国立新美術館とサンローランの主催により、国際的に大きな注目を集めてきた現代美術家、蔡國強(ツァイ・グオチャン/さい・こっきょう、1957年生)の大規模な個展「蔡國強 宇宙遊 ー〈原初火球〉から始まる」が国立新美術館において2023年8月21日(月)まで開催中です。

本展覧会は、約30年前の東京のP3 art and environmentでの個展「原初火球 The Project for Projects」を蔡の芸術における「ビッグバン」 の原点ととらえ、この爆発を引き起こしたものは何であり、その後今日まで何が起こったかを探究するものとなっています。

国立新美術館の柱も壁もない2000平米の大空間に、7つの屏風ドローイングが放射状に配置された歴史的なインスタレーション〈原初火球〉の再現、日本初公開のガラスと鏡を使用した新作、LEDを使用した色が移り変わる大規模インスタレーション《未知との遭遇》などによる蔡の世界観が広がります。国内の国公立美術館の所蔵作品と、作家所有の約50件の作品が展示され、知られざる多数の貴重なアーカイブ資料や記録映像、さらにアーティスト自身による説明が掲示されています。

画像: 展示風景より:《未知との遭遇》(2023) photo©️saitomoichi

展示風景より:《未知との遭遇》(2023)
photo©️saitomoichi

画像: 展示風景より:《未知との遭遇》(2023)エリアの照明が変化する様子 photo©️saitomoichi

展示風景より:《未知との遭遇》(2023)エリアの照明が変化する様子
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展示は4章と「蔡國強といわき」で構成され、第1章は「〈原初火球〉以前:何がビックバンを生んだのか?」です。火薬を使った制作を始めた中国時代の作品群が連なります。火薬を使用したのは、破壊と再生だけではなく、極限における逆転の法則を探求していたからであり、さらに若き作家が母国の社会的統制に対して反発心を持っていたことも理由でしょう。蔡は活動当初から、人間と宇宙、そして地球の危機を主題にした表現を探求していました。

画像: 展示風景より:マッチの頭薬を使用した初期の作品 photo©️saitomoichi

展示風景より:マッチの頭薬を使用した初期の作品
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第2章は「ビッグバン:〈原初火球 The Project for Projects〉1991年2月26日〜4月20日」です。約30年前に東京のP3 art and environment で、蔡のアーティストとしての生涯のマイルストーンとなる重要な展覧会となった個展「原初火球 The Project for Projects」を開催するなど、蔡の芸術家としての重要な形成期である日本時代を紹介しています。「原初火球」とは、宇宙物理学の「原始火球」に、老子の「有物混成先天地生」(物ありて混成し、天地に先んじて生ず)という宇宙起源論に対する理解も重ねて、蔡が名付けたものです。

画像: 展示風景より:初期の作品群 photo©️saitomoichi

展示風景より:初期の作品群
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画像: 展示風景より:《胎動II:外星人のためのプロジェクト No. 9》1991年 東京都現代美術館蔵 photo©️saitomoichi

展示風景より:《胎動II:外星人のためのプロジェクト No. 9》1991年 東京都現代美術館蔵
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画像: 展示風景より:《月球・負ピラミッド:人類のためのプロジェクトNo. 3》(1991年) photo©️saitomoichi

展示風景より:《月球・負ピラミッド:人類のためのプロジェクトNo. 3》(1991年)
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第3章は米国や世界に活躍の場を広げた時期の「〈原初火球〉以後」です。蔡は、爆発シリーズ〈外星人のためのプロジェクト〉を世界各地で展開すると同時に、それを大型の火薬ドローイングでも表現してきました。1994年春にいわき市立美術館、同年秋に世田谷美術館で個展を開いた後、1995年にアジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)の日米芸術家交流プログラムの助成を受けてニューヨークに渡りました。それ以降、世界各地の美術機関で活動して国際的な現代美術作家としての名声を確立します。2008年北京オリンピック開会式での壮大な花火プロジェクトも記憶に新しいです。

画像: 会場風景より:《延長》(1994) 世田谷美術館蔵 photo©️saitomoichi

会場風景より:《延長》(1994) 世田谷美術館蔵
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画像: 展示風景より:《歴史の足跡》のためのドローイング(2008) photo©️saitomoichi

展示風景より:《歴史の足跡》のためのドローイング(2008)
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第4章は「〈原初火球〉の精神はいまだ現在か?」です。蔡は展覧会の準備中、「『原初火球』展の精神は、絵画への愛、美術史に対するけじめ、そして社会的発言の誘惑のうちに見失われてしまったのでしょうか。それとも、その精神はつかみどころがなく、短期間消えてしまったように見えても、一瞬姿を消した後、また精気をみなぎらせて再浮上するものなのでしょうか。」と自問したそうです。

画像: 展示風景より:《銀河で氷戯》(2020) photo©️saitomoichi

展示風景より:《銀河で氷戯》(2020)
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画像: 展示風景より:《cAI™ の受胎告知》(2023年) photo©️saitomoichi

展示風景より:《cAI™ の受胎告知》(2023年)
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画像: 展示風景より:《月にあるキャンバス:外星人のためのプロジェクトNo. 38》(2023年) photo©️saitomoichi

展示風景より:《月にあるキャンバス:外星人のためのプロジェクトNo. 38》(2023年)
photo©️saitomoichi

蔡國強は1986年12月から1995年9月までの約9年間を日本で過ごしました。その中でも、海岸沿いの町であるいわきは、蔡の生活と芸術の両面において第二の故郷ともいえる特別な場所だそうです。本展の開幕に先立って、6月26日に蔡による白天花火《満天の桜が咲く日》が、福島県いわき市で三十年前に地元の友人達と協働で実現した爆発プロジェクト《地平線:外星人のためのプロジェクトNo. 14》と同じ海岸で行われました。その様子は会場で記録映像として見られます。また、関連した資料の展示もありました。

画像: 展示風景より:《満天の桜が咲く日》に関わる資料展示の様子 photo©️saitomoichi

展示風景より:《満天の桜が咲く日》に関わる資料展示の様子
photo©️saitomoichi

会場のQRコードを読み込むと、凧上げをしている少年が出現するという仕掛けもあります。蔡の作品群は、宇宙的な哲学が凝縮したものでもありユーモアがあるものでもあります。近年はさらに、AI、AR、VR、ブロックチェーンやNFTなど、最先端の技術を通して現代美術の可能性を探求し続けている蔡の世界を堪能出来る展覧会です。

画像: 展示風景より:QRコードを読み込むとスマホ画面上に現れる凧上げをしている少年の像 photo©️saitomoichi

展示風景より:QRコードを読み込むとスマホ画面上に現れる凧上げをしている少年の像
photo©️saitomoichi

開催概要

蔡國強 宇宙遊 一〈原初火球〉から始まる

会期:開催中~2023年8月21日
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
開館時間:10:00〜18:00(金・土曜日〜20:00)※入場は閉館の30分前まで
休館日:火曜日
料金:一般 1500円 / 大学生1000円 / 高校生、18歳未満無料
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://www.nact.jp/exhibition_special/2023/cai/

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「蔡國強 宇宙遊 一〈原初火球〉から始まる」シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2023年7月25日 火曜日 24:00
記載内容
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