先週土曜日21日から、有楽町の朝日ホールやTOHOシネマズ日劇などを会場として開催されている
“第16回東京フィルメックス”!!オープニングをはじめとして、いくつかの作品を鑑賞したので、そのレポートです!

まず、初日21日は、開会式とオープニング作品の上映から始まりました。
今年のオープニング作品は園子温監督の最新作「ひそひそ星」!
本作は、園監督が1990年から25年間脚本と絵コンテを温めていた非常に思い入れの強い作品で、
被災地福島をロケ地として、またそこに暮らしている人々をキャストとして制作されました。
ストーリーは、神楽坂恵が演じるアンドロイドの女性鈴木洋子が、滅びゆく人間たちに荷物を届けるというSFもの。“人間とは何か”を考えさせられる非常に素晴らしい作品です!
この作品、1990年のアイデアに基づく自主制作作品として、上映後のQ&Aでは、園監督の自主映画時代の作品群(「部屋 THE ROOM」や「桂子ですけど」)との関連性も話題に。
近年の園監督の作品群とは、まったく異なる園子温色満載の映画で、必見!
また、2016年5月から新宿シネマカリテで公開されることも発表されました。

画像: 東京フィルメックス レポート! 1日目2日目
アジア映画の最先端を垣間見るコンペティション部門が熱い!

さて、「ひそひそ星」のあとは会場をTOHOシネマズ日劇のスクリーン3に移して
コンペティション部門「ベヒモス」を鑑賞。
中国のチャオ・リャン監督のドキュメンタリー作品で、
内モンゴル自治区の炭鉱や鉄鋼場そしてそこで働く労働者に焦点を当てています。
非常に大きな爆発音とともに始まる本作の前半は、炭鉱の様子が圧倒的なスケールで描かれます。
何台ものトラックが列をなして走り、真っ暗な闇の中様々な機械が駆動し、炭鉱の中で労働者が光に照らされて作業する様子は、劇映画に勝るとも劣らない美しいカットで描写されます。
後半は鉄鋼場の様子が、真っ赤な炎と工場内の爆音で描かれ、観ている私たちまで熱くその地響きを感じるようでした。どんなBGMよりもリアルで、どんなCGよりも視覚を刺激する映像体験です。
こうした迫力のある画に裏付けされた筋立てから見えてくるのは、環境破壊や労働者の身体被害、そして人間の飽くなき欲望です。
日本の歴史にもあてはまるような中国内モンゴル自治区の繊細かつ重要な問題を、映像美と音響でみせつける素晴らしい作品でした。
「ベヒモス」は26日(木)15:20~ 2回目の上映です。

画像1: filmex.net

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画像2: filmex.net

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22日は、なんといっても、今年のベルリン国際映画祭で最高賞(金熊賞)を受賞した
ジャファル・パナヒ監督の「タクシー」の上映です。
ヨーロッパ三大映画祭全てで賞を受賞しているイランの巨匠パナヒ監督は、
現在政府により映画製作及びイランからの出国を禁止されています。
そんな危険な状況下の中、最小限度の規模で生み出された傑作がこの「タクシー」です。
パナヒ監督自身が、タクシー運転手に扮して、乗ってくる乗客や知り合いとの会話の中で、強い社会的なメッセージを、時にはユーモアも交えて、発信しています。
なんといってもこの映画の凄いところは、カメラがタクシーの社外に出ないということです。
制限された環境の下で、会話と少しのモチーフだけで、巧みに描いています。
パナヒ監督の姪が登場し、文化祭における映画の上映許可条件を読み上げるシーンがあり、そこでは会場内で笑いが起こっていました。
そして、衝撃のラストに、私たちはハッとし、そしてイランの現状、監督の伝えたいメッセージを生の感触で受け取るのです。
政治的社会的な問題を、自身の置かれている状況とも合わせて、皮肉たっぷりに描ききった必見の作品です。
「タクシー」は29日(日)21:15~ 2回目の上映です。
ベルリン映画祭金熊賞受賞作品を見逃すなんてもったいないです!

画像3: filmex.net

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22日の夜は、コンペティション2作品目「黒い雌鶏」
今作は長編映画デビューとなるミン・バハドゥル・ハム監督が、ネパールを舞台にした制作した作品で、ヴェネツィア映画祭の批評家週間で最優秀賞を受賞しています。
ネパール北部の山間の村で展開される物語は、雄大な自然美を背景として、被写界深度の浅い映像で人間に子供たちにしっかりと焦点を当て、様々な問題を孕んだ考えさせられるものでした。
村に住む2人の子どもプラカシュとキランは、一見普通の友人に見えるが、実はそこにはカーストの差やそこから生じる貧富の差などを抱えた関係にあり、社会的な問題の影が見え隠れします。
他にも、タイトルにある雌鶏の扱い方をめぐる大人と子どもの考え方の相違は、生活と教育などの問題にも及び、親と子の関係という切り口で見ても様々な捉え方のできる面白い作品でした。
この作品の時代設定は2001年で、当時のネパールでは、マオ二スト(ネパール共産党毛沢東主義派)によるネパール内線の最中で、ネパールの歴史的なこの大事件にも言及され、そのことが子供に落とす影もメッセージとして描かれています。
こうした色々な問題を表現する作品でありながら、押しつけがましくなく、雌鶏やその卵、あるいは映画の上映や白い服などのモチーフに囲まれて、微笑ましい2人の子供の物語として、ごく自然と受け入れられる作品でした。
「黒い雌鶏」の2回目の上映はすでに終わってしまっています。

画像5: filmex.net

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東京フィルメックス1日目2日目のレポートでは、以上4作品をご紹介しました!
明日は3日目4日目のレポートを書きます、お楽しみに!

東京フィルメックスは、まだまだ絶賛開催中です。
アジアを中心に、新しい才能あふれる作品の数々が日々上映されています。
是非、有楽町朝日ホールやTOHOシネマズ日劇に足を運んでみてはいかがでしょうか!


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