドイツ文化センターにてフィルム・パフォーマンスを行います。

6月12日 飯村隆彦

©飯村隆彦/東京都写真美術館

上映プログラム:
『サークル&スクエア』(1966-2018 約20min)
『リリパット王国舞踏会』(1964-66、12min)
『いろ』(1962、10min)
『Love』(1962、10min)
『あんま』(1963、13min)
フィルムアンデパンダンより
『うらとおもて』( 2min、1964)
『My Documentary』(5min、1964)

1960年代初頭より日本の実験映画、個人映画を牽引し、60年代後半におけるドイツでの巡回上映、73年のベルリン滞在によって、日本とドイツの前衛芸術の交流を促した飯村隆彦の作品をパフォーマンスという観点から紹介する。フィルム・パフォーマンスの草分けとして知られる「スクリーン・プレイ」で使用された『いろ』、自らもパフォーマーとして参加しながら土方巽の舞踏を撮影した『あんま』、風倉匠の特異な身体を構造的に記録した『リリパット王国舞踏会』のダブルプロジェクション版、64年に結成されたフィルムアンデパンダンより自身の作品を上映。また今回の特集では、スクリーンから客席まで巡らされたブラックリーダーのループフィルムに作家自身がパンチャーで穴をあけつづけ、明滅する光と影が映し出される『サークル&スクエア』のパフォーマンス上映も行われる。

監督: 飯村隆彦

アーティスト・トーク:飯村隆彦

飯村隆彦
1937年東京生まれ。1960年代初頭からフルクサスのオノ・ヨーコ、音楽家の小杉武久、刀根康尚、暗黒舞踏の土方巽らとの共同によって、8ミリや16ミリの前衛映画を個人で制作し、映画という枠組みをこえた他ジャンルとの横断的作品を生み出した。1960年代半ばからニューヨークを拠点とし、1973年、ドイツに滞在、その後、アメリカ、フランスなど世界各地で個展や特集上映を開催している。2015年にはアーティストおよび評論家としての活動が評価され、第19回文化庁メディア芸術祭功労賞を受賞した。

6月14日 金井勝

画像: ©金井勝 Katsu Kanai

©金井勝 Katsu Kanai

上映プログラム:
『時が乱吹く』
(日本, 1991年, 62分)
『新宿ステーション』
(1968-1974年、15分)

短歌篇『夢走る』(1987)、俳句篇『一本勝負の螽蟖』(1988)、詩篇『ジョーの詩が聴える』(1989)に幕間2景を挟んで完成された。当初は、実験的な時代劇として構想されていたが、城之内元晴の事故死を受け、二作目から異色の追悼作品へと大きく方向転換していった。11分間のワンシーン・ワンショットによって金井自身が城之内について語りながら日常と妄想を横断する『一本勝負の螽斯』、あの世から届いた城之内の手紙を元に、『新宿ステーション』の詩を引用しながら、自宅の庭を這いまわりその記憶をたどる『ジョーの詩が聴こえる』。今回の特集では、『新宿ステーション』の上映当時に、城之内がスクリーンの前で詩を朗読したように、金井による詩と映像のパフォーマンスに合わせて二作品の上映が行われる。

金井勝『時が乱吹く』
監督:金井勝
出演:城之内元晴、高橋孝英、高橋葉子、亘真紀、金井勝

城之内元晴『新宿ステーション』
監督:城之内元晴

アーティスト・トーク:金井勝(映像作家)

金井勝
1936年神奈川県生まれ。1960年に大映東京撮影所に入社、1968年、《かない勝丸プロダクション》を結成する。翌年から隔年で『無人列島』、『GOOD-BYE』、『王国』の《微笑(わら)う銀河系・三部作》を自主製作・上映、アンダーグラウンド映画の草分け的存在となる。その後、映像による詩歌集『時が乱吹く』などを発表、『スーパードキュメンタリー 前衛仙術』(2003)は第50回オーバーハウゼン国際短編映画祭で国際批評家連盟賞を受賞、更に第53回オーバーハウゼン国際短編映画祭(2007年)では《金井 勝の回顧展》が開催された。

6月15日 シュウゾウ・アヅチ・ガリバー

©シュウゾウ・アヅチ・ガリバー

上映プログラム:
『Switch』(1966-67年 <2009年再制作>、16mm[デジタル])
『Screen』(1967年<2018年再制作>、16mm[デジタル])
『Film』(1968年、16mm[デジタル])
『Box』(1968年、16mm[デジタル])

1960年代は伝説的なヒッピーとして、70年代からは絵画、彫刻、写真、パフォーマンス、インスタレーションなどの幅広いジャンルを横断する現代美術作家として知られているシュウゾウ・アヅチ・ガリバーの60年代後半における映像作品を上演する。カメラによって1秒24コマで四角いフレームのフィルムに記録される時間と形式、映写機の光による白いスクリーンへの投射とそれを見る観客という空間、そうしたメディア自体の構造や環境、そしてその概念を原理的に問い返していく諸作品は、まったく新しい表現の登場というだけにとどまらず、映画・映像という分野のあり方を根底から揺さぶる出来事であった。今回の特集では、『Switch』、および『Box』のパフォーマンス上映が行われる。

アーティスト・トーク:シュウゾウ・アヅチ・ガリバー

シュウゾウ・アズチ・ガリバー
1947年滋賀県生まれ。関西で結成されたアーティスト集団「プレイ」に参加ののち、67年に東京へ移ると実験的な映像、パフォーマンス作品を発表する。73年より、作家自身の肉体を80の部位に分割し、各部位を作家の死後に保管する契約を結ぶプロジェクト「肉体契約」に着手する。80年代以降はドイツを含むヨーロッパ各地で作品を発表、2010年滋賀県立近代美術館で大規模な個展「EX-SIGN」が開催された。

フィルム・パフォーマンス: 6月12日(火)、14日(木)、15日(金)

【会 場】 ゲーテ・インスティトゥート 東京ドイツ文化センター
(東京都港区赤坂7-5-56 ドイツ文化会館内)
【料 金】フィルム・パフォーマンス各回1000円 
【主 催】 ゲーテ・インスティトゥート 東京ドイツ文化センター
 TEL:03-3584-3201

【映画上映/フィルム・パフォーマンス スケジュール】 

下記より 

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