美術館はだれの場所?東京都現代美術館で開催中の『ここはだれの場所?』展の会田家作品に撤去・改変要請
7月24日、会田誠が所属するミヅマアートギャラリーのオーナー、三潴末雄氏が、現在東京都現代美術館で開催されている「ここはだれの場所?」展に展示中の、会田家(会田誠、岡田裕子、会田寅次郎)作品について、東京都現代美術館側から、撤去の要請があったことを明かした。
現時点でどの程度の撤去が行われるのか、今後の動きはわからないものの、撤去要請があったことについては事実のようだ。
撤去要請のあった作品は、《檄文》と、映像作品の《国際会議で演説する日本の総理大臣と名乗る男のビデオ》の2作品だ。
あらかじめ予感はあったものの、あまりに「ここは誰の場所?」的な、むしろこの展覧会のテーマにふさわしいようにもおもえる展開になりつつある。
アート関係者たちのSNS上では、
「現代美術館は圧力に屈せず(展示を続けるように)がんばれ!」と応援する声や、
「この炎上も展示にするしかない、っていうか、なってるね。芸術は「匿名の市民のクレーム」に動揺してはいけない、ということだけは確か」
「この炎上事態も、これからの話し合いや展開もすべて公開し、展示にするべきでは?」
という書き込みも見られるが、個人的に是非そうしていただきたい、と思う。
「おとなもこどもも考える」「美術館とはだれの場所?」というテーマをより深く考える、問題提起となるのではないだろうか。
しかし、当事者にとって事態は深刻だ。
会田誠作品では過去に、森美術館での展覧会でも、市民や女性団体からのクレームがあいついだことがあったが、森美術館側は作品を撤去せずに、最終日まで展示を続けた。
東京都現代美術館は都の施設だけに、森美術館と同じような状況ではないだろう。都側からの圧力が強く、かなりの困難が予想される。人事にも及ぶかもしれないが、人事に及ばせてはならない。
美術館側だけに決断を迫るのではなく、わたしたち都民もなんらかのかたちで意思表示をし、「美術館」という名の、ひらかれた場所にある「秘密基地」を、ささえていかなければいけない、とも思う。
市民からのクレームがあったことも理由とされているが、アートは「市民のクレーム」に屈してはいけない。
園田恵子 シネフィル編集部
会田誠さん作品に改変要請 美術館、子ども向け企画展で
東京都現代美術館(東京都江東区)で開催中の子ども向けの企画展で、現代美術家・会田誠さん一家による文部科学省への批判を書いた作品について、館側が会田さんに改変などを要請していたことが24日、わかった。関係者の話では、子どもにふさわしくないなどとする館側に対し、会田さん側からは現状のまま展示できない場合、撤去もありえるとの考えも示されたという。
会田さんは、妻の現代美術家岡田裕子さん、中学生の長男と「会田家」として参加。3人が学校生活で感じた不満などを、白い布に毛筆で「文部科学省に物申す」と大書し、「もっと教師を増やせ」「教科書検定意味あんのかよ」などと訴える「檄文(げきぶん)」という作品を展示していた。これに対して、市民からクレームが寄せられたという。
展覧会WEBサイトはこちらです。
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/whoseplaceisithis.html