この度、中央アジアの巨匠バフティヤル・フドイナザーロフ監督の特集上映『再発見!フドイナザーロフ ゆかいで切ない夢の旅』が、2023年6月3日(土)よりユーロスペースほか全国順次開催する運びとなりました。
中央アジアが生んだ早世の天才バフティヤル・フドイナザーロフ。
今世界が再注目する、やさしさとユーモアにあふれたファンタジックな作品群!
日常の小さな冒険やちょっとした驚きをユーモアですくいとり、中央アジアのおおらかな大地にファンタジックな世界を生みだしたバフティヤル・フドイナザーロフ監督。1991年、ソビエト連邦の解体により母国タジキスタンが独立したその年に、弱冠26歳で軽やかにデビュー。のちに勃発した内戦中も映画を撮り続け、6本の長編映画を遺し49歳の若さで急逝した。フドイナザーロフ作品の人々は、たとえ内戦下にあっても笑い、怒り、恋をし、そして旅に出る。ひたむきで逞しい彼らがおりなす、ゆかいで切ない夢のような物語は、普遍的なきらめきを放ち世界中のファンに愛された。
≪バフティヤル・フドイナザーロフ Bakhtiyar Khudoinazarov≫
1965年6月29日タジキスタン共和国ドゥシャンベ生まれ。20歳でモスクワの全ロシア国立映画学校の監督科に入学。卒業後ドゥシャンベに戻り26歳の時に撮った初長編作品『少年、機関車に乗る』がトリノ国際映画祭、マンハイム国際映画祭、ナント国際映画祭でグランプリを受賞、またベルリン国際映画祭や香港国際映画祭へも出品され世界の映画シーンに軽やかにデビューした。93 年の『コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って』では見事ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞。続く99年の『ルナ・パパ』もヴェネツィア国際映画祭に出品され、東京国際映画祭優秀芸術貢献賞を受賞した。2002年の『スーツ』(劇場未公開)では東京国際映画祭審査員特別賞、優秀芸術貢献賞をダブル受賞。2015年4月21日、滞在先のベルリンで死去。享年49歳。
中央アジアってどこ?フドイナザーロフって誰?
摩訶不思議なあらすじを読んだだけでは伝わらない!
著名人コメント到着‼
竹中直人さん、倉持明日香さん(元AKB48)もファンタスティックでユーモラスなフドイナザーロフの世界に夢中!
■竹中直人(俳優・映画監督)
なんてチャーミングなスラップステック!どのカットも目が離せない。美しくて夢のようで、優しさに満ち溢れた映画だった!──『ルナ・パパ』
■倉持明日香(タレント)
“土って美味しいのかな”鑑賞後、ふとそんな疑問が浮かびます。デブちんと呼ばれる弟が愛おしくてたまらないのと同時に、他の国では何と訳されているのか気になりました。
まるで一緒に旅をしているかのようなカメラワークに惹き込まれ、素朴なのに強く、荒々しいのに温かい、ロードムービーの傑作です。──『少年、機関車に乗る』
■篠崎誠(映画監督、立教大学現代心理学部映像身体学科教授)
フドイナザーロフの映画は古びるどころか歳月を経て一層スクリーンに輝いてみえた。またいつか杯を重ねたかった。あなたの五十代、六十代の映画が見たかった。バフティヤル、美しい映画を残してくれて、ほんとうにありがとう。
■鈴木卓爾(映画監督・俳優)
人と人の、人と乗り物の、温もりや匂いやハートの近さ。何にも似てないオリジナルなエンタメ!実写ジブリかよ!こんな映画をつくりたいなあと90年代の日本で切望した、フドイナザーロフ!また出会えるなんて!まだ生きててよかった!
