※混雑緩和のため日時予約を推奨しています。

東京国立近代美術館で2023年9月10日(日)まで「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が開催されています。

アントニ・ガウディ(1852〜1926)はスペイン・カタルーニャ地方出身の建築家です。バルセロナ市内にカサ・ビセンスやグエル公園、カサ・バッリョ、カサ・ミラ、サグラダ・ファミリア聖堂など、世界遺産に登録された建築を多数残しています。この展覧会は、ガウディ建築の集大成とも言えるサグラダ・ファミリア聖堂を軸に、彼の建築思想と造形原理を読み解くものとなっています。

画像: 展示風景より:《サグラダ・ファミリア聖堂、全体模型》2012-23年 制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室 サグラダ・ファミリア聖堂蔵 photo©️saitomoichi

展示風景より:《サグラダ・ファミリア聖堂、全体模型》2012-23年 制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室 サグラダ・ファミリア聖堂蔵
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画像: 展示風景より:サグラダ・ファミリア聖堂完成予想図のパネル photo©️saitomoichi

展示風景より:サグラダ・ファミリア聖堂完成予想図のパネル
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会場は「ガウディとその時代」・「ガウディの創造の源泉」・「サグラダ・ファミリアの軌跡」・「ガウディの遺伝子」の4章で構成されています。
第1章「ガウディとその時代」では、ガウディの学生時代のノートやスケッチ、そして大学の図書館で参照していたと考えられる書籍類を並べることで、ガウディが建築家となるべく歩み始めた過程をたどります。

第2章「ガウディの創造の源泉」では、「歴史」「自然」「幾何学」の3つのポイントから、ガウディ独自の建築様式の源泉とその展開をたどります。「人間は創造しない。人間は発見し、その発見から出発する」というガウディの言葉があります。その言葉通り、ガウディは古今東西の建築や自然を丹念に研究することから革新的な造形の契機をつかんでいきました。

第3章「サグラダ・ファミリアの軌跡」では、ガウディ独自の制作方法をアトリエの情景とともに紹介しつつ、残された写真と模型をもとに計画案の変遷を明らかにしています。複雑な建物の膨大な情報量を整理する説明パネルが多数、会場内に配置されていて、理解しやすくなっています。また、この第3章は一部を除いて撮影可能となっており、じっくり鑑賞するとともに貴重な模型などを写真に収めている観客が目立ちました。

画像: 展示風景より:降誕の正面 彫刻マップのパネル photo©️saitomoichi

展示風景より:降誕の正面 彫刻マップのパネル
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画像: 展示風景より:左下:アントニ・ガウディ 《サグラダ・ファミリア聖堂、降誕の正面:頂華のための幾何学模型》 スケール:1:25 制作年不詳(複製) 早稲田大学建築学教室本庄アーカイブズ蔵 右:《サグラダ・ファミリア聖堂、降誕の正面:鐘塔頂華の模型》 スケール:1:25 2005-10年 制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室 サグラダ・ファミリア聖堂蔵 photo©️saitomoichi

展示風景より:左下:アントニ・ガウディ 《サグラダ・ファミリア聖堂、降誕の正面:頂華のための幾何学模型》 スケール:1:25 制作年不詳(複製) 早稲田大学建築学教室本庄アーカイブズ蔵
右:《サグラダ・ファミリア聖堂、降誕の正面:鐘塔頂華の模型》 スケール:1:25 2005-10年 制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室 サグラダ・ファミリア聖堂蔵
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画像: 展示風景より:鐘塔頂華の説明パネル photo©️saitomoichi

展示風景より:鐘塔頂華の説明パネル
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サグラダ・ファミリア聖堂は19世紀半ば、バルセロナにおいて産業革命による人口増加の影響で大量の貧困層が生まれたことから、そのような人々のための聖堂として創案されました。以来140年を超える建設の過程で主任建築家は9代目に受け継がれています。ガウディは2代目の建築家にあたります。
本展ではガウディの彫刻術にも着目していますが、1978年以来、サグラダ・ファミリア聖堂の建設に携わる日本人彫刻家の外尾悦郎氏による「降誕の正面」の彫刻群も展示されています。これらは石膏模型として1989年に作られ、1990年から2000年に石像が完成するまでの10年間、実際に「降誕の正面」を飾っていたものです。

画像: 会場風景より:左の彫刻5体は「降誕の正面」に配置されたガウディによる塑像断片(1898-1900) サグラダ・ファミリア聖堂蔵。右の9体は外尾悦郎がガウディが残したわずかな資料から復元した彫像《歌う天使たち》の石膏像。1990-2000年にサグラダ・ファミリア聖堂「降誕の正面」に設置されていた。作家蔵 photo©️saitomoichi

