アメリカのエンタテインメント業界紙ヴァラエティは、今月21日付の紙面で2017年上半期のベストフィルム13本を発表した。
選者のピーター・デブルージュ記者とオーウェン・グレイバーマン記者は、「オスカーを見据えたクリストファー・ノーランやキャサリン・ビグローなどスタジオ系の新作が第4四半期に集中するため、人々を満足させるクオリティーの高い作品が乏しいと見られがちだが、今までのところ最大、かつ歓迎すべき驚きに満ちた作品をリストにした」と記している。
このリストには M・ナイト・シャマラン監督の『スプリット』やクリス・マッケイ監督『レゴバットマン・ザ・ムービー』などのアメリカの興行収入でトップランクに登場した作品から、日本で公開したヨーロッパの秀作『ヒトラーの忘れもの』や、まもなく日本公開のエドガー・ライト監督がハリウッドに進出した『ベイビー・ドライバー』などが選ばれている。
その中で目を引くのがフランス映画の『あさがくるまえに』だ。
すでに、『ラ・ラ・ランド』のデミアン・チャゼルやカンヌの申し子天才グザヴィエ・ドランなどのミレニアム世代の監督の活躍が海外などで取り上げられている中、一躍フランスの代表としての注目が集まっている。
バラエティ紙では「才能豊かなフランス人監督カテル・キレヴェレは、それほど重要でない役にまで慈しみを持って演出している」と絶賛している。
2017年ベストフィルムリスト(50音順*オリジナルはアルファベット順)
『あさがくるまえに』 カテル・キレヴェレ監督 タハール・ハヒム / アンヌ・ドルヴイル
『ゲット・アウト』 ジョーダン・ピール監督作品 ダニエル・カルーヤ / アリソン・ウイリアムズ
「Contemporrary Color」 ターナー・ロス / ビル・ロス4世 共同監督 ドキュメンタリー
「The Big Sick 」 マイケル・ショウアウター監督 クメイル・ナンジアニ / ゾーイ・カザン
「The Settlers」 シモン・ドタン監督 ドキュメンタリー
『スプリット』 M・ナイト・シャマラン監督 ジェームズ・マカヴォイ
「Their Finest」 ロネ・シェルフィグ監督 ジェマ・アータートン
『ヒトラーの忘れもの』 マーチン・サントフリート監督 ローランド・ムーラー
「Beatriz at Dinner」 ミゲル・アルテタ監督作品 サルマ・ハエック / ジョン・リスゴー
『ベイビー・ドライバー』 エドガー・ライト監督 アンセル・エルゴート / リリー・ジェームズ
『レゴバットマン・ザ・ムービー』 クリス・マッケイ監督 ウイル・アーネット
「Grave」 ジュリアン・デュクルノー監督 ギャランス・マリリエ
『ロスト・イン・パリ / Lost in Paris』 フィオナ・ゴードン / ドミニク・アベル共同監督
フランス映画祭で来日したカテル・キレヴェレ監督トークショー
【ストーリー】
夜明け前、彼女がまだまどろみの中にいるベッドをそっと抜け出し、友人たちとサーフィンに出かけたシモン。しかし彼が再び彼女の元に戻ることはなかった。帰路、彼は交通事故に巻きこまれ、脳死と判定される。報せを受けた彼の両親は、その現実を受け止められないでいた。医師はシモンが蘇生する可能性は低く、両親に移植を待つ患者のために臓器の提供を求めるのだが。その時間の猶予は限られている‥。
◇監督:カテル・キレヴェレ
◇出演:タハール・ラヒム、エマニュエル・セニエ、アンヌ・ドルヴァル、ドミニク・ブラン、ギャバン・ヴァルデ 2016年/フランス=ベルギー/カラー/104分/スコープ・サイズ/DCP
◇日本語字幕:寺尾次郎
配給:リアリーライクフィルムズ、コピアポア・フィルム
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