舞台、映像と活躍されていらっしゃる三森麻美さん。
プロデュース作品で一度ご一緒させていただき、今回は僕の監督作品『雨ニモマケズ』にご出演いただきました。

出会い
飯塚「ご無沙汰しております」
三森「ご無沙汰しております」
飯塚「奥田裕介監督の『世界を変えなかった不確かな罪』でご一緒してから・・・」
三森「そうですね、何年前でしょうか」
飯塚「2017年製作なので、7年くらい前。僕はその前から三森さんを存じ上げていて」
三森「辻野正樹監督の『明日に向かって逃げろ』をご覧になっていただいたんですよね」
飯塚「そうそう、『世界を変えなかった~』のキャスティングをしているときに三森さんがふと頭をよぎって、すぐにご出演の相談をさせていただいて。その節はありがとうございました」
三森「いえこちらこそ」

『明日に向かって逃げろ』(監督:辻野正樹|2015年|40分|日本)
俳優になるきっかけ
飯塚「べたな質問から入りますが・・・俳優になるきっかけから教えてください」
三森「特にものすごいきっかけ・・・ということはなかったんですけれど。あえて言うなら・・・もともと映画は大好きでよく観ていたんですね。中学の時に金曜ロードショーで『アルマゲドン』を何気なく観てたら、お父さんの姿に自分でも驚くほど感動して・・・この映画の中に入りたい!って思ったことがきっかけですかね(笑)」
飯塚「ブルース・ウィリス(笑)」
三森「それが原体験ですかね(笑)」
飯塚「俳優になろうと思ってからはどんなふうに?」
三森「憧れはあったんですけど・・・あまり人には言えなくて。中学・高校は映画をひたすら観まくっていました。その後、看護系の学校を卒業して働きながら、地元の演技クラスに通って演技を勉強しました。
その後、東京に出てきて、映画演劇学校のENBUゼミナールで1年間演技の勉強をしました。沢山の仲間と出会い、映画をつくったり舞台をやったりしながら、学校を卒業後は事務所に入って俳優のお仕事をしていました。映像の現場も劇場の中も本当に楽しくて。今はその事務所からは離れているんですけど、とてもお世話になりました」
飯塚「ENBUさんで辻野さんとお知り合いに?」
三森「そうです。そこでお声かけていただいて中編映画『明日に向かって逃げろ』に出演させていただきました」
飯塚「あの作品は僕も大好きな作品なんです」

はじめて脚本をひらくとき
三森「いただいた脚本を初めて読む瞬間が好きで、その時が一番楽しんで脚本をみることができると思うんですね。お客さん目線に近い感じだと思います。その時に少しでも面白いところ、少しでも心動かされるところ、とか感じられるとわくわくします」
飯塚「ほうほう」
三森「その役をやってみたいかどうかってその時に決まる気がします」
飯塚「でもそんな作品ばかりじゃないですよね」
三森「たまにありますけど(笑)脚本読んで何が面白いんだろうって。でもそういう時は自分が面白くしてやろうって思っていた時期もありました・・・今思うともの凄くおこがましいですけど(笑)」
飯塚「『雨ニモマケズ』はちょっとでも面白いところがあったからご出演いただけた(笑)」
『雨ニモマケズ』について
三森「『雨ニモマケズ』は脚本読んだときにどうなるんだろうっていうシーンがあって試写が楽しみだったんですね。実際そのシーンを観たときに気付いたら泣いていました」
飯塚「あ、ありがとうございます。役者さんの力です」
三森「あとは前作の『MOON and GOLDFISH』もそうだったんですけど、文字回りに飯塚さんのこだわりやセンスが感じられました」
飯塚「こだわりとセンスとか、そんなかっこいいものじゃなくて(笑)・・・シーンを繋いで感情や物語を積み上げて映画を創る、というような王道での勝負は僕の力量ではできないので、みんながあまりやらないような構成とか、文字回りにちょっとこだわってみたりとか・・・飛び道具を使うしかないんですよ(笑)

役者について
飯塚「役づくりとかはどうされています?」
三森「カメラとかお客さんの眼はごまかせないと思っているんです。あと、自分の中では嘘はつけないので・・・役の背景を物凄く考えて咀嚼して、撮影するシーンの前にこの人は何やってたんだろうとか、この人だったらこういうことを考えているんだろうな、とか。そういう部分を意識しています」
飯塚「それは舞台でも映像でも同じアプローチ方法?」
三森「基本的には一緒です。でも舞台は稽古をしっかりできるので少しだけ安心できます。映像はあっという間に終わってしまうので」
飯塚「役者さんを続ける魅力って何ですか?」
三森「・・・私、姉がいるんですけど家族であまり喧嘩をしたことがないんですね。でも役者としては喧嘩もできるし喜怒哀楽を表現できる。自分ではないこともできるということですかね。それと、いろんな場所に行けると思います。芝居の中でもリアルでも」
飯塚「なるほど」
三森「観客としても、舞台も映画も暗闇の中で観ていて、頭の中では旅ができると思うんですね。あんなことやこんなことを考えることもできますし」
飯塚「これからはどんな役者さんを目指していきますか」
三森「大竹しのぶさんや桃井かおりさんが大好きなんですね。ああいう俳優さんになりたいです」
飯塚「素敵な方ですよね」
三森「あと・・・私、何でかわからないんですけど、いつも怒る役が多かったんです(笑)。怒り顔なんですかね。寡黙な役をしてみたいです。説得力のある演技ができる俳優さんを目指したいなあって思っています」

雨ニモマケズ|監督:飯塚冬酒|90分|2024年|5.1ch|日本|
2/8(土)~新宿K's cinemaほか順次劇場公開
https://g-film.net/ame/
カメラ:岩川雪依 / ヘアメイク:成美