北島博士のおもしろ映画講座 第16回 ファスベンダー監督の『あやつり糸の世界』
ニュー・ジャーマン・シネマの旗手だったライナー・ヴェルナー・ファスビンダ—監督の幻の作品「あやつり糸の世界」が、3月5日から東京渋谷のユーロスペースで封切られる。
もともとはテレビ映画として16ミリで撮影されたもので、73年と76年に一回ずつ放送されたきり、埋もれた作品となっていた。
ダニエル・F・ガロイの小説「模造世界」(創元SF文庫)に基づくストーリーで、ファスビンダーにとって唯一のSF作品。
題名が「あやつり糸の世界」となっているように、研究者の目的はコンピューターを使って、仮想人間の世界を構築し、彼らの行動をシュミュレーション・モデルとして未来を予測することだった。約1万人ほどの...