今回からはじまった対談企画「いま気になる映画人」では、映画製作・プロデューサーの飯塚冬酒が「いま気になる」映画人に逢い、対談する企画です。
第一回目は、横浜の老舗ミニシアター、ジャック&ベティの名物支配人・梶原俊幸さんと対談します。

画像: 梶原俊幸(横浜シネマ・ジャック&ベティ 支配人)

梶原俊幸(横浜シネマ・ジャック&ベティ 支配人)

映画製作・配給のきっかけはジャック&ベティ

飯塚「いつもお世話になってます。今回cinefilさんで不定期連載をさせていただくことになりまして・・・僕が映画の世界に踏み入れるきっかけを与えてくれたのが梶原さん、そしてジャック&ベティ30周年企画映画『誰かの花』をプロデュースさせていただいた、ということもあり第一回目の対談をお願いさせていただきました」

梶原「ありがとうございます。飯塚さんとも長いですよね」

飯塚「出会ったのが・・・」

梶原「私がジャック&ベティに関わったのが・・・正式には2007年の3月からになってで・・・その2~3年後に」

飯塚「そうそう、僕が主催している日本最大のゴスペルイベントの『横濱ゴスペル祭』の連動企画でジャック&ベティさんで『SOUL POWER』という音楽映画を上映させていただいて・・・」

梶原「翌年から『横濱HAPPY MUS!C映画祭』という映画祭でご一緒しはじめたんですよね」

飯塚「そう考えると長いですね。十数年・・・。僕はその映画祭で出会った松永大司監督とご一緒して日米のゴスペルを追ったドキュメンタリー映画『GOSPEL』を製作・配給して、そこからですかね、映画製作に足を踏み入れたのが」

梶原「映画製作や配給から・・・今や、映画監督もされてますものね」

ジャック&ベティ30周年企画映画『誰かの花』について

飯塚「僕の監督の話はおいておいて(笑)・・・おかげさまで映画製作や配給、海外からの買い付けまで・・・まだまだ少ない数ですが映画に携わらさせていただいています。2021年はジャック&ベティさんの30周年企画映画を立ち上げさせていただいたりと・・・本当にありがとうございます」

梶原「実は、飯塚さんからジャック&ベティ30周年の映画の企画を持ち込まれたときに『本当にできるのかな』なんて思っていたんですよ(笑)」

飯塚「よくもまあ、こんな経験の少ないプロデューサーの企画持ち込みにOKを出していただきましたよね」

梶原「まあ・・・紆余曲折ありましたね(笑)撮影開始までに、いろいろと変更が出たり・・・」

飯塚「確かにいろいろありましたけど・・・第34回東京国際映画祭での上映や全国劇場公開など、手前みそではないですけどミニシアター系が製作にかかわった映画の中でも『誰かの花』はそこそこいい形になったのではないでしょうか」

梶原「企画持ち込みから、お金集め、製作・配給まで、本当にお世話になりました」

飯塚「おかげで大赤字です(笑)」

画像: 飯塚冬酒

飯塚冬酒

今後のミニシアターの在り方

飯塚「ジャック&ベティさんは本当に多くの作品を上映していますよね」

梶原「年間300本ほど(笑)ひとつの映画をじっくり、という上映もあるのでしょうけれど、多くの映画を上映することによって、劇場にいらしたお客さまが他の映画にも興味を持っていただけたり知らない作品に出逢っていただく、そんな映画館を目指しています」

飯塚「独自の映画祭やイベントなども積極的におこなっていますよね」

梶原「アジア出身をはじめ諸外国の方々が多い地域ということもありまして『よこはま若葉町多文化映画祭』や今年初の試みとしては地元のスケートボードショップとの連携で開催する『JACK AND BETTY FES』、飯塚さんとご一緒させていただいている『横濱インディペンデント・フィルム・フェスティバル』など、他のミニシアターよりは多いかもしれませんね」

飯塚「支配人と語る『ジャック&ベティ サロン』を毎月開催されていたり、大岡川での映画上映など、映画館の枠を超えての活動も多いですよね、これは何か理由があるのですか?」

梶原「街の中にある映画館、街と映画館の共生ということを掲げています。これからのミニシアターは映画を上映してお客さまを待っているだけではなく、街と共生しながら街のみなさまと一緒に文化を楽しむ、ということがとても重要になるのではないでしょうか」

画像: 今後のミニシアターの在り方

クラウドファンディングのその後

飯塚「つい先日のクラウドファンディングでは相当な支援がありましたよね」

梶原「おかげさまで、劇場運営を支援していただく目的で『andcinema』を掲げたクラウドファンディングにはみなさまから4千万円以上のご支援をいただきました」

飯塚「and cinema?」

梶原「表記は『(  ) and cinema』となっていて、『みなさま』と映画、『街』と映画、(  )の中には何が入ってもいいんですけど、もっと身近に映画と映画館を感じてもらいたい、街の中の映画館をもっと知ってもらいたい、というメッセージなんです。
クラウドファンディングが終わった後でも、映画館と黄金町という街にいらしていただけるような、そんな想いを込めています」

飯塚「いいメッセージですね」

梶原「映画館にいらした方に周辺の珈琲店や食堂なども訪れていただき特徴ある黄金町の魅力を感じていただけたら嬉しいです。それが街にあるミニシアターのひとつの在り方だとも思っています」

飯塚「確かに・・・東京の劇場で観るよりこの街、黄金町で観たい、という映画もありますしね。以前プロデュースした作品『FRIDAY』(※1)はジャック&ベティさんでも評判よかったですしね」

梶原「『FRIDAY』はまさに街の映画だったと思います。このように映画+映画館+街、という体験ができることはミニシアターの大きな魅力だと思います」

飯塚「これからも『街の映画館』として長く続けれられていくことを期待しています。あ、なんか偉そうにすみません(笑)」

梶原「ありがとうございます」

※1『FRIDAY』
横浜伊勢佐木町で40年続くライブハウスFRIDAYを愛するクレイジーケンバンドやクリスタルキング、宇崎竜童、Bor.KORNなどが出演する音楽ドキュメンタリー映画。

横浜シネマ・ジャック&ベティ
神奈川県横浜市中区若葉町3-51
https://www.jackandbetty.net/

インタビュー:飯塚冬酒 / 撮影:岩川雪依

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