連載:おしゃべりな映画たち
第2回『恋人たちの予感』(1989年、ロブ・ライナー監督)
『恋人たちの予感』という映画の脚本家である、ノーラ・エフロンが、71歳で亡くなったと知ったとき、ドキッとしました。そのとき、生まれたばかりの赤ちゃんを育てていました…夜になると、くたくたで、自分に布団をかける気力も残っていなかったのに。遠く離れた彼女の訃報が、心にガラン、ガランと響き渡ったのです。その人の死によって、忘れていたはずの初恋の人を思い出したような感じでした。あれは、2012年の6月のことです。
『恋人たちの予感』は、その20年以上前の、ニューヨークを舞台にした、「男女の友情は成立するか?」という命題をめぐる、かけひきを描いた作品です。最初の出会いは、大学卒業後です。二人は、ひ...