6/24(土)より新宿K’s cinema、7/8(土)より横浜シネマ・ジャック&ベティにて劇場上映される『MOON and GOLDFISH』主演の平井亜門さんと監督の飯塚冬酒さんの特別対談をお届けします。

画像: 特別対談
『MOON and GOLDFISH』公開!
主演:平井亜門×監督:飯塚冬酒

最初は短編企画だった

平井「まだ暑くなる前でしたよね」
飯塚「そう」
平井「先に準備稿を送っていただいて事務所まで挨拶にいらしていただいて・・・」
飯塚「この作品に出ていただける役者さんを探しているときに、長年信頼してる仲間から平井さんのお名前きいたんですね。で、僕も『アルプススタンドのはしの方』を観ていて、気になる俳優さんだなあって思っていたのでお声かけました」
平井「ありがとうございます」
飯塚「あの、足のもじもじの演技が気になって・・・」
平井「あそこ?あそこに食いつきます?」
飯塚「なんか、高校生ってこんなことするなあ、って思って。その自然体がすごく印象に残っていました」
平井「あそこは自分が高校生だったら・・・と考えて演じてみたんですよね。まさかあんなニッチな動きが気に入っていただけただなんて・・・」
飯塚「最初の脚本はかなりダークでしたよね」
平井「そうそう。決定稿はかなりマイルドになっていましたけど・・・大人の事情ってものですか(笑)
飯塚「はい(笑)。当初は長編をつくろうと思っていて、その地続きの短編が本作の予定だったんですね。その後、平井さんはじめ役者さんが決まっていく中で物語が膨らんじゃって、脚本も長くなり・・・できあがったら63分」
平井「撮影は昨年の8月・・・くらいでしたっけ」
飯塚「そうそう、暑い現場でしたよね」
平井「僕もいくつか仕事重なっていて」
飯塚「横浜で撮影してたんだけど、中抜けして戻ってくる、みたいなことありましたよね」
平井「はい(笑)」
飯塚「あの忙しい中で、よく最後まで(笑)」
平井「現場もカオスのようでした(笑)」

画像1: 『MOON and GOLDFISH』撮影現場スチール

『MOON and GOLDFISH』撮影現場スチール

印象的なチラシ

飯塚「今回の役はどうでしたか」
平井「そうですね・・・今までにない内向的な役でした。最初に飯塚さんからは『恰好悪い平井亜門を撮りたい』って言われて・・・」
飯塚「作業着だったり、爪汚したり」
平井「あと、とにかく私服がダサい。今っぽく着こなし変えようと提案しても即座に飯塚さんに却下されましたよね」
飯塚「そうだっけ・・・でも、どんなに格好悪くしようと思っても恰好よく映っちゃう。悔しいよなあって」
平井「そうですか・・・」
飯塚「このチラシだって」
平井「これ自分でいうのもなんですけど恰好いいですよね」
飯塚「そうでしょ。これも今までの平井亜門さんのイメージではないものを演出しようと思って」
平井「これは撮影・・・本編からですよね」
飯塚「そう。画面キャプチャーから。このシーンはたしか、何回もお芝居を通しでしていただいて色々な方向から撮影する方法だったと思うんだけど・・・これは周囲で起こることをじっとみていてアクションを起こす平井さんだけを正面から撮影したものですね」
平井「そうでした」
飯塚「3分くらいのシーンだったと、この平井さんのしぐさや周囲で起こることへの表情があまりにも魅力的で・・・ワンカットまるまる編集したかったくらいです」
平井「でもそうすると周囲で起こっていることがわからないですよね」
飯塚「そうなんですよ(笑)。でもつながりなんかどうでもいいや、くらいに感じさせるお芝居で・・・」

画像: 印象的なチラシ

平井亜門の魅力

飯塚「平井亜門の役者としての魅力は、瞬発力だと思うんですよ」
平井「瞬発力?」
飯塚「そう、事前に綿密に何かを積み上げて積み上げて現場に来るのではなく、現場での空気に併せて自分の演技をする。積み上げてきた人ではできない、予期しない生の動きをするときがありますよね。予定調和ではない、こちら側がハッとするような動き」
平井「そんなそんな」
飯塚「その動きに助けられたような気がします」
平井「そうですか」
飯塚「同じお芝居を数回していただきあらゆる方向から、手持ちで演者さんの動きに併せて臨機応変に撮影して編集でつなぐ、という手法だったけど・・・平井さんの表情や動きにはとても助けられました」
平井「というと・・・」
飯塚「本当にいい表情や動きをしているんですよね。そこに普通にいる人みたいな。生の感じっていうんですか・・・そんな魅力を感じました」

画像: 平井亜門の魅力

作品の仕掛け

平井「今回の作品は物語的には結構、単純ですよね」
飯塚「単純(笑)」
平井「あ、単純っていうか・・・起承転結の『転』がつながっているような・・・」
飯塚「よくわからないけど(笑)・・・
平井「あと、『埃っぽい世界観』が表現されているっていうか・・・」
飯塚「あ、それいいですね。『埃っぽい世界観』・・・今度、使わせてください」
平井「どうぞ、どうぞ・・・僕の演じるシンイチも峰平朔良さんの役も神林斗聖さんもなんか明るい世界じゃなくて、少し薄暗いという汚れてまではいないんだけど・・・埃っぽい」
飯塚「なるほど」
平井「埃っぽい色のない世界に生きる人たちの中に飯塚さんのちょっとした仕掛けがあったりして・・・」
飯塚「試写の後に平井さんが『あのシーンだけ○○がこうなっていたのは?』なんて訊いてきて、あ、そこに気づいてもらったか、と嬉しくて」
平井「あそこは気になるでしょ」
飯塚「多分、あそこは流して観てしまう人が多いんじゃないかな、と思ってます。その○○の意味を考えてもらえる感性が嬉しかったです」
平井「ありがとうございます」
(映画でぜひご確認ください)

画像2: 『MOON and GOLDFISH』撮影現場スチール

『MOON and GOLDFISH』撮影現場スチール

飯塚「最後に映画の宣伝、お願いできますか」
平井「え・・・と・・・モノクロです。でもそこには色があります。小難しい感じではなくストレートな映画なので、お気軽に劇場でご覧ください」
飯塚「ありがとうございます」
平井「ありがとうございました」

MOON and GOLDFISH
監督:飯塚冬酒
2022年|日本|63分|5.1ch|スタンダードサイズ
製作・配給:GACHINKO Film
http://g-film.net/moon/
6月24日(土)~新宿K's cinema
7月8日(土)~横浜シネマ・ジャック&ベティ

撮影現場スチール:塩出太志 / インタビュー写真:岩川雪依 / ヘアメイク:ayadonald

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