会場風景より:左の彫刻5体は「降誕の正面」に配置されたガウディによる塑像断片(1898-1900) サグラダ・ファミリア聖堂蔵。右の9体は外尾悦郎がガウディが残したわずかな資料から復元した彫像《歌う天使たち》の石膏像。1990-2000年にサグラダ・ファミリア聖堂「降誕の正面」に設置されていた。作家蔵
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画像: 会場風景より:《サグラダ・ファミリア聖堂、身廊部模型》2001-2002年 制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室 西武文理大学蔵 photo©️saitomoichi

会場風景より:《サグラダ・ファミリア聖堂、身廊部模型》2001-2002年 制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室 西武文理大学蔵
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ガウディはゴシック建築を新しく解釈しながらサグラダ・ファミリア聖堂を設計しました。中世のゴシック教会と同様に、聖堂の内部を森に見立てて樹木のように枝分かれした円柱が天井ヴォールトを支える独自の仕組みを考案しました。その柱の様子も詳しく解説されています。

画像: 展示風景より:サグラダ・ファミリア聖堂内観 2020年5月撮影のパネル photo©️saitomoichi

展示風景より:サグラダ・ファミリア聖堂内観 2020年5月撮影のパネル
photo©️saitomoichi

画像: 展示風景より:中央《サグラダ・ファミリア聖堂、主身廊円柱模型》 制作年不詳(複製) 早稲田大学建築学教室本庄アーカイブズ蔵 photo©️saitomoichi

展示風景より:中央《サグラダ・ファミリア聖堂、主身廊円柱模型》 制作年不詳(複製) 早稲田大学建築学教室本庄アーカイブズ蔵
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ガウディ没後の建設の様子も紹介されています。彼の没後、スペインの内戦が勃発し、聖堂の一部は破壊され、図面類は焼失、模型も粉砕されて建設は中断を余儀なくされました。しかし、ガウディによる備蓄基金をもとに、修復工事と模型の復元が行われて工事は再開しました。近年ではコンピュータの導入により設計と建設が連動して工事のスピードが早まりました。ガウディ以降の建設の推移をたどるとともに、マリアの塔やマルコの塔といった最新の建設事情も紹介されています。

画像: 展示風景より:アンリク・プラ・ムンファレー 《サグラダ・ファミリア聖堂、マリアの塔:星の冠の試作品》  2020年 サグラダ・ファミリア聖堂蔵 photo©️saitomoichi

展示風景より:アンリク・プラ・ムンファレー 《サグラダ・ファミリア聖堂、マリアの塔:星の冠の試作品》  2020年 サグラダ・ファミリア聖堂蔵
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画像: 《サグラダ・ファミリア聖堂、マルコの塔模型》 2020年 制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室 サグラダ・ファミリア聖堂蔵 photo©️saitomoichi

《サグラダ・ファミリア聖堂、マルコの塔模型》 2020年 制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室 サグラダ・ファミリア聖堂蔵
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第4章「ガウディの遺伝子」では、ガウディの建築が現代にどんな意義があるのか探っています。世界中のガウディ研究や、構造建築家の佐々木睦朗氏らのインタビュー映像が紹介されています。

サグラダ・ファミリア聖堂の建設は、新型コロナウイルスの影響で一時中断していましたが、2020年の秋には再開していたとのことです。建設作業は着々と進んでおり、残るマタイとヨハネの塔は2023年11月に、聖堂中央の最も高い塔となるイエスの塔は2026年までの完成を予定しているそうです。

現地を訪れたことがある人も、これから行こうという人も、ガウディの建築思想と創造力を体感出来る展示で必見です。

*滋賀、愛知へ巡回予定。

開催概要

会期:開催中~2023年9月10日(日)
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
開館時間 :10:00〜17:00(最終入館時間 16:30)
    金・土曜、8月27日(日)〜9月10日(日)は20:00まで開館(最終入館時間 19:30)
休館日:月曜日(8月28日、9月4日は開館)
観覧料:一般 2,200円(2,000円)、大学生 1,200円(1,000円)、高校生 700円(500円)
    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の
     際、学生証等の年齢のわかるもの、障がい者手帳等を要提示
    ※キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金で
     観覧できます
    ※本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)も観覧で
     きます。
*熱中症対策及び混雑緩和のため日時予約を推奨しています。
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:https://gaudi2023-24.jp

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「ガウディとサグラダ・ファミリア展」シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2023年8月13日 日曜日 24:00
記載内容
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