今年で6回目となる日藝生企画・運営の映画祭。
テーマは“宗教を考える”。
 映画が生まれた19世紀末には産業革命による合理化が広がり、宗教が次第に力を失ってゆく。
それにも関わらず、宗教は現代まで残り続けてきた。
それだけ、宗教とは人間の生活に根付いたものであった。
 しかし、1995年のオウム真理教の事件を機に、日本人の宗教に対する見方が大きく変わった。
この映画祭を企画するメンバーの多くが95年という年に生まれ、その後、2001年にアメリカ同時多発テロ「9・11」が起こり、宗教に対する不信感は増す一方であった。
 しかし、これまで長い間、宗教は人々の支えになっていたはずだ。
それにも関わらず、我々多くの日本人は宗教に対して無自覚で、信仰を持った人々の言葉を聞いてもなかなか理解できない。
 これまで、多くの映画監督が宗教を題材に作品を生み出してきた。
カール・Th・ドライヤーの『裁かるゝジャンヌ』では、最後まで自分の信仰を貫く姿が描かれていると思えば、イングマール・ベルイマンの『冬の光』では、自らの信仰に疑問を持つ牧師が主人公である。
また、山本政志の『水の声を聞く』では、偽物だったはずの宗教が、次第に本物へと変わっていく姿が描かれている。
 我々は彼らの姿を見て、声を聞き、何を感じるだろうか。
映画祭を通して“なぜ信じるのか”を理解したい。
「信じる」ことは、いつの時代にも必要なことだと思うから。

上映作品

『裁かるゝジャンヌ』(1928)
監督:カール・Th・ドライヤー

画像1: https://www.facebook.com/syukyou.eigasai/

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“殉教の聖女”を英雄的な扱いはせず派手な戦闘描写も用いず、実際の裁判記録をもとに“人間”ジャンヌ・ダルクの実像に迫る。公開当時カトリック教会からの圧力によってフィルムが改変され、オリジナル版は長らく見ることができなかった。
12月10日(土) 16:15
上映前 解説:古賀太さん(日本大学芸術学部映画学科教授)

『天草四郎時貞』(1962)
監督:大島渚

『天草四郎時貞』(1962) 江戸時代初期、天草四郎時貞と周囲を取り巻く民衆のキリスト教弾圧に対する戦い。 愛する者を捨てでも自らの命を懸けても守りたかった信念とは何か… 日本のヌーヴェル・ヴァーグの旗手とうたわれた大島渚監督の初時代劇。
12月11日(日) 18:45
上映前 解説:田島良一さん(日本大学芸術学部映画学科教授)

『冬の光』(1962)
監督:イングマール・ベルイマン

イングマール・ベルイマンが“神の存在”をテーマに描いた「神の沈黙」三部作の第二作である。自らの信仰に自信を持てなくなった牧師トーマスは、自分に救いを求めてきた夫婦を救えなかったことに悩み苦しむ。

『ノスタルジア』(1983)
監督:アンドレイ・タルコフスキー

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「第三の祖国」すなわち魂の故郷を追い求める詩人ゴルチャコフは、人々に「狂人」と呼ばれるドメニコに出会い、世界を救うための儀式へ導かれてゆく。第36回カンヌ国際映画祭創造大賞。
12月13日(火) 15:10
上映前 解説:奥野邦利さん(日本大学芸術学部映画学科教授)

『奇跡の海』(1996)
監督:ラース・フォン・トリアー

第49回カンヌ国際映画祭で審査委員グランプリを受賞。困難な状況下でも純粋な心を持ち続ける女性を主人公にした「黄金の心三部作」の第1作。彼女を過酷な行為に駆り立てるのは幻想か、それとも愛の力か。

『ある朝スウプは』(2004)
監督:高橋泉

新興宗教にハマった男と、そこから呼び戻そうとする女。移り変わる季節と、彼らの関係が変容し、崩壊していくさまを描く。宗教という隔たりを超えて2人の間には愛が存在する。監督であり、脚本家でもある高橋泉監督のデビュー作。
12月13日(火) 18:30
上映後 ゲスト:高橋泉監督

