日本とハンガリーの外交樹立150周年を記念し、ハンガリー最大の美術館であるブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリーのコレクション展が3月16日まで国立新美術館にて開催中です。
1994年以来、25年ぶりに両館のコレクション展が実現することになりました。

16世紀ルネサンスから20世紀初頭のアヴァンギャルドの時代まで、約400年の西洋美術の歴史を彩った様々な絵画・彫刻・素描、全130点が来日しています。

北方ルネサンスのルカス・クラーナハ(父)から、ティツィアーノ、エル・グレコ、ルノワール、モネなど巨匠たちの作品に加えて、日本では目にする機会の少ない19・20世紀ハンガリーの作家たちの名作も、多数出品されています。

本展のメインヴィジュアルとしても使用され、ハンガリーで最も愛されている名画《紫のドレスの婦人》を描いたシニェイ・メルシェ・パールをはじめ、パリを拠点に国際的に活躍したムンカーチ・ミハーイ、ナビ派の大家リップル=ローナイ・ヨージェフ、象徴主義の鬼才チョントヴァーリ・コストカ・ティヴァダル、世紀末の巨匠ヴァサリ・ヤーノシュといった、ハンガリー近代美術を代表する画家たちの名作が35点も出品されています。

ハンガリーでは19世紀から20世紀初頭にかけてナショナリズムの機運が強まり、芸術文化活動もきわめて活発に展開されました。
「ドナウの真珠」と称えられるハンガリーの美しい首都、ブダペストから来日する華麗でエレガントな珠玉の名作の数々を是非、この機会にご堪能ください。

画像: ルカス・クラーナハ(父) 《不釣り合いなカップル 老人と若い女》 1522 年 油彩/板(ブナ) ブダペスト国立西洋美術館 © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

ルカス・クラーナハ(父) 《不釣り合いなカップル 老人と若い女》
1522 年 油彩/板(ブナ) ブダペスト国立西洋美術館 © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

ドイツ・ルネサンスを代表する画家ルカス・クラーナハ(父)は、宮廷画家として名声を博し、大工房を率いて活躍しました。
クラーナハがこの作品で描いた年齢差のある男女の組合せ――「不釣り合いなカップル」は、特に16世紀の北方ヨーロッパの風刺文学や絵画で愛好された主題です。
なお本展では、本作とは反対に、「老女と若い男」を描いたクラーナハの作品も紹介されています。

画像: ティツィアーノ 《聖母子と聖パウロ》 1540 年頃 油彩/カンヴァス ブダペスト国立西洋美術館 © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

ティツィアーノ 《聖母子と聖パウロ》
1540 年頃 油彩/カンヴァス ブダペスト国立西洋美術館 © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

16世紀ヴェネツィア・ルネサンス最大の巨匠であるティツィアーノは、聖母子像を数多く手がけました。
本作には、聖パウロが、彼の象徴物(アトリビュート)である剣と本を携えながら、気品あふれる聖母マリアと幼子イエスに敬意を表する様子が描かれています。

画像: エル・グレコ 《聖小ヤコブ(男性の頭部の習作)》 1600 年頃 油彩/カンヴァス ブダペスト国立西洋美術館 © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

エル・グレコ 《聖小ヤコブ(男性の頭部の習作)》
1600 年頃 油彩/カンヴァス ブダペスト国立西洋美術館 © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

巨匠エル・グレコは、神秘的な宗教画のほか、肖像画でも名声を博しました。
この作品は、尖った耳や窪んだ目元など、顔立ちの細部が見事に描写されているために、画家の自画像とみなされたこともありましたが、現在はキリストの十二使徒を描いた12点組の連作(1585-1595年頃、オビエド、アストゥリアス美術館)における《聖小ヤコブ》の制作過程で、習作として描かれたものと考えられています。
エル・グレコならではの大胆で生き生きとした筆使いで描かれています。

画像: クロード・モネ 《トゥルーヴィルの防波堤、干潮》 1870 年 油彩/カンヴァス ブダペスト国立西洋美術館 © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

クロード・モネ 《トゥルーヴィルの防波堤、干潮》
1870 年 油彩/カンヴァス ブダペスト国立西洋美術館 © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

印象派の巨匠として《印象・日の出》や《睡蓮》の連作で知られるモネは、刻々と移ろいゆく光を描き続けましたが、《トゥルーヴィルの防波堤、干潮》は、印象派の描き方を模索し始めた頃のモネの作品です。
本作に描かれているのは、海に流れこむトゥーク川の河口の情景です。          
防波堤がそびえる岸辺で干潮を利用して釣りをする人々や、いくつかのヨットが見えます。モネは、雲に覆われた空と灰色の海面の境界をぼかし、ほぼ一体化して描くことによって、曇天の大気のどんよりした印象を見事に表現しました。

画像: マルコー・カーロイ(父) 《漁師たち》 1851 年 油彩/カンヴァス ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

マルコー・カーロイ(父) 《漁師たち》
1851 年 油彩/カンヴァス ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

19世紀ハンガリーの風景画の改革者であったマルコー・カーロイ(父)は、ウィーンで
絵画を学んだのち、のどかな自然を理想的に構築した風景画で名声を博しました。
17世紀フランスのクロード・ロランやニコラ・プッサンの理想的風景画に強く感化されたマルコーの風景画は、故国ハンガリーでは、普遍的価値を備えたハンガリー固有の美術の誕生と評価され、またイタリア、アメリカでも人気を得ていました。
黄金の光にあふれた永遠の理想郷を思わせる《漁師たち》は、円熟期に属する傑作のひとつです。

