映画キャメラマン御木茂則の"再会したい映画" 8『お嬢さん乾杯!』(木下恵介 49)
『お嬢さん乾杯!』(木下恵介 49)
元華族の令嬢の泰子(原節子)と自動車修理工場経営者の圭三(佐田周二)、没落貴族と新興成金の恋を描いたロマンチックコメディ映画です。敗戦後の日本で華族社会を含む戦前の価値観が崩れ、新しい社会への希望を描かれています。
泰子が圭三にどうしても相容れない部分を感じ、食事の誘いを蹴って別れたあとにしみじみと漏らす台詞が「お腹空いた」。シリアスなやり取りのあとなのに空腹には逆らえないおかしさ、それは没落した華族の内情の苦しさ、華族のプライドを捨てきれない心情を一言で表現しています。泰子が圭三に正直に胸のうちを話したあと、圭三が泰子の家へ送るのに使うのが修理で預...