プログラム
世界的に再評価中央アジアの巨匠バフティヤル・フドイナザーロフ監督の珠玉の4作品を一挙公開
上映作品
『少年、機関車に乗る』(1991)2Kレストア版
監督:バフティヤル・フドイナザーロフ
出演:チムール・トゥルスーノフ、フィルズ・サブザリエフ
1991年/タジキスタン・旧ソ連合作/98分/モノクロ/1:1.33/モノラル
1991年マンハイム国際映画祭グランプリ、カトリック批評家賞、FIPRESCI賞
1992年トリノ国際映画祭グランプリ
2022年ヴェネツィア国際映画祭ヴェネツィア・クラシックス正式出品 他
数々の国際映画祭でグランプリを受賞したフドイナザーロフ監督26歳のデビュー作。17歳のファルーと7歳のアザマット兄弟は、遠い街で暮らす父に会うために機関車に乗って旅に出る。駅でもないのに運転士の家で止まったかと思えば、トラックとの競争が始まったり、悪ガキが石を投げつけてきたり。列車の旅は予期せぬ出来事の連続だ。機関車は大平原をガタゴトと走り、彼らを父のもとへと運んでいくが…。セピア色の画面にユーモラスな詩情があふれるレール・ロードムーヴィー。
『コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って』(1993)4Kレストア版
監督:バフティヤル・フドイナザーロフ/
出演:パウリ―ナ・ガルヴェス、ダレル・マジダフ
1993年/タジキスタン/96分/カラー/1:1.66/モノラル
1993年ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞監督賞
内戦下のタジキスタン、ドゥシャンベでロープウェイの操縦士をするダレルは、父親に賭博のかたにされたモスクワ帰りの都会的な娘ミラに一目ぼれ。恋のかけひきも知らないダレルはひたすらにミラを追いかける。銃声が轟く戦時下にあっても変わらない人々の日々の営みを交えながら、ロープウェイのように行きつ戻りつする二人の恋を、みずみずしく描いたラブ・ストーリー。本作の撮影中に内戦が勃発し、銃撃戦の様子などがすぐさま脚本に取り入れられた。
『ルナ・パパ』(1999)4Kレストア版
監督:バフティヤル・フドイナザーロフ/
出演:チュルパン・ハマートヴァ、モーリッツ・ブライプトロイ、アト・ムハメドシャノフ
1999年/ドイツ・オーストリア・日本合作/110分/カラー/1:1.66/ドルビーSRD
1999年ヴェネツィア国際映画祭正式出品
1999年東京国際映画祭最優秀芸術貢献賞
1999年ナント三大陸映画祭グランプリ、観客賞
マムラカットは女優を夢見る17歳の少女。ある月の晩、暗闇から声をかけてきた男の子どもを宿してしまうが、男は忽然と姿を消す。古いしきたりの村で周囲から冷たい仕打ちを受けるなか、マムラカットは父と兄とともに男を探す旅に出る。シャガールの絵画のように美しい村を舞台に、未来を切り開こうとする少女がくり広げる荒唐無稽な極上のファンタジー。マムラカットは「国家」「大地」を意味する言葉。
『海を待ちながら』(2012)
監督:バフティヤル・フドイナザーロフ
脚本:セルゲイ・アシケナージ
出演:エゴール・ベロエフ、アナスタシア・ミクリチナ、デトレフ・ブック
2012年/ロシア、ベルギー、フランス、カザフスタン、ドイツ、タジキスタン/110分/カラー/1:1.85/ドルビー5.1
フドイナザーロフ最後の作品。船長マラットはアラル海を航海中に大嵐に遭遇し、妻や仲間を失った。心に傷を負った彼はある決意を胸に、今では干上がってしまった海に戻り、荒野に佇む自分の船と対面する。そして船を引きずって水のない海を横断する無謀な旅に出る。贖罪を求め彷徨うマラットはどこに行き着くのか。半世紀で
10分の1にまで干上がった、カザフスタンとウズベキスタンにまたがる大湖・アラル海を舞台に、監督の中央アジア人としての思いが投影された壮大な夢の物語。
特集上映「再発見! フドイナザーロフ ゆかいで切ない夢の旅」予告編
◆公開記念トークイベントスケジュール @ユーロスペース◆
※すべて上映後のトークイベント
6月3日(土)14:00回『少年、機関車に乗る』
ゲスト:篠崎誠(映画監督・立教大学現代心理学部映像身体学科教授)
6月4日(日)14:00回『ルナ・パパ』
ゲスト:奈倉有里(ロシア文学翻訳者)
6月10日(土)14:00回『海を待ちながら』
ゲスト:坂井弘紀(和光大学教授 中央ユーラシア文化史・テュルク叙事詩研究)
6月11日(日)14:00回『コシュ・バ・コシュ』
ゲスト:沼田元氣(写真家詩人)
※スケジュールは劇場HPをご確認ください。
※ゲスト、イベント内容は予告なく変更となる場合がございます。ご了承ください。
◆リピーター特典◆
これは可愛すぎる!!『少年、機関車に乗る』世界を魅了するファニーフェイス★デブちんオリジナルステッカー
☆☆“デブちん”は、『少年、機関車に乗る』主人公の弟アザマットのあだ名☆☆
会期中『再発見!フドイナザーロフ ゆかいで切ない夢の旅』上映作品を複数ご鑑賞の方に、
下記特典がございます。※数量限定(
チケット半券を劇場受付にご提示ください)
★2作品ご鑑賞: デブちん・オリジナルステッカー
★4作品ご鑑賞: デブちん・オリジナル★キラキラ★ステッカー