みんな大好きバスキアは、アカデミックかつ体系的に丁寧に展示するほど、ますます「みんなのバスキア」になった〜森アーツギャラリー「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」
1980年代初頭のほんの数年間でアート・シーンを駆け抜けて、あっという間にどこかに行ってしまったジャン=ミシェル・バスキアは、そのほんの短期間の活動期に膨大な数の作品を残しただけでなく、そのアート・シーンに決して後戻りできないレベルの革命を、確かに引き起こした。これほどの革新を西洋絵画の世界にもたらしたアーティストがいるとしたら、この以前に遡るならフィンセント・ファン・ゴッホくらいしか思い当たらない。
ファン・ゴッホが19世紀末のパリに登場し、やはり疾風のようにあっという間に去ってしまったことは、近代の「芸術」つまり個人表現としての絵画を観客がどう受け止めるのかについてのあり方を、根本的...