東京国立近代美術館(東京・竹橋)にて、8月25日(日)まで「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・ コレクション」が開催されています。
本展は、豊かなモダンアートのコレクションを築いてきたパリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館のコレクションから共通点のある作品でトリオを組み、構成するという、これまでにないユニークな試みの展覧会となっています。
時代や流派、洋の東西を越えて、主題やモチーフ、色や形、素材、作品が生まれた背景など、自由な発想によって組まれたトリオの共通点はさまざまです。
総勢110名の作家による絵画、彫刻、版画、素描、写真、デザイン、映像など、150点あまりの作品が、34のトリオに組まれ、テーマやコンセプトに応じて7つの章に分けて紹介されています。
異色の組み合わせ、さまざまな名品による夢のような競演をお愉しみください。
モデルたちのパワー
横たわる女性の肖像画は、西洋美術史の歴史の中で受け継がれる伝統的な構図のひとつで、かつては、女性の理想的な美が描かれていました。
ここでは、マティスの《椅子にもたれるオダリスク》と、萬鉄五郎《裸体美人》(重要文化財)、モディリアーニの《髪をほどいた横たわる裸婦》がトリオとなっています。
それぞれに個性的な女性像が描かれ、いずれもくつろいだポーズで横たわっていますが、かつての男性から見られる対象としての理想の女性美とは異なり、女性の強い意志が感じられます。
「色彩の魔術師」とも呼ばれたマティス。華やかに装飾された部屋の中でくつろぎ、横になる女性は、見られることを意識していないようで、美しさの中に女性の強さ、パワーが感じられる作品です。
寝転んでこちらを見下ろすような萬鉄五郎の《裸体美人》。東京美術学校(現・東京藝術大学)の卒業旅行で描いた作品で、フォービスムの影響を受け、それまでとは違う作風となっています。
「横たわる裸婦」をテーマに描いたルネサンス期のティツィアーノの作品《ウルヴィーノのヴィーナス》を意識して描かれたとも言われていますが、モディリアーニは古典的とは真逆の新しい独自の感性で、斬新に描いています。
頭の上部は切り取り、女性を大きくクローズアップした構図となっていて、女性の強い眼差しが感じられます。
空想の庭
この3人はそれぞれが好んだ草花や果物、動物などを画面に配置し、自由に「空想の庭」を創り出しています。草花で埋め尽くされた装飾的な画面。幻想的で美しい世界が広がっています。
デュフィは、植物園の近くに住み、動植物をモチーフにしたテキスタイルデザインを数多く手がけました。爽やかで美しい庭園を色鮮やかに描きました。
辻永は、草花を愛した父の影響でかつて植物学者を志していました。愛らしい羊と華やかな赤い花でファンタジーに溢れる世界を創り出しています。
ボーシャンは、独学で画家になる前に園芸業を営んでいました。緑の樹々と果物の繊細な表現、美しい色彩で「空想の庭」を描きました。
現実と非現実のあわい
左から、ヴィクトル・ブローネル《ペレル通り2 番地2 の出会い》ルネ・マグリット《レディ・メイドの花束》有元利夫《室内楽》
このトリオは、いずれも過去の絵画を参照し、画家が自らの分身のような存在を描き込むことで、現実と非現実のはざまを出現させているという点で共通しています。
ブローネルは、かつてアンリ・ルソーが住んだペレル通り2番地2に引っ越したことから、ルソーの《蛇使いの女》(1907年、オルセー美術館)に、自らが生み出した、巨大な頭部と2つの身体、6本の腕を持つ「コングロメロス」を登場させています。
マグリットはしばしば描いた山高帽の男の背に、ボッティチェリの《春》(1482年頃、ウフィツィ美術館)の花の女神フローラを重ねました。
ピエロ・デッラ・フランチェスカら初期ルネサンスのフレスコ画に魅せられた有元の絵画は、他の多くの作品にもみられる古典的な女性が中央に鎮座し、非現実的でありながら懐かしさを漂わせています。
34のトリオに組まれた約150点あまりの、名だたるアーティストたちによる錚々たる作品が集結しています。
7つのテーマやコンセプトによる異色の組み合わせ、珠玉作品による競演を是非、ご堪能ください。
シャンゼリゼ通りとエッフェル塔の間に位置するパリ市立近代美術館の宮殿は、1930年代の壮麗な建築の一例。15,000点以上の作品を所蔵するパリの重要な文化施設であり、フランス最大級の近現代美術館のひとつ。
東京の中心・皇居のお濠を前に建つ日本で最初の国立美術館。最大の特徴は、横山大観、上村松園、岸田劉生らの重要文化財を含む13,000点を超える国内最大級のコレクション。19世紀末から現代までの幅広いジャンルにわたる日本美術の名作を、海外の作品もまじえて多数所蔵。
2022年、大阪市中心部に開館。19世紀後半から今日に至る日本と海外の代表的な美術とデザイン作品を核としながら、地元大阪で繰り広げられた豊かな芸術活動にも目を向け、絵画、版画、写真、彫刻、立体、映像など多岐の領域にわたる6,000点超を所蔵。
展覧会概要
会場 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
会期 2024年5月21日(火)~8月25日(日)
9月14日(土)~12月8日(日)大阪中之島美術館4階展示室で開催
休館日 月曜日(ただし8月12日は開館)、8月13日(火)
開館時間 10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)
入館は閉館の30分前まで
観覧料 一般 2,200円(2,000円)大学生 1,200円(1,000円)高校生 700円(500円)
( )内は20名以上の団体料金。
中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金でご鑑賞いただけます。
本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)、コレクションによる小企画「新収蔵&特別公開|ジェルメーヌ・リシエ《蟻》|インターナショナル編」(2F ギャラリー4)(※一部作品は展示替えがあります)もご覧いただけます。
シネフィルチケットプレゼント
下記の必要事項、をご記入の上、「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」@東京国立近代美術館シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、無料観覧券をお送り致します。この観覧券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2024年8月5日 月曜日 24:00
記載内容
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