本木雅弘が監督のサディズムにエクスタシー!?
『永い言い訳』「完成披露試写会レポート」
俳優の本木雅弘が、映画『おくりびと』以来約7年ぶりに映画主演を務める『永い言い訳』(10月14日公開)。
その完成披露試写会が9月15日(木)に東京・よみうりホールで行われ、主演の本木雅弘、共演の竹原ピストル、藤田健心(子役)、白鳥玉季(子役)、山田真歩、そして西川美和監督が舞台挨拶に出席した。
“幸夫”という役名に愛着を持っているという本木は「自意識の塊であるところや、正直なのに屈折していて人を信じきれない歪みを持っているところ、不完全さが自分似ている」とキャラクターに共感を寄せ、現場の様子については「西川監督の演出はまるでいたぶるようで、知的な言葉を使いつつも低い声で『もう少し我慢して』『簡単にセリフを吐き出さないで』『もっとジクジクして』とサディスティックに責められた。あのエクスタシーが忘れられない」とMっ気を出しながら回想し、笑いを誘った。
当初、西川監督は「人間の持つ内面の弱さや愚かさをあらわにする役なので、気恥ずかしさや難しさもあったはず」と、衣笠幸夫とかけ離れたイメージの本木に不安があったというが「でも(本木の)奥様がこの台本を読んだ時に『あなたにそっくり』と言ってくれたそうで、そこで私も大丈夫だと思った」と舞台裏を紹介。今では「複雑な主人公だけれど、本木さんはそれに対して真剣に悩みながら取り組んでくれた。一人で物語を書いてきた私にとっては孤独が分配されて、本木が一緒に船をこいでくれる間柄になった」と全幅の信頼を置いている。
ミュージシャンでもある竹原は「俺に出来るのかと不安に思った」と俳優オファーに尻込みしたものの「撮影に入る前に、子役たちと3人で過ごす時間を作ってもらえたことで準備が出来た」と不安は払拭されたよう。
山田は西川組の様子を「静かに、でもずっと燃え続けている青い炎だった。撮影現場には細部まで周到な準備と信頼を感じられる雰囲気があった」と振り返った。
一方、子役の藤田は「役柄を理解するのを頑張った」と言葉少なに緊張の色を覗かせると、すかさず本木は「彼は声が変わりました。映画の中では『え?』と思うくらいの高い声が出ているのでそのギャップを楽しんで」とフォローし、白鳥にも「あーちゃんは歯が抜けたよね」と二人の成長に目を細めていた。
そんな白鳥は、西川監督に対して次回作へのラブコールをするなど大人びた一面を覗かせながら「自転車の二人乗りのシーンでは、自転車のスピードが速すぎて(本木の背中に)頭を何回もぶつけたけれど楽しかった」とニコリ。
そこに本木は「鞭を打たれるのが好きだから、楽しかったよ」と大人なジョークを放ち、白鳥が本木からウサギのぬいぐるみをプレゼントされたことを明かすと「フワフワのウサギを見ていたら、あーちゃんに頬ずりしてほしくて買いました」とメロメロの様子だった。
また映画の内容にちなんで“過去の言い訳”を聞かれた本木は「短いシーンだけれど、濡れ場がある。黒木華さんを相手にテストを含めると250回くらい腰を振ったけれど、勢い余って耳たぶを舐めてしまいました」と告白。
その理由は共演者の池松壮亮にあるといい「“濡れ場キング”に負けたくないという思いで舐めさせてもらいました」と謎のライバル心をちらり。さらに竹原を“中秋の名月”と表すくらいにハマっているそうで「疲れている時に竹原さんの歌を聴いていたら、隣の妻が『本当に恋をしているの?』と嫉妬していましたね」と饒舌に明かしていた。
西川監督は、2011年の東日本大震災が本作の出発点と明かし「取り返しのつかない別れを経験した人が長く退屈で険しい道をどのように立て直していくのかのドラマを作りたかった」と狙いを説明。
構想5年に「じっくりとゆっくり丁寧に育んだ作品。生々しく人の血が通った作品で、自分としては初めてほのかな幸福感を持って撮影を終わる事の出来た作品。大事な人や愛する人に薦めてほしいと言える作品になりました」と胸を張った。
『永い言い訳』予告
出演
本木雅弘/竹原ピストル 藤田健心 白鳥玉季 堀内敬子/池松壮亮 黒木華 山田真歩/深津絵里
原作・脚本・監督:西川美和
原作:『永い言い訳』(文藝春秋刊)
製作:「永い言い訳」製作委員会(バンダイビジュアル株式会社、株式会社AOI Pro.、株式会社テレビ東京、アスミック・エース株式会社、株式会社文藝春秋、
テレビ大阪株式会社)
制作プロダクション:株式会社AOI Pro.
配給:アスミック・エース
©2016「永い言い訳」製作委員会