画像1: シネフィル新連載  映画キャメラマン御木茂則の"再会したい映画" 1『ミリィ 少年は空を飛んだ』(ニック・キャッスル 86)

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画像3: シネフィル新連載  映画キャメラマン御木茂則の"再会したい映画" 1『ミリィ 少年は空を飛んだ』(ニック・キャッスル 86)

画像4: シネフィル新連載  映画キャメラマン御木茂則の"再会したい映画" 1『ミリィ 少年は空を飛んだ』(ニック・キャッスル 86)

画像5: シネフィル新連載  映画キャメラマン御木茂則の"再会したい映画" 1『ミリィ 少年は空を飛んだ』(ニック・キャッスル 86)

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予告編

The Boy Who Could Fly (1986): Trailer HQ

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 人が空を飛ぶ映画の中で大好きな一本、あまり知られてないですがファンタジー映画の名編です。最愛の父親を失った家族、14歳の少女ミリィと弟と母親は傷心のまま、田舎町に引っ越してくるところからこの映画は始まります。

 ミリィの住む家の隣には、同じ年の少年エリックとその叔父が住んでいます。エリックは両親を飛行機事故で失ったことで、自閉症になり心を閉ざしていますが、ミリィとの交流が始まり少しずつ彼の心にも変化が起きてきます。互いに信じ思いやることで心の強ばりがほぐれていく過程が、暖かな視点で描かれていきます。
 ヒロインのミリィを演じているルーシー・ディーキンズの、奇跡的なまでの透明感ある美しさもこの映画の魅力です。出演作の少ない女優さんですが、私にとって80年代のティーン女優を友人と語りあうときの隠し球&一番のお気に入りです。今は俳優業を引退し、弁護士さんとして活躍しています。

 監督のニック・キャッスルの前作は『スターファイター』(84)、劇中に登場する宇宙船や特効をCGで制作するなど、本格的にCGを映画に導入した作品として知られています。『スターファイター』も楽しい作品です。

 この映画の特撮を担当しているリチャード・エドランドは、当時のハリウッド映画を代表する作品をたくさん手がけていますが、テクノロジーが優先されている映像が多い気がして、僕はあまり好きではないです。でもこの映画に関しては作品世界とマッチしていて好きです。
 撮影を担当しているアダム・ホレンダーのデビュー作は、アメリカン・ニュー・シネマの傑作『真夜中のカウボーイ』です。

 DVD化されていたことを知り、久しぶりに観ました。当時の思い入れが強いぶんだけに観るのが少し不安だったのですが、公開時と同じくクライマックスシーンで泣いてしまいました。あまりないことなので嬉しかったです。この希望に満ちた映画に映画館で再会出来たら嬉しいです。

監督: ニック・キャッスル
出演: ルーシー・ディーキンズ ジェイ・アンダーウッド
原題: The Boy Who Could Fly
販売元: ワーナー・ホーム・ビデオ
価格: 3218円
発売日 2003/08/08
時間: 108 分
製作年・製作国: 1986年 アメリカ

御木茂則(映画キャメラマン)

1969年生まれ 日本映画学校卒業
映画の撮影の仕事を20年以上続けています。仕事を続けながら沢山の映画を観てきました。数えたことはないですが、多分4000本以上の映画を観ているはずです。どの映画も愛おしい作品ばかりであり、私が仕事を続けていくうえで大切なことを教えてきてくれました。この連載は愛すべき映画への感謝の思いで始めます。
「再会したい映画」というタイトルはベタですが、また映画館のスクリーンでこの映画に再会したい!という願いをこめています。読んだ方が紹介した映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。よろしくお願いします。

撮影担当作品
『部屋/THE ROOM』(園子温 1993年)
『バッハの肖像 LFJより』(筒井武文 2010年)
『フレーフレー山田 忘れないための映像記録』(監督/撮影・2011年)
『希望の国』(園子温 2012年)
『ヒキコ 降臨』(吉川久岳 2014年)
『三人吉三』(串田和美 大形美佑葵 2015年)

撮影補
『奈緒子』(古厩智之 2008年)
『生きてるものはいないのか』(石井岳龍 2012年)

照明担当作品(撮影 芦澤明子)
『孤独な惑星』(筒井武文 2011年)
『夜が終わる場所』(宮崎大祐 2011年)
『受難』(吉田良子 2013年)
『滝を見にいく』(沖田修一 2014年)

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