画像: シニェイ・メルシェ・パール 《紫のドレスの婦人》 1874 年 油彩/カンヴァス ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

シニェイ・メルシェ・パール 《紫のドレスの婦人》
1874 年 油彩/カンヴァス ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

シニェイ・メルシェ・パールは、19世紀後半から20世紀初頭のハンガリー近代絵画の展開に先駆的な役割を果たした画家です。彼はミュンヘンの美術アカデミーで絵画を学び、パリを訪れたことはなかったにもかかわらず、印象派と関心を同じくする絵画表現を独自に追求しました。
その好例が、初期の代表作である《紫のドレスの婦人》です。
結婚したばかりの妻ジョーフィアをモデルとして描かれたこの作品は、今日ハンガリーで最も重要かつ魅力的な名画として、広く愛されています。
背景の草木の黄緑色と、華やかで品のある婦人のドレスの紫色のコントラストが鮮やかに映え、美しい色彩の作品です。

画像: ヴァサリ・ヤーノシュ 《黄金時代》 1898 年 油彩/カンヴァス ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー  © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

ヴァサリ・ヤーノシュ 《黄金時代》
1898 年 油彩/カンヴァス ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

ハンガリー世紀末美術の傑出した画家であるヴァサリ・ヤーノシュの《黄金時代》は、彼自身の代表作であると同時に、ハンガリーの分離派を象徴する傑作と目されています。
描かれているのは、神秘的な儀式の場面です。
古代の彫像が連なって立つ公園で、夢みるような表情で身を寄せ合う若い男女が、愛の女神ヴィーナスの彫像にバラの花などの供物を捧げています。
燃える供物から立ちのぼる煙の筋は、ヴァサリ自身がデザインしたアール・ヌーヴォー様式の額の装飾文様と共鳴しながら、頽廃的な雰囲気を演出しています。
《黄金時代》は、1898年にハンガリー国民美術協会の最高賞を獲得し、1900年のパリ万国博覧会では銅メダルを受賞しました。

画像: リップル=ローナイ・ヨージェフ 《赤ワインを飲む私の父とピアチェク伯父さん》 1907 年 油彩/厚紙 ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー  © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

リップル=ローナイ・ヨージェフ 《赤ワインを飲む私の父とピアチェク伯父さん》
1907 年 油彩/厚紙 ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー © Museum of Fine Arts,Budapest – Hungarian National Gallery, 2019

「ハンガリーのナビ」と称されるリップル=ローナイ・ヨージェフは、ミュンヘンで絵画を学んだのち、1887年から10年以上にわたってパリに暮らし、1901年から主に故国で活動しました。
パリ時代の初期にはアール・ヌーヴォー様式に手を染めましたが、次第にナビ派の芸術家たちと活動を共にするようになり、平面的・装飾的なスタイルを身に付けました。
帰国後、1902年から1907年までハンガリー西部の故郷の町カポシュヴァールを拠点とした時期には、主に室内の情景を主題とし、強烈な色彩表現を特徴とする絵画を描いています。自身の父と伯父がワイングラスの載ったテーブルを囲む様子を描いた本作は、カポシュヴァール時代の最後の年に描かれました。
くっきりと太い線で輪郭が描出されたモティーフは、それぞれ異なる色で平坦に塗り分けられ、激しいコントラストをなしています。
                               

展覧会概要

展覧会名:日本・ハンガリー外交関係開設150周年記念 ブダペスト国立西洋美術館 & ハンガリー・ナショナル・ギャラリー所蔵 ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年

会期:2019年12月4日(水)-2020年3月16日(月)

会場:国立新美術館 企画展示室1E(東京・六本木)

休館日:毎週火曜日 *ただし、2月11日(火・祝)は開館、2月12日(水)は休館

開館時間:10:00-18:00(毎週金・土曜日は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで

主催:国立新美術館、駐日ハンガリー大使館、ブダペスト国立西洋美術館 & ハンガリー・ナショナル・ギャラリー、日本経済新聞社、テレビ東京、BSテレビ東京、TBS、BS-TBS

特別協賛:スズキ株式会社

協賛:伊藤忠商事、学校法人城西大学、住友電気工業、ダイキン工業、竹中工務店、
デンソー、東レ、豊田通商、ファナック、メタルワン、ヤマトホールディングス、
ライブアートブックス

協力:三桜工業、スタンレー電気、住友商事、大気社、ユーシン、菱和、ルフトハンザカーゴ AG

お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
アクセス:〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
東京メトロ千代田線 乃木坂駅 青山霊園方面改札6出口(美術館直結)
東京メトロ日比谷線・都営地下鉄大江戸線 六本木駅 7出口から徒歩約4分
入場料:一般 1700円、大学生 1100円、高校生 700円

「ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」@東京展cinefil チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」@東京 cinefil チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、「ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」の招待券をお送りいたします。
この招待券は非売品です。転売、オークションへの出品などを固く禁じます。
応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
応募締め切り    2020年2月10日(月)24:00
1、氏名
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
 建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい(複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。
また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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