「佐伯祐三─自画像としての風景」展が東京ステーションギャラリーと大阪中之島美術館で開催されます。会期は東京会場が開催中で4月2日まで、大阪会場が4月15日〜6月25日です。

およそ100年前、大阪、東京、パリの3つの街に生き夭折した画家・佐伯祐三。その代表作が一堂に会する場所が、同じくおよそ100年前に建設された東京駅を改修してつくられた東京ステーションギャラリーという素晴らしい体験ができます。時間を留めた煉瓦の壁は、なんとなく佐伯が歩いていたパリの風景につながるような気がします。

みどころが二つ挙げられています。

1. 佐伯祐三の代表作が一堂に集結

二度の渡仏を経て、30歳で夭折した佐伯祐三が、本格的に画業に取り組んだのはわずか4年余りです。本展では、その短い画業の中で佐伯祐三が残した作品から、選りすぐりの代表作を一堂に公開します。

2. 風景を切り口に生涯を通覧。
東京、大阪を描いた作品も充実

佐伯が主に描いたのは、自身が生きる街を題材とした風景画です。本展では特に日本で描かれた東京(下落合)、大阪(滞船)の作品を充実させて紹介。佐伯が発見した風景を、パリはもとより、東京、大阪というそれぞれの街にからめて鑑賞し、佐伯芸術が花開く過程を一望するまたとない機会を提供します。

展示構成

本展はプロローグ、エピローグを含めた5部構成となっています。
「プロローグ:自画像」では、佐伯の学生時代の作品を中心に、顔が削り取られた《立てる自画像》などが紹介されています。

画像: 中央:佐伯祐三 《立てる自画像》 1924年 大阪中之島美術館 photo©️saitomoichi

中央:佐伯祐三 《立てる自画像》 1924年 大阪中之島美術館
photo©️saitomoichi

 第1章「大阪、東京」では、一時帰国していた佐伯が集中的に描いた東京の「下落合風景」や大阪の「滞船」が並びます。佐伯自身が「絵にならない」とこぼしていた日本の景色ですが、これらの作品群からは、パリで街景に向き合った視点を応用しつつ、中空に伸びる線という新しい要素を見出していく画家の取り組みが見られ興味深いです。

画像: 左:佐伯祐三 《下落合風景》 1926年頃 和歌山県立近代美術館、右:佐伯祐三 《下落合風景》 1926年頃 個人蔵 photo©️saitomoichi

左:佐伯祐三 《下落合風景》 1926年頃 和歌山県立近代美術館、右:佐伯祐三 《下落合風景》 1926年頃 個人蔵
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画像: 左:佐伯祐三 《滞船》 1926年 神奈川県立近代美術館、右:佐伯祐三 《滞船》 1926年頃 ENEOS株式会社 photo©️saitomoichi

左:佐伯祐三 《滞船》 1926年 神奈川県立近代美術館、右:佐伯祐三 《滞船》 1926年頃 ENEOS株式会社
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第2章「パリ」では「壁のパリ」と「文字と線のパリ」というふたつのテーマで展示が展開します。重厚な石壁の質感を厚塗りの絵具で表現する独自の作風に到達した様子が見られる《コルドヌリ(靴屋)》や、佐伯祐三といえば想起される、広告の文字と画面を跳躍する線描による《ガス灯と広告》などの代表作が連なります。また、佐伯は同じモチーフを何度も描く事があり、その比較も面白いでしょう。

画像: 左:佐伯祐三 《コルドヌリ(靴屋)》 1925年 石橋財団アーティゾン美術館、右:佐伯祐三 《コルドヌリ(靴屋)》 1925年頃 茨城県近代美術館 photo©️saitomoichi

左:佐伯祐三 《コルドヌリ(靴屋)》 1925年 石橋財団アーティゾン美術館、右:佐伯祐三 《コルドヌリ(靴屋)》 1925年頃 茨城県近代美術館 
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画像: 左:佐伯祐三 《ガス灯と広告》 1927年 東京国立近代美術館 photo©️saitomoichi

左:佐伯祐三 《ガス灯と広告》 1927年 東京国立近代美術館
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 第3章「ヴィリエ=シュル=モラン」には、亡くなる約半年前の1928年2月にパリ郊外の小さな村ヴィリエ=シュル=モランに滞在したときの作品群が並びます。

画像: 左:佐伯祐三 《モラン風景》 1928年 大阪中之島美術館、右:佐伯祐三 《煉瓦焼》 1928年 大阪中之島美術館 photo©️saitomoichi

左:佐伯祐三 《モラン風景》 1928年 大阪中之島美術館、右:佐伯祐三 《煉瓦焼》 1928年 大阪中之島美術館
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最終章の「エピローグ」では1928年3月頃に制作された、白髭の郵便配達夫と、ロシアの亡命貴族の娘をモデルとした室内での人物画、そしてわずかに体力が回復した際に戸外で描いたという二つの扉の絵を紹介しています。
扉の絵はどちらも自由な線でデフォルメされており、現実の扉というより佐伯の目を通して投影された、まさしく画家の最後の自画像といえるものでしょう。

画像: 左:佐伯祐三 《ロシアの少女》 1928年 大阪中之島美術館、右:佐伯祐三 《郵便配達夫》 1928年 大阪中之島美術館 photo©️saitomoichi

左:佐伯祐三 《ロシアの少女》 1928年 大阪中之島美術館、右:佐伯祐三 《郵便配達夫》 1928年 大阪中之島美術館
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画像: 左:佐伯祐三 《黄色いレストラン》 1928年 大阪中之島美術館、右:佐伯祐三 《扉》 1928年 田辺市立美術館(脇村義太郎コレクション) photo©️saitomoichi

左:佐伯祐三 《黄色いレストラン》 1928年 大阪中之島美術館、右:佐伯祐三 《扉》 1928年 田辺市立美術館(脇村義太郎コレクション)
photo©️saitomoichi

佐伯の代表作を網羅するとともに展覧会初出品となる作品も出展されています。15年ぶりの大回顧展となる本展は、佐伯裕三の魅力を再発見できる必見の展覧会です。

概要

東京展
会期:開催中〜2023年4月2日(日)
会場:東京ステーションギャラリー Google Map
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
時間:10:00〜18:00 (最終入場時間 17:30)
   ※金曜日は、20:00まで(最終入場時間 19:30)
休館日:月曜日、3月27日は開館
観覧料:一般 1,400円、高校・大学生 1,200円、中学生以下 無料
※障がい者手帳等持参の方は100円引き(介添者1名は無料)
TEL:03-3212-2485
URL:http://www.ejrcf.or.jp/gallery

大阪展
会期:2023年4月15日〜6月25日
会場:大阪中之島美術館 5階展示室
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
開場時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、5月1日は開館
観覧料:一般 1,800円(前売・団体 1600円)、高校・大学生 1,500円(前売・団体 1300円)、小中生 500円(前売・団体 300円)
※障がい者手帳等持参の方(介護者1名含む)は当日料金の半額(要証明)。
*前売券販売期間:2023年2月15日(水)10:00 – 4月14日(金)
TEL:06-4301-7285
URL:https://nakka-art.jp

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「佐伯祐三─自画像としての風景」展シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2023年2月19日 日曜日 24:00
記載内容
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