(カバー画像)重要文化財 菜蟲譜(部分) 伊藤若冲 一巻 寛政2年(1790)頃
佐野市立吉澤記念美術館【展示期間:8/9~9/18】(場面替えあり)
日本美術では、花鳥風月、四季折々の情緒あふれる景色が描かれ、草木花鳥は古来、大切なものとされてきました。そして、それらと比較すると小さな存在ではあるものの、虫は重要な役割を果たしてきました。現代において昆虫と分類されるものだけでなく、例えば、蜘蛛、蛙、蛇などの、うごめく小さな生き物たちも物語や和歌、様々な美術作品に登場します。
このたび、サントリー美術館にて「虫めづる日本の人々」が2023年9月18日まで開催されています。
蛍や、鈴虫などの鳴く虫は愛好され、深く物語と結びついていた様子が源氏絵や伊勢絵などから伝わってきます。また、草花や虫を描き吉祥を表す草虫図(そうちゅうず)が中国からもたらされ、中世から長く日本で珍重され、多くの絵師たちにも影響を与えました。
江戸時代に入ってからは、本草学(ほんそうがく)の進展や、古画学習、俳諧などの文芸の影響を受けて、草虫図という範疇には収まらない多彩な虫の絵が生み出されます。そして、江戸時代中期以降には、虫聴(むしきき)や、蛍狩(ほたるがり)が娯楽として市井の人々に広まり、やがて江戸の年中行事となりました。この文化は近代、現代においても受け継がれています。
本展では特に江戸時代に焦点をあて、中世や近現代の「虫めづる日本の人々」の様相に触れつつ、虫と人との親密な関係を改めて見つめ直します。
是非、この機会に虫めずる日本の美意識に触れ、心癒されるひとときをお過ごしください。
第一章:虫めづる国にようこそ
古くから日本の物語や和歌には多くの虫たちが登場してきました。主人公を助ける
名脇役となり、時には自ら和歌を詠んでその優劣を競い、またある時は人間さながらの恋愛劇を演じるなど、虫たちは多彩な活躍を見せます。
本章では、物語に登場する虫たちにスポットライトを当て、文芸と深く結びついた日本の虫たちの姿をご覧いただきます。
第二章:生活の道具を彩る虫たち
酒器、染織品、簪などの身近な道具には、蝶、蜻蛉とんぼ、鈴虫、蜘蛛など様々な虫たちがあしらわれてきました。人々は虫たちの優れた造形に美を見出し、または季節の移り変わりを感じることの出来るモチーフとして好んで用いたようです。
本章では江戸時代を中心に、生活に用いる道具を彩った虫たちの姿が紹介されています。
第三章:草と虫の楽園―草虫図の受容について―
草虫図は中国で成立した画題です。画中には多種多様な草花と虫が描かれており、それぞれが立身出世、子孫繁栄などの吉祥を表しています。また、『論語』の中に孔子が弟子・陽貨に詩を学ぶ意義について説いた一節があり、そこでは「詩を学ぶことで鳥、獣、草木の名前を多く知ることが出来る」とされています(『論語』陽貨・第17)。それが多くの生き物を知り、自らの知識を増やすことを奨励する思想につながり、草虫図が愛好される理由のひとつとなりました。
また、中国で制作された草虫図は海を渡って、日本へと伝来し、将軍や大名など時の権力者たちに愛蔵されました。そして、日本の絵師たちも草虫図を学び、影響を受けました。草虫図が中国で画題として確立し、日本で愛好された様子が紹介されています。
第四章:虫と暮らす江戸の人々
虫の音を愛する文化は、宮廷を中心に育まれていました。そして、江戸時代中頃に入ると野山へと出かけ虫の音に耳を澄ませる虫聴、夕暮れ時に蛍を追う蛍狩は、市井の人々に親しまれる風雅な娯楽となりました。
本章では、蛍狩、虫聴が娯楽として広まり、やがて江戸の年中行事として息づいていく様子が紹介されています。
第五章:展開する江戸時代の草虫図―見つめる、知る、喜び―
江戸時代は本草学や、書物に登場する動植物の名前を同定する名物学が進展し、西洋の科学技術が流入した時代です。季節のうつろいを感じさせ、古くから詩や歌のモチーフとなった虫も研究対象となりました。
一方で、中国から伝来した草虫図も尊重され、研究が続けられました。西洋の技術の流入、本草学などの学問の発展、古画学習、文芸などが影響しあい、草虫図という枠組みを越えた多彩な虫の絵が江戸時代に制作されました。伊藤若冲、酒井抱一、喜多川歌麿、葛飾北斎などこの時代を代表する絵師たちが虫をモチーフとして取り上げ、活況を呈した江戸時代の草虫図をご覧ください。
第六章:これからも見つめ続ける―受け継がれる虫めづる精神―
明治時代以降も虫たちは頻繁に美術作品のモチーフとなりました。これまでの伝統に基づきながら、西洋からの影響を受け、新たな息吹を吹き込まれた作品が生み出されています。また、江戸時代に年中行事として人々の生活に溶け込んだ虫聴、蛍狩は、明治時代以降より一層広がっていきました。この様子は当時日本を訪れた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)などの海外の人々を大いに驚かせたようです。
現代において蛍狩、虫聴はかつてよりは人気が衰えましたが、虫を見つめる手法はより進化を遂げ、今も絶えず新しい表現が生み出されています。現代に生きる我々の中にも虫めづる精神が受け継がれている様子を示します。
涼やかな虫の音が聞こえてきそうな、情緒あふれる日本画の世界をご堪能ください。
展覧会概要
展覧会名 「虫めづる日本の人々」
会期 2023年7月22日(土)~2023年9月18日(月・祝)
※作品保護のため、会期中展示替があります
会場 サントリー美術館
住所 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
時間 10:00~18:00
※金・土および8月10日(木)、9月17日(日)は20:00まで開館
※9月12日は18:00まで開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日 火曜日 (9月12日は18:00まで開館)
観覧料 一般 1,500円 大学・高校生 1,000円 中学生以下無料
※サントリー美術館受付、サントリー美術館公式オンラインチケット、ローソンチケット、セブンチケットにて取扱
割引:あとろ割:国立新美術館、森美術館の企画展チケット提示で100円割引
*割引適用は一種類まで(他の割引との併用不可)
TEL 03-3479-8600
シネフィルチケットプレゼント
下記の必要事項、をご記入の上、「虫めづる日本の人々」@東京 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上3組6名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2023年8月21日 月曜日 24:00
記載内容
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