(カバー画像)「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

富士山に代表される日本の美しい風景。北斎はその美しさに感動し、芸術にしました。
『冨嶽三十六景』(1830-33年頃)は、葛飾北斎(1760-1849)の代表作にして、浮世絵風景画全体の代表作といえるでしょう。北斎が70歳を過ぎてからの作品ということにも驚かされます。
北斎の斬新な構図と、自然や人物を生き生きと捉える卓越した表現力は、日本国内にとどまらず、西洋美術においてもジャポニスムの流行と相まって、モネやゴッホらの印象派をはじめ、欧米各地に広がり、さらにはリトアニアの代表的画家M. K. チュルリョーニスにも影響を与えました。

「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」が、2026年6月14日まで、国立西洋美術館にて開催中です。
本来ならば、印象派やルネサンスといった西洋美術を展示する国立西洋美術館ではありますが、2024 年に井内コレクションより北斎の『冨嶽三十六景』が寄託されたことにより初披露されることになりました。

富士山という一つのモチーフをさまざまな視点から捉えた連作『冨嶽三十六景』。
「三十六景」というタイトルですが、10図が追加され、46図が確認されています。全46図を一挙に公開するとともに、特に高い人気を誇る2図については、それぞれ異なる摺りが1点ずつ加わっています。
追加されるのは、現存作の中でも際立って摺りと保存状態に優れた「神奈川沖浪裏」と、“赤富士”として知られる「凱風快晴」の希少な色変わり版、通称“青富士”の2点です。本展ではこれら合計48点と4月21日から追加展示される3点目の「神奈川沖浪裏」をご覧いただけます。

当時、江戸の庶民の間で、富士山に対する深い信仰があり、富士山に集団で参拝する「富士講」が盛んに行われ、富士山に見立てた築山「富士塚」が各地に作られました。こうした社会的風潮の中で北斎の『冨嶽三十六景』は爆発的ヒットとなりました。
『冨嶽三十六景』の貴重な摺りが加わった全49点をご覧頂き、西洋近代の芸術家たちをも魅了した北斎の浮世絵の歴史に思いを馳せ、北斎作品の魅力を再発見してみてください。

画像: 「神奈川沖浪裏」「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

「神奈川沖浪裏」「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

本作は、浮世絵画家として有名な葛飾北斎の傑作のひとつで、ゴッホが激賞し、ドビュッシーの交響詩からクローデルの彫刻にまで波及し、「グレート・ウェーブ」と呼ばれ、今日も北斎のアイコンであり続けています。
ダイナミックに荒れる大波に今にも転覆しそうな三艘の船。遥か向こうに富士山が見えます。大自然に立ち向かう小さな人間、静と動、遠くと近くを対比させつつ、ドラマティックな構図で、描かれた北斎の大迫力の不朽の名作です。

画像: 「凱風快晴」「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

「凱風快晴」「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

「凱風」とは夏に吹く心地良い南風のことで、通称“赤富士”とも称されるこの作品は、夏から秋にかけての気持ちの良い晴れの日の早朝に、一説では、河口湖付近から富士の北側を捉えたと考えられています。朝日で山肌が赤く染まって見え、縁起が良いとされています。麓(ふもと)には緑色で樹海が描かれ、青空に秋を予感させる鰯雲の白い色が映えています。赤と緑と青と白の色のコントラストが美しく、悠然とそびえ立つ富士山の姿は、富士を形象化した作品の中でも唯一無二の傑作です。

画像: 「凱風快晴(通称 “青富士”)」「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

「凱風快晴(通称 “青富士”)」「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

「凱風快晴」(通称 “青富士”)は「凱風快晴」の色変わり版で、日中に澄んだ青空の下で青く見える富士山の様子を描いたものです。
「凱風快晴」(通称“赤富士”)と比べるとシンプルでクールな印象です。「凱風快晴」(通称 “青富士”)は世界に数点しか存在しない希少な藍色のモノトーンで、同時に鑑賞できる絶好の機会です。

画像: 「山下白雨」「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

「山下白雨」「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

北斎の代表作『冨嶽三十六景』のなかで「三役」とよばれるのが、「神奈川沖浪裏」、「凱風快晴」そして、「山下白雨」です。
「山下白雨」は、シンプルな構図ではありますが、富士山の壮大なスケールが際立ち、とても斬新です。山頂に残雪が残る中、画面左上には夏の積乱雲があり、右下に光る稲妻との対比が印象的で、とても迫力のある富士山が描かれています。

画像: 「尾州不二見原」「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

「尾州不二見原」「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

江戸時代の富士見原(名古屋城下の富士見原)は眺望がよく、遠くに山々を望める景勝地でした。桶職人の背後に、広々とした景色が描かれていますが、本来見えるはずの近郊の景色や山々は省略し、遠くの富士山を描いています。
大きな丸い桶の中に小さな三角の富士山が見えます。浮世絵で人物を描き馴れていた北斎は、人物の描写にも優れ、庶民の働く様子を見事に描いています。
なお、地名からも富士山が見えると信じられていた場所ですが、実際には南アルプスの一番南に位置する聖岳(ひじりだけ)を富士山と見誤った可能性もあります。

画像: 「五百らかん寺さゞゐどう」「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

「五百らかん寺さゞゐどう」「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

江戸時代後期は庶民に経済的余裕が生まれ、行楽や旅への関心が高まりました。富士山を信仰する多くの「富士講」の出現を受け、『冨嶽三十六景』は、歌川広重『東海道五十三次(保永堂版)』とともに、人気を博しました。北斎は富士山の雄大な自然の姿だけではなく、観光やお花見など庶民の日常生活も生き生きと描き出しました。

画像: 「神奈川沖浪裏」裏面「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

「神奈川沖浪裏」裏面「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」国立西洋美術館内覧会にて撮影 photo by moichi saito

本展のなかで、3点の作品を表裏両面から鑑賞して頂けます。
「神奈川沖浪裏」は、初摺りに近いので裏面から見ても大変美しい作品です。
江戸の人々が浮世絵版画を手に取り、表や裏を返しながら楽しんだ感覚を、ぜひ追体験してみてください。

江戸時代に一大ブームを巻き起こした北斎の『冨嶽三十六景』。いまも、東京や京都などで日本観光に来られた外国人方のお土産として、北斎作品がプリントされたTシャツなどのグッズが人気を博し、北斎ブームは健在です。
時空を超え、人々を魅了する富士山の姿。北斎の『冨嶽三十六景』は、美しい風景画の域を超え、心の風景を描き出しています。

すべて葛飾北斎『冨嶽三十六景』より 、1830–33(天保1–4)年頃、横大判錦絵、
井内コレクション(国立西洋美術館に寄託)

展覧会概要

展覧会名:北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより
会場:国立西洋美術館 企画展示室B3F(東京都台東区上野公園7番7号)
会期:2026年3月28日(土)~6月14日(日)※巡回予定無
開館時間:9:30~17:30(毎週金・土曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、5月7日(木)(ただし、5月4日(月・祝)は開館)
企画展「チュルリョーニス展 内なる星図」、常設展も観覧可能 ※観覧当日に限る
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」@国立西洋美術館 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上2組4名様に、無料観覧券をお送り致します。この観覧券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2026年5月4日 月曜日 24:00
記載内容
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