京都文化博物館フィルムシアター、追悼映画女優原節子、本日1月26日と29日は『麦秋』(1951)。
『晩春』と本作とは、共に北鎌倉を舞台にしたホームドラマであること、紀子という役名の娘の結婚をめぐる筋立てと、父の役名も周吉と、『晩春』をトレースして“輪廻”“無常”といった主題を際立たせようとする。
「内面的な深さのある演技で脚本に提示された役柄の理解力と勘は驚くほど鋭敏」「お辞抜きにして、日本の映画女優としては最高だと思っている」と、小津は原の本作での演技を絶賛した。

http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film

画像1: 『麦秋』 1951(昭和26)年松竹大船作品/125分・モノクロ 製作:山本武 脚本:野田高梧 監督・脚本:小津安二郎 撮影:厚田雄春 http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film

『麦秋』
1951(昭和26)年松竹大船作品/125分・モノクロ
製作:山本武 脚本:野田高梧 監督・脚本:小津安二郎 撮影:厚田雄春 

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京都文化博物館フィルムシアター、追悼映画女優原節子、本日26日と29日は『麦秋』(1951)。『晩春』と本作とは、共に北鎌倉を舞台にしたホームドラマであること、紀子という役名の娘の結婚をめぐる筋立てと、父の役名も周吉と、『晩春』をトレースして“輪廻”“無常”といった主題を際立たせようとする。「内面的な深さのある演技で脚本に提示された役柄の理解力と勘は驚くほど鋭敏」「お辞抜きにして、日本の映画女優としては最高だと思っている」と小津は原の本作での演技を絶賛した。
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『麦秋』
1951(昭和26)年松竹大船作品/125分・モノクロ
製作:山本武 脚本:野田高梧 監督・脚本:小津安二郎 撮影:厚田雄春 


『麦秋』
1951(昭和26)年松竹大船作品/125分・モノクロ
製作:山本武 脚本:野田高梧 監督・脚本:小津安二郎 撮影:厚田雄春 美術:浜田辰雄 録音:妹尾芳三郎 照明:高下逸男 現像:林龍次 編集:浜村義康 音楽:伊藤宣二
出演:原節子(間宮紀子)、笠智衆(兄・康一)、淡島千景(田村アヤ)、三宅邦子(康一の妻・史子)、菅井一郎(父・周吉)、東山千栄子(母・志げ)、杉村春子(矢部たみ)、二本柳寛(息子・謙吉)、井川邦子(安田高子)、高橋豊子(田村のぶ)、高堂国典(間宮茂吉)、宮口精二(西脇宏三)、志賀真津子(高梨マリ)

画像2: 『麦秋』 1951(昭和26)年松竹大船作品/125分・モノクロ 製作:山本武 脚本:野田高梧 監督・脚本:小津安二郎 撮影:厚田雄春 http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film

『麦秋』
1951(昭和26)年松竹大船作品/125分・モノクロ
製作:山本武 脚本:野田高梧 監督・脚本:小津安二郎 撮影:厚田雄春 

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『麦秋』
1951(昭和26)年松竹大船作品/125分・モノクロ
製作:山本武 脚本:野田高梧 監督・脚本:小津安二郎 撮影:厚田雄春 


間宮周吉は北鎌倉に住む年老いた学者である。息子は東京の病院に通勤し、娘の紀子は貿易会社の秘書をしている。一家は婚期を逃しかけている紀子を心配し何度か縁談を持ちかけるが、当の紀子はあまり乗り気でない。
やがて上司からの縁談に幾分その気になっていた彼女のもとに、兄妹のようにつきあっていた謙吉の転勤が知らされる。その時、初めて彼への想いに気づき・・・。


本作の2年前に製作された『晩春』と本作とは、共に北鎌倉を舞台にしたホームドラマであること、紀子という役名の娘の結婚をめぐる筋立てと、父の役名も周吉と、『晩春』をトレースして“輪廻”“無常”といった主題を際立たせようとする。

「芝居もみんな押し切らずに余白を残すようにして、その余白が後味のよさになるように思った」という小津の演出意図を俳優陣は見事に体現し、たてまえから本音に、コミカルからシリアスに絶妙の間をおいて配置されるセリフも秀逸である。

キャスティングに際し「原はギャラが高すぎるから、ほかの女優を起用するように」という松竹からの提言に対し、「原さんが出演しないのであれば撮影を中止する」と小津が反論。
その旨を聞いた原は、ギャラのことなど無視して出演を懇願したという。

紀子は、如才なく気も利き、ユーモアがあって愛想もよい、中産階級のごく一般的な28歳のOLとして描写される。
両親、兄夫婦との自宅での暮らし、女学校時代の友人との会話や会社での様子など、ストーリーというよりエピソードを意識したと評される小津の試みの中で、主演でありながら場面ごとで特に大きな主張をするわけでもなく、常に空間と調和し溶け込んでいる。
当時、インタビューともなれば結婚について問われ続け、うんざりしていたという原が、そのまま映画の中の家庭で暮らしているかのような、リラックスした印象を残した。

「内面的な深さのある演技で脚本に提示された役柄の理解力と勘は驚くほど鋭敏」
「お辞抜きにして、日本の映画女優としては最高だと思っている」
と、小津は原の本作での演技を絶賛した。
(キネマ旬報賞第1位作品)

画像3: 『麦秋』 1951(昭和26)年松竹大船作品/125分・モノクロ 製作:山本武 脚本:野田高梧 監督・脚本:小津安二郎 撮影:厚田雄春 http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film

『麦秋』
1951(昭和26)年松竹大船作品/125分・モノクロ
製作:山本武 脚本:野田高梧 監督・脚本:小津安二郎 撮影:厚田雄春 

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1月26日(火)13:30〜・18:30〜
29日(金)13:30〜・18:30〜
麦秋
『麦秋』
1951年松竹大船作品(モノクロ・125分)/監督:小津安二郎/
出演:原節子、笠智衆、淡島千景


1月27日(水)13:30〜・18:30〜
30日(土)13:30〜・17:00〜
めし
『めし』
1951年東宝作品(モノクロ・97分)/監督:成瀬巳喜男/
出演:上原謙、原節子、島崎雪子


1月28日(木)13:30〜・18:30〜
31日(日)13:30〜・17:00〜
山の音
『山の音』
1954年東宝作品(モノクロ・95分)/監督:成瀬巳喜男/
出演:原節子、山村聰、上原謙


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