日本映画製作者協会の主催し、将来性のある新人監督を選出する「新藤兼人賞」受賞者が決定した。15年12月~16年11月に劇場公開された新人監督(長編処女作から3作目まで)の長編作180作品のなかから金賞は「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督、銀賞は「ケンとカズ」の小路紘史監督に贈られることがわかった。また、同時に発表されるプロデューサー賞は『君の名は。』の川口典考さんに贈られることも明らかになりました。
新藤兼人賞は、日本映画の独立プロ50社によって組織される日本映画製作者協会に所属するプロデューサーが「この監督と組んで仕事をしてみたい」「今後この監督に映画を作らせてみたい」という観点からその年度で最も優れた新人監督を選んだもの。
他の映画賞とは全く違う選考基準を持ち、現役プロデューサーのみが審査員をつとめる日本で唯一の新人監督賞となります。
今年で21回目を迎える本賞は「新人監督たちを発掘、評価し、今後の日本映画界を背負ってゆく人材を育てたい」というプロデューサー達の思いから1996年に「最優秀新人監督賞」として始まり、2000年より"日本のインディペンデント映画の先駆者"である新藤兼人監督の名前をいただき現在の名称となっています。
過去の受賞者は是枝裕和監督、橋口亮輔監督、李相日監督、西川美和監督、佐々部清監督、沖田修一監督などで、新人監督の登竜門にもなっています。
金賞 『湯を沸かすほどの熱い愛』中野量太監督
1973年7月27日生まれ、京都府育ち。大学卒業後、日本映画学校に入学。卒業制作の『バンザイ人生まっ赤っ赤。』(00)が日本映画学校今村昌平賞、TAMA NEW WAVEグランプリなどを受賞。卒業後、助監督やテレビディレクターを経て6年ぶりに撮った短編映画『ロケットパンチを君に!』(06)が、ひろしま映像展グランプリ、長岡インディーズムービー コンペティション グランプリ、福井映画祭グランプリ、水戸短編映像祭準グランプリなど7つの賞に輝く。08年には文化庁若手映画作家育成プロジェクトに選出され、35mmフィルムで制作した短編映画『琥珀色のキラキラ』が高い評価を得る。その後、『チチを撮りに』(12)が、第9回SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて日本人初の監督賞を受賞、第63回ベルリン国際映画祭正式招待を皮切りに、各国の映画祭に招待され、第3回サハリン国際映画祭グランプリなど国内外で14の賞に輝く。本作が商業映画デビュー作となる、いま日本で最も注目の若手監督の一人。
銀賞『ケンとカズ』小路紘史監督
1986年7月11日生まれ。広島県出身。
東京フィルムセンター映画・俳優専門学校を卒業。10作品以上の短編映画を制作。4年連続でショートショートフィルムフェスティバル&アジアで入選を果たすなど、日本・海外の映画祭で上映。2011年に制作した短編版の『ケンとカズ』は、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2011で奨励賞を受賞し、ロッテルダム国際映画祭2012をはじめ、リスボン国際インディペンデント映画祭2012などで上映されるなど、海外からも注目される。本作が長編デビューとなる。