恋からはほど遠い男女を結びつけたのは、毎夜、鹿になる夢 監督イルディコー・エニェディが語る心と体と
独創的でロマンティシズム溢れる恋愛譚
鹿が何かの象徴として、映画に使われることは今までに何度もあった。本作は、同じ食肉処理会社に勤務のさほど親しくもない年差のある男女が、社内の盗難事件に端を発し、事件解決のためにやってきた心理カウンセラーの質問で同じ夢を見ていたことを互いに知ってから急接近し始めるというスーパーナチュラル風味のエキセントリックなラブストーリー。
普段の仕事や生活が窮屈そうで、あまり幸せそうには描かれないので、毎夜、夢の中での鹿となった彼らが穏やかで至福の時を過ごしているのが伝わってくる。現代人へのシニカルな問いかけが、随所に織り交ぜられている。
鹿はメッセンジャー
筆者は...