連載:おしゃべりな映画たち 第3回
『行き止まりの世界に生まれて』(2018年/ビン・リュー監督)
男の子たちの柔らかなレジスタンス
ファーストシーン、スケートボードを抱えた青年たちが、「立ち入り禁止」の入り口をくぐりぬけ、巨大な駐車場の最上階へ向けて外階段を登っていく。途中で高さが怖くなり、最上階までいくのをやめて、途中の階層で、ギヴアップして、滑り降りはじめるのだけど。しかし、滑り始めてしまえば、ものすごく大胆になんの躊躇もなく、亀裂や障害を乗り超えていく。この、臆病さと、勇敢さのバランスが、なんだか新鮮です。
滑り降りた彼らは、駐車場のゲートをくぐりぬけ、さらに、街路へとなめらかに滑り出していくのですが、とても自由自在に滑るので、まるで、街の全てが、彼らのものであるかのように見え...