還暦新人監督そわそわ日記 その1
西田宣善
映画監督の道は遠かった
齢61歳となった私が、このたび映画監督デビューすることになった。
私は、1963年京都生まれ。デビュー作品は『また逢いましょう』という。映画監督って、何歳でなれるものだろうか。どうやったらなれるのか。この問いに、正しく答えられる人はいない。公務員や会社員のように、組織に入ればそのまま役人や社員になれるのとは違い、映画監督には試験も資格もない。ついでに日本では給与の基準すらない。極めて曖昧な職業である。
映画監督は、何歳でなれるのか。かつて日本では、監督は助監督という監督の助手を何年かやってから監督になるのが普通だった。撮影所という、今で言えばテレビ局のようなその敷地の中で企画から配給・宣...