江戸時代に活躍した出版業者・蔦重、こと蔦屋重三郎(1750~1797)は、喜多川歌麿、東洲斎写楽、山東京伝といった名だたる浮世絵師を世に出したことで有名です。
2025年1月からのNHKの大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」では、貸本業から身を起こし、社会状況の変化をつぶさにとらえ、まさにメディア王にまでのぼりつめた蔦重の波乱万丈の生涯が取り上げられ、注目を集めています。
東京国立博物館 平成館では、特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」が開催されます。多彩な出版活動を通し、人々が楽しむものを追い求め続けた蔦屋重三郎。
展覧会では「本」のみならず、優れた作者を育て、時代そのものをつくり上げたコンテンツビジネスの風雲児ともいえる蔦重の全体像が約250作品で紹介されています。
浮世絵黄金期と呼ばれる18世紀末の浮世絵界を代表する歌麿、写楽などの名品が勢揃いしています。是非、この機会にご覧ください。
また、横浜流星が好演する大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)と連携し、ドラマの世界が展覧会で再現されています。蔦重が活躍した頃の江戸の街にタイムスリップしたような空間は圧巻です。こちらも是非、ご体感ください。
第一章 吉原細見・洒落本・黄表紙の革新
蔦屋重三郎は寛延3年(1750)、幕府公認の遊廓である吉原の地に生まれました。
彼の出版人としての活動は、その吉原の情報誌『吉原細見』の出版に携わるところから始まります。蔦重はすぐさま優れた手腕を発揮。風刺や滑稽を織り交ぜた黄表紙や洒落本は大衆の心をとらえ、朋誠堂喜三二や恋川春町、山東京伝ら才子の傑作を世に送り出します。

山東京伝作『箱入娘面屋人魚』墨摺小本 寛政3年(1791)正月 東京国立博物館蔵
通期展示 ※会期中、頁替えを行います
大人向けの読み物で、江戸で流行した「黄表紙」(絵入り小説)の一点。人気の戯作者・三東京伝の作で、序文に蔦重自身が登場して、「まじめなる口上」を寄せています。

礒田湖龍斎筆『雛形若菜初模様丁字屋内ひな鶴』大判錦絵 安永4年(1775)頃
東京国立物館蔵 前期展示4月22日~5月18日
100点を超える美人画シリーズで、昭和期から安永、天明期に活躍した湖龍斎の代表作。

北尾重政・勝川春章画『青楼美人合姿鏡』彩色摺大本 安永5年(1776)正月
東京国立博物館蔵 通期展示 ※会期中、頁替えを行います
蔦重が企画、出版した絵本で、当代きっての人気浮世絵師・重政と春草が競作しました。
各妓楼の遊女たちが、季節ごとに琴や書画、香合、すごろく、投扇興といった芸ごとや座敷遊びに興じる姿を描き出しています。
第二章 狂歌隆盛―蔦唐丸、文化人たちとの交流
天明期(1781~89)を中心に、江戸では狂歌が爆発的な人気を博します。当代一流の文化人たちとの交流のなかで、狂歌集、狂歌絵本を一手に刊行するプロデューサーとして商才を発揮し、江戸文化の発信源となります。

宿屋飯盛撰/喜多川歌麿画『画本虫撰』彩色摺大本 天明8年(1788)正月 千葉市美術館蔵
前期展示4月22日~5月18日 (後期は別本を展示)
狂歌のグループ・連が詠んだ狂歌集に歌麿が絵を添えた狂歌絵本。「虫」をテーマに詠まれた狂歌に昆虫など小動物が季節ごとの草花に取り合わせて描かれています。
海辺の貝を詠んだ『潮干のつと』と鳥をテーマにした『百舌鳥狂歌合』とともに三部作として知られ、いずれも歌麿の精緻で写実を極めた生き物たちの描写が傑出しています。

