日本の絵画の要点は「四季のおもてなし」と「中国に学ぶ」〜泉屋博古館(京都)『花と鳥の四季 住友コレクションの花鳥画』展
まず会場に入るだけで、ほっと心安らぎながら、しかもどこかウキウキする展覧会だ。最近は地球温暖化で少しおかしなことになっているが、日本列島は元来、四季の変化が明晰な気候環境で、しかも日本人は農耕民族だった。年中行事の文化が極端なまでに発展して来た歴史は私たちに染み付いた文化的DNAというか、千数百年の間に「国民性」として脳の構造がそういうことに敏感になっているのかも知れない。
そんな季節をもっとも効果的に表現できるのが、農耕民族だけに自然への愛着が強い日本人にとっては、季節の草花と鳥を描く花鳥画だろう。正倉院宝物などを見ても聖武天皇遺愛とされる品には、中国・唐で作られて輸入された品でも、文...