シネフィル新連載:広瀬大志のコワいもの見たさ2 ケン・ラッセル監督の『マーラー』を久しぶりに再見。cinefil.tokyo
ケン・ラッセル監督の『マーラー』を久しぶりに再見。
ケン・ラッセル映画の中では一番退屈な作品と最初観た当時はけなしていたのだが、久々に観てみると、なかなか面白かった。少し寝落ちしたけれど。
音楽に身を捧げる者はいずれ正気を失うという運命と、交響曲九番の呪い(ベートーベン然り、シューベルト然り、交響曲九番を作曲すると死ぬ)への異常な脅迫観念と、生活者と芸術家とのギャップへの葛藤が、随所にカットインする悪夢のシーンで表されている。
それら悪夢のシーンとマーラーの楽曲とが、かなりシンクロしていて、そこだけ観ていても楽しめる。
ヴィスコンティの『ベニスに死す』のワンシーンをそっくりパロッた所や、...