北島博士のおもしろ映画講座 第31回『禅と骨』日本にもこんなぶっとんだ人がいたのかという驚きを禁じ得ない-主人公ヘンリ・ミトワの人生
横浜港そばの山下公園には、赤い靴を履いた少女の像がある。さほど大きくもないし、目だたないせいか、寄っていく人もあまりない。野口雨情作詩、本居長世作曲の童謡を覚えている世代なのか、像をなでたりしている人を見ると、なぜかさみしさを覚える。
少女像にほど近い場所に、かつては貨客船として北米航路に就航していた氷川丸も係留されて動かないまま。どちらも過去のスターに遭遇したような感じがしてならない。
「禅と骨」の主人公ヘンリ・ミトワは、この赤い靴を履いた少女を映画化しようと奔走した禅僧だ。
父リチャード・ミトワはアメリカの映画配給会社UA日本支社でチャップリンの映画の配給にかかわった人物。新橋の芸者...