唯一無二の存在を示し誰もが認める日本を代表する俳優、夏木マリが10年ぶりの主演に選んだ『生きる街』は、宮城県石巻市を舞台に、「家族」と「故郷」が持つあたり前の普遍的な価値、「生きる」「生き続ける」とは何かを問う珠玉のヒューマンドラマです。
メガホンを撮ったのは、俳優の顔を持ちながら『捨てがたき人々』『木屋町DMARUMA』『アリーキャット』など異色の長編映画を数多く手掛ける榊英雄。
今回、追加キャストとして発表されたのは、夏木演じる千恵子の娘役として佐津川愛美、息子役に堀井新太。
“失う”可能性に怯えて新しい未来を築けない香苗役の佐津川愛美は、映画デビュー作『蝉しぐれ』(05)で第48回ブルーリボン賞助演女優賞にノミネート、さらに『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(07)では第50回 ブルーリボン賞助演女優賞、新人賞の2部門にノミネートされて注目を集め、映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍している。将来に向き合うことを避けてきた不甲斐ない哲也役を演じた堀井新太は、 ドラマ『下町ロケット』(15)、主演ドラマ『3人のパパ』、映画『青空エール』(16)で瑞々しい演技を見せ、2018年大河ドラマ『西郷どん』への出演も決まり、人気上昇中。
そして、佐津川の夫役として実力派俳優、吉沢悠。冨樫森監督の『星に願いを。』(03)で映画主演デビューし、『孤高のメス』(10)、『道 -白磁の人-』(12)、『アイアムアヒーロー』(16)、主演作『エキストランド』など出演作が絶えない吉沢が、心の傷がいえるまで妻を見守る夫を好演している。
<佐津川愛美さんコメント>
石巻で撮影しました。あの時あの場所に私は居なかったはずなのに、時が経ったあの場所に行くと、涙が止まりませんでした。絶望を希望に変えるなんて事は難しいですが、それでも生きていくのは私たちです。また築いていく。生きていく。家族の物語です。
<堀井新太さんコメント>
この作品では、実際に震災が起きた場所で寝泊まりし、撮影しました。
その街で起こった事を実際に経験した訳ではありませんが、そこで震災の大きさを肌で感じ、風化させてはいけないと思い、それを僕なりに表現しました。
街が、人が、自然がゆっくり前向きに進んでく様子が「生きる街」だと僕は思います。
是非多くの方々に届けば嬉しいです。
<吉沢悠さんコメント>
一変したあの日から時が経ち、それでも石巻に居続ける母の物語。
それぞれ悩みを抱えた思いから「生きる」ということを強く語りかけてくる。
撮影期間中にも強い地震が起こり、僕は体が固まりました。映画に祈りを込めて、本気で取り組んだ現場です。
映画を力強く、そして優しく包み込む主題歌は、BRAHMAN「ナミノウタゲ」。
夏木が立ち上げた途上国支援活動 One of Loveプロジェクトのイベントで競演するなど、夏木との親交が深いボーカル・TOSHI-LOWが作詞を手掛け、ハナレグミがコーラスとして参加している。
<BRAHMANさんコメント>
ある晩
電話を取ると
あの街で映画を撮ってきたから
主題歌を歌わないかと誘う
夏木マリ
ある朝
電話を取ると
あの街で流されたおっ母と息子が
夢に出てきたんだと泣きじゃくる
舞台の街の漁師
あの日
電話の向こうの街から
消えたナミノウタゲが
今は確かに聞こえてくる
BRAHMAN
<物語>
自らが生まれ育った海沿いの町で、漁師の夫、2人の子どもと幸せに過ごしていた佐藤千恵子(夏木マリ)の暮らしは、2011年3月11日に一変。津波に流された夫は帰って来ない。それでもいつか夫が戻って来ると信じて、千恵子は地元を離れずに生きている。しかし、あの日を境に、今は離れて暮らす子供たちもまた癒えない傷を抱えていた。被災のトラウマから子供を持つことを恐れる娘の香苗(佐津川愛美)と、何でも震災のせいにして人生から逃げる息子の哲也(堀井新太)。そんな家族の前に、かつて同じ町に住んでいたドヒョン(イ・ジョンヒョン)が韓国からある人の手紙を持ってやって来る。手紙に書かれていたのは、信念を持って生きた夫の姿――。そして、止まっていた家族の時間がゆっくりと動き出すのだった。
出演:夏木マリ 佐津川愛美 堀井新太 イ・ジョンヒョン(CNBLUE) 吉沢悠
監督:榊英雄
配給:アークエンタテインメント/太秦
©2018「生きる街」製作委員会