『カナリア』(2004)
監督:塩田明彦

画像3: https://www.facebook.com/syukyou.eigasai/

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光一はカルト教団の施設に家族と共に身を寄せていた。しかし教団が殺人事件を起こし、家族は離散した。光一は引き裂かれた家族を取り戻すため、走り出す。宗教により孤児となった光一の姿が「何かを信じる」ことを我々に問いかける。
12月10日(土) 13:10
上映後 ゲスト:石田法嗣さん、谷村美月さん

『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』(2005)
監督:フィリップ・グレーニング

世界一厳格だといわれる修道院の内部に初めてカメラが入った。構想から21年をかけて完成した荘厳なドキュメンタリー。一生をただ静謐に、神に祈りを捧げるという修道士たちの生き方の崇高さに驚かされる。
12月12日(月) 17:10
上映後 ゲスト:橋爪大三郎さん(社会学者)

『ジーザス・キャンプ~アメリカを動かすキリスト教原理主義~』(2006)
監督:ハイディ・ユーイング、レイチェル・グラディ

キリスト教福音宣教会が主催するサマーキャンプを追ったドキュメンタリー。フィッシャー女史は子どもたちを集めてキャンプを開いた。しかし、女史の教えは次第に暴走していく。信仰なのか、洗脳なのか。

『シークレット・サンシャイン』(2007)
監督:イ・チャンドン

息子を失った主人公は悲しさと自責の念からキリスト教に救いを求める。愛する者を失った時に、人はどのように乗り越えるのだろうか。本作にて第60回カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞したチョン・ドヨンの演技が見る側の心を揺さぶる。

『神々と男たち』(2010)
監督:グザヴィエ・ボーヴォワ

アルジェリアの山奥で、平和な日々を過ごすカトリック修道士たち。しかし内戦は激化し、暴力の波が修道院まで迫る。住民を見捨てこの地を去るか、死を覚悟して留まるか。「信念の強さ」と「人間の尊厳」を、見る者すべての胸に深く残す。

『セデック・バレ』(2011)
監督:ウェイ・ダーション

1930年、日本統治下の台湾で起きた原住民族による武装蜂起“霧社事件”を“文化”と“信仰”の衝突という視点から描いた4時間36分の歴史超大作。彼らは何故、多大な犠牲を払うと知りながら蜂起に至ったのか。史実に基づく生々しい映像が常識を揺さぶる。

『神は死んだのか』(2014)
監督:ハロルド・クロンク

アメリカの大学で実際に起きた訴訟事件をもとに、無神論者の教授とクリスチャンの新入生との間で繰り広げられる、神の存在をめぐる対立を描いた作品。目には見えない大きな存在を前に、心の奥にある捨てることのできない信仰心を見るだろう。

『禁じられた歌声』(2014)
監督:アブデラマン・シサコ

西アフリカの砂丘地帯で、家族とともに幸せな毎日を送っていた少女トヤ。ある日、イスラム過激派のジハーディスト(聖戦戦士)が街を占拠し、住人たちは音楽もタバコもサッカーも禁じられる。些細な出来事をきっかけに運命は大きく変わっていく。
12月10日(土) 10:30
上映後 ゲスト:池内恵さん(東大先端研・准教授)

『水の声を聞く』(2014)
監督:山本政志

画像4: https://www.facebook.com/syukyou.eigasai/

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小遣い稼ぎのつもりで巫女を始めたミンジョンは、いつの間にか宗教団体の教祖となっていた。多くの信者の期待に押しつぶされそうになった彼女は、自らの起源である韓国の巫女のもとを訪れ、本当の意味での祈りを学ぶ。『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』(2005)
12月10日(土) 18:20
上映後 ゲスト:山本政志監督、玄理さん

宗教映画祭 予告

画像: 宗教映画祭予告編 youtu.be

宗教映画祭予告編

youtu.be


主催:日本大学芸術学部映画学科映像表現・理論コース3年映画ビジネスゼミ/ユーロスペース

上映協力 : 太秦/エスピーオー/オフィスシロウズ/キングレコード/シネマ☆インパクト/シンカ/ザジフィルムズ/
ソニー・ミュージック /東映/東京国立近代美術館フィルムセンター/PFF事務局/マジックアワー/ミモザフィルムズ/レスペ

12/10〜12/16 渋谷ユーロスペースで開催!

上映スケジュール詳細は下記まで

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