重要文化財 平賀源内作『エレキテル』木製彩色 江戸時代・18世紀 郵政博物館蔵
前期展示4月22日~5月18日(後期は複製を展示)
平賀源内は、オランダから伝わった摩擦起電機・エレキテルを自力で制作し、大名屋敷などで、見世物にしたり、病気治療のために使いました。
第三章 浮世絵師発掘―歌麿、写楽、栄松斎長喜
寛政期(1789~1801)、蔦重は浮世絵界に進出します。喜多川歌麿、東洲斎写楽、栄松斎長喜といった名だたる絵師たちを発掘し、彼らの魅力を最大限に生かした浮世絵を企画・出版しました。

喜多川歌麿筆『婦女人相十品 ポッピンを吹く娘』大判錦絵 寛政4~5年(1792~93)頃
東京国立博物館蔵 前期展示4月22日~5月18日
淡く光る雲母を摺り込んだ背景に市松模様の華やかな着物の取り合わせが町娘の華やかさを一層際立たせています。ポッピンというガラス細工のおもちゃを口にした娘が不意に声を掛けられ、振り返った瞬間のスナップショットです。

重要文化財 東洲斎写楽筆『三代目大谷鬼次の江戸兵衛』大判錦絵 寛政6年(1794)
東京国立博物館蔵 前期展示4月22日~5月18日
写楽の代表作。人物の顔を大胆にクローズアップした「大首絵」の構図です。無名の新人絵師だった写楽が夏興行に一挙28枚の大首絵を刊行し、浮世絵界を驚かせました。黒雲母刷りで暗い舞台に映える役者をリアルに描き出しました。

喜多川歌麿筆『姿見七人化粧』 大判錦絵 寛政4~5年(1792~93)頃
東京国立博物館蔵 後期展示5月20日~6月15日
大きな鏡を前に髪に手をやり、びん直しをする娘。背景を省いて、髪や着物、鏡の枠に黒を効かせ、鏡の枠の上下で幅を変え、歪ませることで二次元の世界に奥行きを感じさせる卓越した歌麿の表現力がわかります。
附章 天明寛政、江戸の街
多くの戯作や狂歌、浮世絵の舞台となった「江戸」は、どのような街だったのでしょうか。この章では蔦重が活躍した天明・寛政期の江戸の街を大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)のセットとともにお楽しみください。
蔦重は江戸の遊郭や歌舞伎を背景にしながら、狂歌の隆盛、浮世絵の黄金時代の流れに乗り、歌師や戯作者、人気役者、人気絵師のネットワークを縦横無尽に広げて、さまざまな分野を結びつけながら、メディアミックスによって、出版業界にさまざまな新機軸を打ち出しました。そして、その商才を活かし、コンテンツビジネスを際限なく革新し続けました。そこに根差したものは徹底的なユーザー(消費者)の視点であり、人々が楽しむもの、 面白いものを追い求めたバイタリティーにあるといえるでしょう。
展覧会概要
展覧会名 特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」
会場 東京国立博物館 平成館
会期 2025年4月22日(火)~ 6月15日(日)
*会期中、一部作品の展示替えを行います。
休館日 月曜日、5月7日(水)
*ただし、4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館
開館時間 午前9時30分 ~ 午後5時
*毎週金・土曜日、5月4日(日・祝)、5日(月・祝)は午後8時まで開館
*入館は閉館の30分前まで
公式ホームページ https://tsutaju2025.jp/
公式サイトに触れて頂きますと料金など詳細がご覧いただけます。
シネフィルチケットプレゼント
下記の必要事項、をご記入の上、「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」@東京国立博物館 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上3組6名様に、無料観覧券をお送り致します。この観覧券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2025年5月5日 月曜日 24:00
記載内容
☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・
1、氏名
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の郵便番号、電話番号、建物名、部屋番号も明記)
4、ご連絡先メールアドレス
5、記事を読んでみたい映画監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
ご記入下さい(複数回答可)
8、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
9、シネフィルのこの記事または別の記事でもSNSでのシェアまたはリツイ―トをお願い致します。
☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.・。☆.