今回は僕、飯塚冬酒が監督した音楽映画『雨ニモマケズ』にご出演いただいた山中アラタさんにインタビューをさせていただきました。
かなり前から存じ上げている俳優さん。現場でも安心してゆだねることができました。
楽しいお話をお届けいたします。
![画像: 対談企画「いま気になる映画人」VOL.06
山中アラタ(俳優)×飯塚冬酒(映画監督)
~音楽映画『雨ニモマケズ』特別企画~](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781437/rc/2025/01/24/60e39d1bacacfc8a267feb00f667af8276e5f004_xlarge.jpg)
7年振りの邂逅
飯塚「出会いは・・・奥田裕介監督の『世界を変えなかった不確かな罪』ですよね。」
山中「そうですね。奥田監督とは、監督が学校の卒業制作の映画を撮影するときにご一緒して、そこから彼の長編第一作目『世界を変えなかった不確かな罪』で声をかけていただき。その時に飯塚さんと知り合ったんですよね」
飯塚「7~8年前くらいですかね。そう考えるとお知り合いになってから長いような、短いような」
山中「奥田監督も。今回の飯塚さんの作品『雨ニモマケズ』でも僕のことを悪いキャラクターでオファーしてくるので(笑)」
飯塚「いえいえ決してそんなことはなく(笑)。7年経ってまたご一緒できました」
俳優になるきっかけ
飯塚「なんかべたなところからお訊きしようと思うのですが。山中さんが俳優になるきっかっけって?」
山中「僕は元々、関西でモデルやっていたんです。いろいろとお仕事をいただく中であるCMの仕事があって初めて演技らしきものを求められて。演じるなんて初めてのことで新鮮で・・・そこから演技に興味を持った、というところです。
先ず2年くらい大阪で養成所に通って俳優の勉強して、それから東京に来て俳優活動を始めたという感じです」
飯塚「今、お仕事も結構順調のようですし、主演作も立て続けで順風ですよね。どんな風にお仕事が増えていったのでしょうか」
山中「いえいえ、順調なんて(笑)。
最初、東京に来てからテレビの再現ドラマやエキストラとか、いろいろやってきました。
今の事務所に入ってから、映像とくに映画の仕事が増えていきました」
飯塚「事務所って俳優活動にとってやはり大切なんですね」
山中「僕の場合はそうですね。事務所の紹介で仕事も増えていったこともありますね」
飯塚「なるほど。それ以外にも山中さんは、監督とすごく仲がいいようなイメージがあり。監督からのオファーも多そうですよね」
![画像: 俳優になるきっかけ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781437/rc/2025/01/24/d69b92aa1879066ab04820f97d009359db34566d_xlarge.jpg)
監督と役者
山中「一度仕事すると仲が良くなることも多いですね。
例えば・・・土田ひろかず監督はオーディションで『拝啓、永田町』でご一緒して気に行っていただけたのか『かごのない鳥』でもお声かけていただいたり。
『かば』の川本貴弘監督は、もともとスタッフさんに知り合いがいてお声かけていただいて。長い期間で撮影した作品ということもあり、在京の監督が東京にいらしたときには必ず連絡があったりと」
飯塚「監督毎に色々とを演出や現場の方法が違うと思いますが、やりやすい、やりにくいなどってあるんですか?」
山中「監督との距離が短いほうがやりやすいですね。
僕は、役者としては監督の求めることを具現化していきたいので、監督から直接の考えをお聞きしたりしたほうが、監督も求めることに近いものを提示できるんじゃなかと思っています。
助監督さんを通じて、という現場もありますが距離やバイアスが入るとどうしても監督の考えとちょっとずれてしまう可能性もありますしね」
飯塚「なるほど。勉強になります」
![画像: 監督と役者](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781437/rc/2025/01/24/1a64d309c849ca4a1c3ddbd8bbc1e89dc22eda91_xlarge.jpg)
俳優・山中アラタ
山中「僕は、『びっくり箱』でいたいんですね」
飯塚「『びっくり箱』?」
山中「そう。同じような役を演じてイメージが固まるんじゃなく。次はどんな役を演じて出てくるんだろう、とか。固定観念をなくして、山中アラタの演じる役を楽しみにしていただけるような。
学校の先生もやりますし、殺し屋だったり、ある映画ではアクションだったりと。
求められることが様々であることが役者の醍醐味だと思います」
飯塚「腑に落ちます」
山中「監督の考えることを最大限に表現したい、超えていきたい、そのためには『固定された山中アラタ』でいたくない、という感じですね」
![画像: 映画『雨ニモマケズ』より 左から 山中アラタさん / 笠松七海さん / 梅垣義明さん](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781437/rc/2025/01/24/d7c39c8e01fc5ffda13ee8f9e6eee3d470a3d1b9_xlarge.jpg)
映画『雨ニモマケズ』より
左から 山中アラタさん / 笠松七海さん / 梅垣義明さん
映画『雨ニモマケズ』について
飯塚「今回の作品『雨ニモマケズ』では山中さんに本当に助けられました」
山中「そうですか(笑)」
飯塚「素材をつなげたときに感じたのが、僕の想像を超えるキャラクターが映画の中で生きているなあ、と思いました。
当初、もっと悪役キャラクターになるのかな、とも思っていたのですが、そんなに悪くなく、というよりも、なんかしょうがないなあ、と愛される感じで・・・。
演技プランはどのように組み立てているんですか?」
山中「僕の場合は、自分の出番の最後から組みたてていくんです」
飯塚「山中さん登場の最後のシーン・・・あそこは重要で・・・。あの山中さんの行動を見て観客に『ざまあみろ』と思われるのは嫌だなあ、と思っていたのですが、すごく納得のいくシーンになっていました」
山中「飯塚さんが、完全な悪者を作りたくないんだろうな、というのは感じていたので。
自分の最後の出番から決めていって、最後を活かすために途中途中の演技を足したり引いたり、少し厳しい役に見せたり、それだけでなくコメディ要素を入れたり、最後に向けていく、という作り込みをしました」
飯塚「そのおかげで山中さん演じる鎌田というキャラクターが『雨ニモマケズ』で活きているんですね。ありがとうございます」
これからのこと
飯塚「ちなみにお好きな映画をお訊きしてもよろしいでしょうか」
山中「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ですね。エンターテイメント作品としてあんなに面白い映画はないと思っています。
わくわくして何度も観たいと思うような映画ですよね。
最近ですと・・・『トップガン マーヴェリック』。映画の大半が作戦を遂行するための物語、大切な作戦部分は物語の1/4くらいじゃないですか(笑)
みせたいものをしっかり前に出す、それが感じられる映画は好きです」
飯塚「これからの目標などございましたら」
山中「監督の意思がはっきりしている映画や、僕に、とオファーしていただける映画であれば出ていきたいですね。
監督のメッセージ性のある映画、誰かの好きな映画5選にあげていただけるような作品に出て、記憶に残るような俳優になっていきたいです」
![画像: これからのこと](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16781437/rc/2025/01/24/67bb578f83eac1c65ecfe9135dd3a49f5bc3b1ef_xlarge.jpg)
雨ニモマケズ|監督:飯塚冬酒|90分|2024年|5.1ch|日本|
2/8(土)~新宿K's cinemaほか順次劇場公開
https://g-film.net/ame/
カメラ:塩出大志 / ヘアメイク:成美