一見、華やかに見える中国の映画界。
ただ、その多くはエンターテイメントのなかでも、より商業的な映画が多く、日本のようにインディペンデントな映画は上映、公開がなかなか難しい状況です。
そんな中で、着実に映画を作り続けているインディペンデントな監督達がいます。
彼等は、多くの世界の映画祭で評価され、受賞される監督達も多く、中国のインディペンデントの今、独立電影としての作品を見れる貴重な機会となります。

主催者メッセージ


本映画祭は、スポンサーもなく、助成金も受けず、民間の草の根イベントとして発足し、今回で五回目を迎えます。
2008年に始まって、規模を少しずつ拡大しながら、大学などの協力も得て、多くの方々にご参加いただけるようになりました。
国全体の経済成長が鈍りつつあるとはいえ、中国の映画産業は著しい成長を続けており、公開本数や興行収入は毎年大きく塗り替えられています。
一見順調に思える中国の映画産業ですが、現実には国による厳しい管理のもとに多くの制限を受けていて、表現の自由とは程遠い状況にあります。
また、映画館といえばシネコンしかなく、大衆受けを狙った大掛かりな商業映画でなければ劇場公開されないという、非常に偏った映画市場でもあります。
独立電影とは、そんな中国にあって、管理体制や商業システムから独立し、より自由な表現を求めて作られている映画のことを指します。
中には検閲を通しているものもありますが、検閲には通り得ないような表現もあえて取り入れている作品が少なくありません。
公開できないと分かっていても撮らずにいられなかったこれらの作品は、それだけに力強く、観るものに訴えるメッセージを持っており、 きれい事ではない、中国の生々しさが詰まっています。
残念なことに、近年は独立電影が中国政府から強い圧力を受けており、中国国内でこうした映画を上映する民間の映画祭は次々と中止に追い込まれています。
それだけに、東京で上映するということは、作品や監督にとっても大きな意味をもっています。ぜひこの機会に、独立電影にしかない魅力に触れて、監督たちと言葉を交わしてみて下さい。きっと他にはない、貴重な映画体験になるはずです。
<中国インディペンデント映画祭実行委員会>

「中国インディペンデント映画祭2015」
2015年12月12日〜27日 ポレポレ東中野 で開催

主な上映作品

『K』

画像: 『K』

K
2015年 / 88分 / 字幕 JP+EN
監督:Emyr ap Richard、額德尼宝力格(ダルハド・エルデニブラグ)
ジャ・ジャンクーをプロデューサーに迎え、カフカの小説「城」を、内モンゴルに舞台を置き換えて、全編モンゴル語で撮った作品。
イギリス人とモンゴル族による共同監督という異色の組み合わせが功を奏し、時空を超えた不思議な世界観を創ることに成功している。
今年のベルリン国際映画祭フォーラム部門で上映され、香港国際映画祭では審査員賞と国際批評家連盟賞を受賞。

『詩人、出張スル』

画像: 『詩人、出張スル』

詩人出差了/Poet on a Business Trip
2014年 / 103分 / 字幕 JP+EN+CH
監督:雎安奇(ジュー・アンチ)
ある青年詩人は、詩人であるがゆえに出張などしたことがなかったが、ふと出張がしてみたくなって、自らを新疆へ出張させることにした。
グダグダな一人旅は、成長記とさえ呼べないかもしれないが、なぜだか目が離せなくなり、鑑賞後に妙な後味を残す、一風変わった映画。
インディペンデント映画の醍醐味が感じられる興味深い一本。
ロッテルダム映画祭NETPAC賞、チョンジュ映画祭グランプリ受賞は伊達じゃない。

『トラップストリート』

画像: 『トラップストリート』

水印街 / Trap Street
2013年 / 94分 / 字幕 JP+EN
監督:文晏(ウェン・イェン)
地図の測量士をしている青年が、仕事中に見かけた女性に心を惹かれる。彼女が消えていった路地は、なぜか地図に載っていない道だった。
エンターテイメントなラブストーリーでありながら、硬派なテーマを孕んだ完成度の高い作品。それも『薄氷の殺人』(14)、『春夢』(12)などのプロデューサーとして知られる文晏の監督デビュー作と聞けば納得。
ヴェネツィア国際映画祭に出品され、多くの映画祭で賞を獲った注目作。

『癡』

画像: 『癡』

反右派闘争で右派とみなされ、1958年から80年まで強制労働所や刑務所に送られた張先癡へのインタビューと、彼の回想に基づく舞台劇風の再現ドラマを通じて、中国現代史と人間を描くことに挑んだ創意あふれるドキュメンタリー&フィクション。
史実を描くにあたっての、監督独自の手法が大変興味深い。
『マダム』(10)の邱炯炯監督が中国インディペンデント映画界に息吹を吹き込んだ、見逃せない作品。

『シャドウデイズ』

画像: 『シャドウデイズ』

鬼日子 / Shadow Days
2014年 / 96分 / 字幕 JP
監督:趙大勇(チャオ・ダーヨン)
警察に追われた若いカップルが、叔父にかくまってもらうために故郷である雲南省の山岳地帯にやって来る。そこが亡霊に満ちた呪われた町であることも知らずに……。
不思議な美しさが話題をよんだドキュメンタリー『ゴーストタウン』(08)の趙大勇監督が、同じ場所で撮影した劇映画。
素晴らしい風景と、そこで繰り広げられるミステリアスなドラマが、中国インディペンデント映画に新たなページを刻む。

『凱里ブルース』

画像: 『凱里ブルース』

路邊野餐 / Kaili Blues
2015年 / 110分 / 字幕 JP
監督:畢贛(ビー・ガン)
貴州省東部の小さな町の、霧に包まれた診療所で勤務する医者の陳升は、甥が何者かに連れ去られてしまったと知り、連れ戻しに出かける。途中、陳升はある村へとたどり着く。そこは時間の流れが他とは違う不思議な村だった。
凱里出身の青年監督が、故郷をノスタルジックに描いた、少し幻想的な作品。
ロカルノ国際映画祭現代映画人部門最優秀新人監督賞受賞、台湾金馬賞新人監督賞ノミネート。

『冬』

画像: 『冬』

冬 / Seven Days
2014年 / 73分 /( 台詞なし)
監督:邢健(シン・ジェン)
雪深い東北部の山中で孤独に暮らす老人は、鳥を友として日々を過ごしていた。そんな老人が少年と出会い、心を通わせるのだが……。
冬の深山幽谷を舞台とした、白黒で、セリフひとつない、動く水墨画のような作品。主演は今年大ブレイク中の老俳優・王徳順。
本作品がデビュー作となる邢健監督だが、モントリオール国際映画祭芸術貢献賞を始め、国内外の多くの映画祭で賞を獲っている。

その他
「王超監督特集上映」「北方の三銃士」などの特集上映など

「王超監督特集上映」

-安陽の赤ちゃん
-寝ても覚めても
-江城の夏
-幻想曲

「北方の三銃士」

-最後の木こりたち
-えぐられた目玉
-最後のハンダハン

詳しくは、下記公式サイトより

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