映画『ヒメアノ~ル』
「行け!稲中卓球部」「ヒミズ」の古谷実の過激な内容で話題になった人気コミックを、V6の森田剛を主演に迎えて実写映画化。ビル清掃会社のパートタイマーの青年と同僚が織り成す至って普通の日々と、欲望のままに殺人を重ねるサイコキラーの心の闇を描く。
監督は『さんかく』『銀の匙 Silver Spoon』などの吉田恵輔。清掃員の青年に『ポテチ』『偉大なる、しゅららぼん』などの濱田岳、森田剛扮する快楽殺人犯にストーキングされるヒロインを『ガキ☆ロック』などの佐津川愛美が演じる。他にムロツヨシ、駒木根隆介、山田真歩、大竹まことらが共演。
あん…森田剛って演技上手いのね。狂気に満ちた殺人鬼という難役でボクらを圧倒。もう強烈。
99分間、スクリーンに目が釘付けなんだけど、観ていて気持ち的に辛いんだよね。出てくる男たちはどいつもこいつもダメ人間なんだけど、ボクら凡人と何も変わらないし、きっとこういうことって現実なんだろうし、ボクらも何かのキッカケでそうなっちゃうの? なんて思うと恐ろしくてさ…。
作品としては序盤のほのぼのと笑いもこぼれる日常から戦慄の惨劇なサスペンス、スリラーへの展開は鮮やかで気持ち良く(?)、まさに日常と狂気が交差してる。猟奇的な殺人シーンに恋人たちのセックスシーンをカットバックさせたり、マスターベーションのシーンや生理用品のシーン、殺人と食事を繰り返すシーンなどとっても印象的だ。加えて森田剛の狂気と暴力に満たされた目つきが本当に怖い。いやぁ、ホント、ジャニーズが良くこんな役を受けたもんだ…。
演じ切った森田剛はすごい。ムロツヨシも良かった。佐津川愛美の体当たりな演技も良かったね。
終盤の回想シーンは悲しくなった…。弱者(?)を生み出す社会とその不条理さ、そんなものを憂うね。最後は何だろう? 切なさとか悲しさとかそんなものたちがドッと来たな…。涙出た…。バイオレンス描写はかなり強烈なので好みが分かれるかも。
シネフィル編集部 あまぴぃ