映像の魔術師ミゲル・ゴメス(『熱波』『アラビアン・ナイト』)が 4 年の歳月をかけ完成させた最新作『グランドツアー』
ミゲル・ゴメス監督より本作に込めた思いを語るステートメントが到着!
ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞とアルフレッド・バウアー賞に輝いた『熱波』(12)、カンヌ国際映画祭監督週間部門に選出された『アラビアン・ナイト』(15/三部作)などで知られるポルトガルの鬼才ミゲル・ゴメスが、コロナ禍を乗り越え制作期間 4 年をかけて完成させた本作『グランドツアー』は、第 77 回(2024 年)カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した話題作。この度、ミゲル・ゴメス監督より『グランドツアー』に込めた思いを語るステートメントが到着した。

ミゲル・ゴメス監督
この映画の二人の主人公は、絡み合う様々な理由でこの広大な土地を横断する。エドワードは婚約者のモリーから逃げていて、モリーはエドワードを追っている。エドワードは結婚から逃れたい、あるいは少なくとも先延ばししたいと思っている一方、モリーはエドワードとの結婚を固く決心している。エドワードとモリーが旅の途中で経験する冒険こそが、この映画の核だ。ふたりの仮想的な交流、周囲の人々や世界の混乱によって生まれる「ミスマッチの交響曲(the symphony of a mismatch)」を描いているのだ。
1930~40 年代のアメリカのスクリューボール・コメディのように、女性が狩人で男性が獲物である。しかし、この二人は映画の中で空間的にも時間的にも分断された状態にある。男性と女性の視点を行き来することによって、物語はコメディからメロドラマへと変化する。この映画には複数のグランドツアーが存在する。現代アジアの映像に映される地理的な旅は、スタジオで撮影された架空のアジアの中にいる登場人物の旅と重なっている。身体的に旅をしているのと同じくらい広大な感情の領域を、エドワードとモリーはそれぞれ異なるかたちで経験している。そして何よりも、国や性別、時間、現実と想像、世界と映画といった、分断されたものを結びつける壮大な旅だ。
私は観客の皆さんに、ぜひこのグランドツアーに参加していただきたい。それこそが映画の本質なのではないかと思う。
──ミゲル・ゴメス(『グランドツアー』監督・共同脚本)
ミゲル・ゴメス監督は、1972 年、ポルトガル・リスボン生まれ。映画評論家としてキャリアをスタートさせた後、1999 年に短編『Meanwhile(英題)』(99)、2004 年に長編デビュー作『自分に見合った顔』(04)を発表。続く『私たちの好きな八月』(08)は、カンヌ国際映画祭監督週間で上映。2012 年には『熱波』(12)で、ベルリン国際映画祭の国際批評家連盟賞とアルフレッド・バウアー賞を受賞し、国際的な名声を確立した。
「千夜一夜物語」をモチーフに、現代のポルトガルを 6 時間超えの3部作で描いた『アラビアン・ナイト』(15)、妻・モーレン・ファゼンデイロと共同監督を務めた『ツガチハ日記』(21)は、カンヌ国際映画祭監督週間で上映。長編第 6 作目となる本作『グランドツアー』(24)は、カンヌ国際映画祭コンペティション部門でプレミア上映され、監督賞を受賞。さらにシカゴ国際映画祭で監督賞と編集賞をダブル受賞、ソフィア賞(ポルトガル映画アカデミー賞)では作品賞、監督賞、編集賞の3冠に輝き、映画批評サイト Rotten Tomatoes では批評家によるスコアで 90%を記録するなど、世界的に高く評価された。巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ、ペドロ・コスタらに続き、ポルトガル映画界を索引する映画監督の一人として注目を集めている。
さらに Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下では、『グランドツアー』の公開を記念した「ミゲル・ゴメス アーリーワークス」がいよいよ 8/22(金)より開催となる。監督デビュー作の『自分に見合った顔』(04)とその才能を世界に知らしめた『私たちの好きな八月』(08)の2 作を限定上映予定。世界がますます注目するミゲル・ゴメスの初期作をスクリーンで観ることができるこの貴重な機会を、どうぞお見逃しなく。

© 2024 – Uma Pedra No Sapato – Vivo film – Shellac Sud – Cinéma Defacto

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【STORY】
1918 年、ビルマのラングーン。大英帝国の公務員エドワードと結婚するために婚約者モリーは現地を訪れるが、エドワードはモリーが到着する直前に姿を消してしまう。逃げる男と追う女の、ロマンティックでコミカルでメランコリックなアジアを巡る大旅行の行方は...。
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youtu.be【CREDIT】
監督:ミゲル・ゴメス
出演:ゴンサロ・ワディントン、クリスティーナ・アルファイアテ、クラウディオ・ダ・シルヴァ、ラン=ケー・トラン
撮影:ルイ・ポサス、サヨムプー・ムックディプローム、グオ・リャン
2024 年/ポルトガル・イタリア・フランス・ドイツ・日本・中国/ポルトガル語、中国語、タイ語、フランス語、ビルマ語、ベトナム語、フィリピン語、日本語/129 分/カラー・モノクロ/1.66:1/5.1ch
原題:Grand Tour 字幕:齋藤敦子 字幕監修:木下眞穂
後援:ポルトガル大使館
提供:シネマライズ、ミモザフィルムズ
配給:ミモザフィルムズ
© 2024 – Uma Pedra No Sapato – Vivo film – Shellac Sud – Cinéma Defacto





