北島博士のおもしろ映画講座 第58回-マッツ・ミケルセンが出演するオリジナル性、パッショネートさ満点の真の異色作『アダムズ・アップル』
9月上旬、新作「残された者-北の極地-」のプロモツアーで来日していたマッツ・ミケルセンの2005年出演作『アダムズ・アップル』がようやく日本公開される。
デンマークとドイツの合作映画だが、15年前の映画なのに、すこしも古さを感じさない。観客の予想を裏切り続けるすっとぼけたストーリー、俳優の自然な演技が不条理さを自然なものとし、手際のいい画面つなぎも秀逸。オリジナル性にとみ、パッショネートさ満点の異色作だ。
スキンヘッドにカギ十字の刺青を腕に入れているアダムが、何もなさそうな野原の真ん中の停留所でバスを降りる。鍵を取り出し、出発するバスの車体にあてたので、ビーッとペンキがはがれていく。開巻...