長澤 均による“シネフィル=映画狂”のためのDVD-BOXセット徹底解読!
第5回 ジョセフ・フォン・スタンバーグ〜退廃美とバロキズム
ジョセフ・フォン・スタンバーグの名は、なによりもマレーネ・ディートリッヒを見いだし、グレタ・ガルボと並ぶハリウッド最大のスターに押し上げ、しかもディートリッヒとともにスタンバーグの人生でも最良の映画を作り上げた監督として思い浮かぶだろう。
もちろん、それ以前にも『暗黒街』(27)といった、のちの“プレ・コード・ハリウッド”期に流行るギャング映画の先駆けとなる傑作映画も撮っているし、『紐育の波止場』(28)のような下層に属する男女の愛情を素晴らしいカメラワークで撮った傑作もある。
しかし、スタンバーグの名を世界中に知らしめたのはドイツに渡って、キャバレーに出演していたディートリッヒを“発見...