日本美術史上最も重要な画家の一人とされる雪舟(せっしゅう)。
シックなモノトーンで、風情ある日本画の世界を描き出しました。
美しい自然の景観あふれる水墨画の巨匠として、雪舟の評価はとても高く、ひとりの画家としては、最多の6件の作品『秋冬山水図』『四季山水図巻』『破墨山水図』『慧可断臂図』『山水図』が国宝に指定されています。
また、1955年のウィーンで開催された世界平和評議大会では、世界10大文化人の1人に選ばれました。

このたび、京都国立博物館(京都・東山七条)では、2024年4月13日より5月26日まで特別展「雪舟伝説―「画聖(カリスマ)」の誕生―」が開催されます。

歴史の教科書に載っていたので雪舟の名前は誰もが知るところですが、雪舟の描く水墨画の評価はなぜこんなに高いのでしょう。
作品が優れている事に加え、雪舟の存在と作品について、弟子をはじめ多くの画家たちがお手本にし、受容され、歴史的に積み重ねられた事で、今日の高い評価がなされているようです。

洗練された風情ある雪舟の描く水墨画は、みんなの憧れであり、多くの弟子たち、いわばフォロワーを育てました。本展では、長谷川等伯、狩野探幽、曾我蕭白、伊藤若冲らの作品を比べて、「画聖・雪舟」の誕生の過程を辿ります。

雪舟とは?
日本の室町時代に活躍した雪舟(せっしゅう)(1420-1506?)は、備中国(現在の岡山県総社市)に生まれ、幼いころから京都相国寺で禅僧として修業を積む傍ら、室町幕府の御用絵師であった周文に絵を学びました。「雪舟」は号で、諱は「等楊(とうよう)」と称しました。
(少年時代の雪舟が寺で叱られ、その涙でネズミの絵を描いたという有名なエピソードがあります。)
やがて周防(現在の山口県)で大内氏の擁護のもと遣明使節に加わり、中国に渡って、李在より足掛け3年、中国の画法を学びました。帰国して、宋、元の中国絵画を学んだ幅広い画風と骨太で力強い筆墨に特色ある水墨画を描きました。

雪舟筆といわれる作品は多々ありますが、誰もが間違いないと認める作品は決して多くありません。雪舟の代表作と呼び得る作品を通して「画聖・雪舟」の原点を確認していきましょう。

画像: 国宝 秋冬山水図 (左隻)雪舟筆 東京国立博物館蔵 室町時代(15世紀) 通期展示

国宝 秋冬山水図 (左隻)雪舟筆 
東京国立博物館蔵 室町時代(15世紀) 通期展示

画像: 国宝 秋冬山水図 (右隻) 雪舟筆 東京国立博物館蔵 室町時代(15世紀) 通期展示

国宝 秋冬山水図 (右隻) 雪舟筆
東京国立博物館蔵 室町時代(15世紀) 通期展示

教科書にもよく載っている雪舟の最もよく知られた作品。
荒々しく強い筆致、独特の画面構成など、雪舟らしさが凝縮されています。
落ち着いたモノトーンの叙情的な山水画です。

画像: 国宝 天橋立図 雪舟筆 京都国立博物館蔵 室町時代(16世紀) 通期展示

国宝 天橋立図 雪舟筆
京都国立博物館蔵 室町時代(16世紀) 通期展示

雪舟晩年の作品で、景勝地・天橋立を克明に描いた大作。現地での写生をもとにリアリティーに満ちた実景図ですが下絵で、本画は存在しません。
複数の視点から眺めた広範囲な景色をまとめ上げる構成力は素晴らしく、繊細に日本の美しい景観が描かれています。

画像: 重要文化財 四季花鳥図屏風 (左隻) 雪舟筆 京都国立博物館蔵 室町時代(15世紀) 通期展示

重要文化財 四季花鳥図屏風 (左隻) 雪舟筆 
京都国立博物館蔵 室町時代(15世紀) 通期展示

画像: 重要文化財 四季花鳥図屏風 (右隻) 雪舟筆 京都国立博物館蔵 室町時代(15世紀) 通期展示

重要文化財 四季花鳥図屏風 (右隻) 雪舟筆 
京都国立博物館蔵 室町時代(15世紀) 通期展示

山水画の印象が強い雪舟ですが唯一の花鳥画。原本に加え、雲谷等益による模本を通して、多くの画家に影響を与えていました。
「花鳥風月」日本の伝統的な情緒溢れる作品です。

