『雪の女王』(レフ・アタマーノフ 57)
1957年にソ連で製作されたカラーアニメーション映画。心優しい少女ゲルダが、雪の女王にさらわれた幼じみの少年カイを助けに行く旅を描いた映画です。8年ほど前、渋谷にあった映画館シネマアンジェリカで再上映されました。
ヒロインのゲルダは、過剰なぐらいの優し過ぎるやさしさを持つ人ですが、それが鼻につかない不思議な映画です。ゲルダが劇中で、助けてくれた人たちによく使うスパシーバ(ありがとう)という台詞も、使い過ぎなんじゃないかと思うけど口説くならない。
作り手たちが本気で人間を信じて、この映画を作っているから、観る側も白けれることもなく言葉を受け止められるのではないでしょうか。
雪の女王の宮殿でカイが、氷の結晶を見て「何という正確さ!間違った線は一つもない」という場面は考えされました。正確で正しいことを言葉で言われると反論しづらいです。でも正論を武器にして、正論に反した無駄と思われることを省いていくと、どんどんと生きる力が失われていくことになる。それはミヒャエル・エンデの『モモ』に登場する時間泥棒を思い出します。
ゲルダが持つ生命力の強さと思いの強さが、旅の途中会う人々が彼女に助けずにはいられない、自分たちが変わらずにはいられない。同時に色んな人に迷惑をかけながら生きるのが人生なんだなと教えられる映画です。
ところでこの映画は吹き替え版を子供の頃に見たのですが、子供心に吹き替えられた声がぎこちなく聞こえて、違和感を持ちながら観たのを覚えています。どんなに声優さんが上手くても言葉を発するときに起きる身体の動き、そして音楽とも微妙にずれるのが気になったのだと思います。
字幕は様々な制約があって、要約した言葉になりがちだし、時折あれ?と思うような字幕もありますが、それでもその国の言葉で見るほうが僕は好きです。
監督: レフ・アタマノーフ
出演: Y・ジェイモー A・カマローワ M・ババノーワ
原題: СНЕЖНАЯ КОРОЛЕВА
販売元: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
価格: 9630円
発売日 2008/07/02
時間: 63分
製作年・製作国: 1957年 ロシア(旧ソ連)