東京・初台のNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]において、「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」が2024年3月10日まで開催されています。

2023年3月28日に逝去した音楽家・坂本龍一とICCの関係はとても深く、開館以前のプレ活動期間(1991年–)にまで遡ります。坂本は、90年代初頭の黎明期よりインターネットに関心を持ち、インターネット・ライヴの実施などを通じて、作品へのメディア・テクノロジーの導入を積極的に行なってきました。初期の不完全な技術の可能性にも興味があったそうです。今回の展覧会は、メディア・アート分野においてもはかりしれない功績を残した坂本の追悼とともに,ライゾマティクスの真鍋大度を共同キュレーターとして迎えることで、坂本の残した演奏データをもとにした作品と、坂本と深い関わりを持つ国内外のアーティスト達による作品、そしてICCでの展示記録などにより、坂本が展開したかもしれない未来の作品を提示していると言えます。

展示の初めの空間は《センシング・ストリームズ 2023ー不可視、不可聴》(ICCヴァージョン)です。この作品は坂本と真鍋大度の共作で2014年に坂本がゲストディレクターを務めた「札幌国際芸術祭2014」で制作・発表された作品のアップデート版です。

画像1: 展示風景:坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ 2023-不可視、不可聴》(ICCヴァージョン)(2014/23) photo©︎saitomoichi

展示風景:坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ 2023-不可視、不可聴》(ICCヴァージョン)(2014/23)
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観覧者が手前に設置されたコントローラーを操作することで、音と映像が変化します。

画像2: 展示風景:坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ 2023-不可視、不可聴》(ICCヴァージョン)(2014/23) photo©︎saitomoichi

展示風景:坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ 2023-不可視、不可聴》(ICCヴァージョン)(2014/23)
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1998年に東京で出会った坂本龍一とカールステン・ニコライは、2002年から始まる坂本とアルヴァ・ノト(ニコライの別名)のコラボレーションによって、『vrioon』(2002)、『insen』(2005)、『revep』(2006)、『utp_』(2009)、『summvs』(2011)の5作品からなるシリーズ(V.I.R.U.S.)を発表しました。会場では、ポルト(ポルトガル)とバルセロナ(スペイン)でのパフォーマンスが映像収録された《insen》とカールステン・ゲープハルトによって制作された『utp_』のための試演と初演のダイジェストを収録した《try-out: behind the scene of utp_》を視聴できます。

画像: 展示風景:左:alva noto + ryuichi sakamoto《insen live (short)》(2009)、右:alva noto + ryuichi sakamoto《try-out: behind the scene of utp_》(2008) photo©︎saitomoichi

展示風景:左:alva noto + ryuichi sakamoto《insen live (short)》(2009)、右:alva noto + ryuichi sakamoto《try-out: behind the scene of utp_》(2008)
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《Playback》はダムタイプによるアナログ・レコードを使ったサウンド・インスタレーション作品です。1989年に発表された同名作品をベースに、2018年にリモデル版として制作され、さらに2022年にミュンヘンのハウス・デア・クンストで開催されたダムタイプ展で展示された《Playback》では、坂本龍一ディレクションによる世界各地のフィールド・レコーディング音源により構成されました。そして2023年には、これら16枚のレコードに坂本自身の未発表音源「Tokyo 2021」が収録された全17枚組の『Ryuichi Sakamoto | Art Box Project 2023: Dumb Type + Ryuichi Sakamoto, Playback 2022』(世界限定100セット)がcommmonsから発売されています。
今回、展示されている16枚のレコードは、この展示のために特別にAUTORA FACTORY PLATEが制作したものです。

画像1: 展示風景:Dumb Type + Ryuichi Sakamoto《Playback 2022》(2022/23) photo©︎saitomoichi

展示風景:Dumb Type + Ryuichi Sakamoto《Playback 2022》(2022/23)
photo©︎saitomoichi

画像2: 展示風景:Dumb Type + Ryuichi Sakamoto《Playback 2022》(2022/23) photo©︎saitomoichi

展示風景:Dumb Type + Ryuichi Sakamoto《Playback 2022》(2022/23)
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《そよぎ またはエコー》は、毛利悠子が「札幌国際芸術祭 2017」の準備のために行なった、石狩川河口から上流へ、音威子府まで北上する旅からインスピレーションを得て、同芸術祭で制作・発表されたインスタレーション作品です。坂本は本作のために楽曲を提供しました。今会場では、その曲が自動演奏ピアノによって演奏されていた部分を中心に、《I/O》(2011–13)、《Brush》(2017)という毛利の作品とともに再構成したヴァージョンを観ることができます。

画像: 展示風景:手前:毛利悠子《そよぎ またはエコー》(部分を「坂本龍一トリビュート展」のために再構成)(2017/23) photo©︎saitomoichi

展示風景:手前:毛利悠子《そよぎ またはエコー》(部分を「坂本龍一トリビュート展」のために再構成)(2017/23)
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画像: 展示風景 photo©︎saitomoichi

展示風景
photo©︎saitomoichi

生前から交流のあった李禹煥によるドローイングも目を惹きます。
《祈り》は、坂本龍一の病気平癒を祈って描かれ,李より個人的に贈られたドローイングです。裏面には李から坂本へのメッセージが書かれています。

画像: 展示風景:李禹煥《祈り》(2022) photo©︎saitomoichi

展示風景:李禹煥《祈り》(2022)
photo©︎saitomoichi

《遥かなるサウンド》は、坂本龍一の生前最後のオリジナル・アルバムとなった『12』のジャケットのために描き下ろされたドローイングです。ジャケットでは、李のアイデアにより、ドローイング部分のみを13度の角度に傾けて完成されています。

画像: 展示風景:李禹煥《遥かなるサウンド》(2022) photo©︎saitomoichi

展示風景:李禹煥《遥かなるサウンド》(2022)
photo©︎saitomoichi

今展示のように「音」を扱う場合、その音同士が干渉することの問題がよくあります。真鍋大度によると、全体を30分程度でタイムシークエンスを作って、展覧会の動線も作っているとのことでした。また、あえてノイズも入れているそうです。

坂本の遺志を未来にいかに引き継ぎ、データをどう受け継いでいくか、鑑賞者としても考えさせられる必見の展示です。3月10日までと期間が長いので、ぜひ、二度三度と訪れて、記録映像も鑑賞してください。(シアターでの上映プログラムは定員有。詳細はICCのウェブサイトをご覧ください。)

概要

会期:開催中—2024年3月10日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA
開館時間:午前11時—午後6時(入館は閉館の30分前まで)
入場料:一般 800円(700円)、大学生 600円(500円)
ICC年間パスポート:1,000円
*( )内は15名様以上の団体料金
* 障害者手帳をお持ちの方および付添1名、65歳以上の方と高校生以下、ICC年間パスポートをお持ちの方は無料。
休館日:毎週月曜日,ビル保守点検日(2/11)
月曜日が祝日もしくは振替休日の場合,翌日を休館日とします。
休館日以外においても,開館時間の変更および臨時休館の可能性がございます。
最新情報はICCウェブサイト(https://www.ntticc.or.jp/)などでお知らせします。

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2024年1月21日 日曜日 24:00
記載内容
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