雪舟は秋月や宋淵、等春など多くの弟子を育てましたが、長くは続かず、「画聖・雪舟」を仰いだ狩野探幽や、長谷川等伯らが、雪舟画風を継承しました。
雪舟画風を継承した作品を観ていきましょう。

画像: 竹林七賢図屏風(右隻) 長谷川等伯筆 京都・両足院蔵 桃山時代 慶長12年(1607) 通期展示

竹林七賢図屏風(右隻) 長谷川等伯筆
京都・両足院蔵 桃山時代 慶長12年(1607) 通期展示

桃山時代の雲谷等顔や、長谷川等伯らが、雪舟に師事したわけではありませんが、後継者を自称しました。

画像: 富士山図 狩野探幽筆 江戸時代(17世紀) 通期展示

富士山図 狩野探幽筆
江戸時代(17世紀) 通期展示

探幽が数多く描いた富士山の中でも破格のサイズを誇る大作です。余白を広く取り、淡墨を主体とする表現は探幽ならでは。ですが、その構図は明らかに伝雪舟筆『富士三保清見寺図』を踏襲したものです。

画像: 富士三保図屏風 (左隻) 曾我蕭白筆 滋賀・MIHO MUSEUM蔵 江戸時代(18世紀) 通期展示

富士三保図屏風 (左隻) 曾我蕭白筆
滋賀・MIHO MUSEUM蔵 江戸時代(18世紀) 通期展示

画像: 富士三保図屏風 (右隻) 曾我蕭白筆 滋賀・MIHO MUSEUM蔵 江戸時代(18世紀) 通期展示

富士三保図屏風 (右隻) 曾我蕭白筆
滋賀・MIHO MUSEUM蔵 江戸時代(18世紀) 通期展示

三保松原に虹が架かるという表現が非常にユニーク。荒々しい筆墨や奇妙な形の富士山は蕭白らしさが顕著ですが、その構図は明らかに伝雪舟筆『富士三保清見寺図』を踏襲しています。

画像: 富士三保松原図 原在中筆 静岡県立美術館蔵 江戸時代 文政5年(1822) 通期展示

富士三保松原図 原在中筆
静岡県立美術館蔵 江戸時代 文政5年(1822) 通期展示

美しい色彩と超絶的な細部描写に圧倒される作品です。自らの視覚体験に基づく絵であると示されていますが、その構図には、伝雪舟画の影響が明らかです。

画像: 竹梅双鶴図 伊藤若冲筆 東京・出光美術館蔵 江戸時代(18世紀) 4/30~5/26

竹梅双鶴図 伊藤若冲筆
東京・出光美術館蔵 江戸時代(18世紀) 4/30~5/26

「奇想の画家」といわれる伊藤若冲ですが、一方で、日本の伝統的な絵画を学んでいたことも確かです。本作も、雪舟筆の『四季花鳥図屏風』との類似点が見られます。

雪舟の伝説化に寄与したのは、狩野派のように漢画(主に宋、元の中国絵画に学んだ絵画)を専らとした画家だけでなく、江戸時代の多くの画家が様々な観点から雪舟を師として仰ぎ、それが、「画聖・雪舟」誕生となったのです。

究極の美の巨匠・雪舟の描く水墨画と、それに続く等伯、探幽、光琳、若冲、蕭白、応挙など錚々たる画家たちの作品をご堪能ください。
京都国立博物館だけの展覧会となっております。是非、春の京都で心癒されるひとときをお過ごしください。

展覧会概要

展覧会名:特別展「雪舟伝説―「画聖」の誕生―」
会期:2024年4月13日(土)~5月26日(日)
[主な展示替え]
前期:4月13日(土)~5月6日(月・休) 後期:5月8日(水)~5月26日(日)
会場:京都国立博物館
公式ウェブサイト:

問い合わせ:075-525-2473(テレホンサービス)
休館日:月曜日(ただし、4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
開館時間:9時~17時30分(入館は閉館の30分前まで)
観覧料:一般1800円(1600円)、大学生1200円(1000円)、高校生700円(500円)
※( )内は前売・20名以上の団体料金

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「特別展「雪舟伝説―「画聖」の誕生―」」@京都国立博物館 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上3組6名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2024年月26日 月曜日 24:00
記載内容
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