映画『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店(原題: De Surprise)』

『キャラクター 孤独な人の肖像』が第70回(1998年)アカデミー賞外国語映画賞を受賞したマイク・ファン・ディムによるコメディ。オランダの大富豪の青年が自殺幇助のサービスに申し込んだものの、ある女性と出会ったことから一転、2人で逃避行を繰り広げる羽目になる姿を描く。

画像: 映画『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店(原題: De Surprise)』

『LOFT - 完全なる嘘(トリック)-』などのイェロン・ファン・コーニンスブルッヘと『人生はマラソンだ! 』などのジョルジナ・フェルバーンが出演。重いテーマを扱いながらもユニークで軽快な物語に引き込まれる。 オランダ映画なのね。タイトルからベルギーかと思ったけど…。EUはすごいな、国境も言語も行ったり来たり。英語、フランス語、オランダ語、あとはヒンディ語が出てきたのかな。奇想天外な設定のその先にさらに予想を裏切る展開が待ち受けていて最後まで観どころたっぷりのチャーミングなブラックコメディね。なるほどね、ベルギーは安楽死が合法化されてるのか…。だからギャグ的な死というか、死すら笑いにできるというか…。とはいえ、重いテーマを明るく楽しく描いてるんだけれど。主役の2人が良いね。すごく良い。大富豪のお屋敷はそれはそれは広大過ぎる上に豪華で、ガレージにはメルセデスベンツSクラス、ジャガーEタイプとFタイプ、ファセルヴェガHK500、ポルシェ356コンパーチブル、シトロエンメアリ、ルノーのF1カーなどなど往年の(現代のも)名車がズラリ。そして音楽もピアソラの「オブリヴィオン」、カルロス・ガルデルの名曲「ポル・ウナ・カベサ」、バッハの「ブランデンブルグ協奏曲 第3番」、アルビノーニの「弦楽とオルガンのためのアダージョ」、モーツァルトの「レクイエム」「ヴァイオリン協奏曲 第3番」「ディヴェルティメント」、さらにヴィヴァルディの「四季」から「秋」などなど、眼にも耳にも幸せ。時折インド系の音楽がかかるのも良いスパイスか。カーチェイスや銃撃戦など思いがけず派手な見どころもたっぷり。テンポも良く、上質でサラリとして少し切ない、アッという間の105分。ボクらを“生”に繋ぎ止めるものって意外となんてことないことなのかもねえなんて思う。エンドロールの2人にはキュンって(はぁと)。心の不感症に陥ってるボクら大人が観るべきシュールでロマンティックな作品。

シネフィル編集部 あまぴぃ

画像: 『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』予告篇 youtu.be

『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』予告篇

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