このたび、国立国際美術館(大阪市北区)において、2023年2月4日(土)から5月21日(日)まで「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展―ピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティ」が開催されます。
本展は世界有数のドイツの美術館より来日した珠玉の20 世紀美術コレクションが一堂に会する展覧会で、ピカソ作品35点を含む76点が日本初公開となっています。

コレクターであるドイツ生まれの美術商ハインツ・ベルクグリューン(1914-2007 年)は、1948 年からパリで画廊を経営しながら、世界有数の個人コレクションを作りあげました。
「最高の顧客は自分自身」というアート・ディーラーが厳選した 20 世紀美術コレクションは、1996 年から、生まれ故郷であるベルリンのシャルロッテンブルク宮殿に面した建物の中で公開され、2000 年には主要作品をドイツ政府が購入、2004 年にはベルクグリューン美術館と改称されました。ベルリン国立美術館群ナショナルギャラリーに属し、数々の展覧会を開催し、世界的な評価を得ている美術館です。

ベルクグリューンは晩年まで作品の購入と放出を繰り返し、コレクションに際立った特色を持たせるよう努め、最終的には、彼が最も敬愛した同時代の 4 人の芸術家たち、パブロ・ピカソ、パウル・クレー、アンリ・マティス、 アルベルト・ジャコメッティの作品に重点が置きました。この 4 人に彼らが共通して師と仰いだモダンアートの祖、 ポール・セザンヌも加えた、粒選りの作品からなるコレクションは、創造性と生命力にあふれた 20 世紀の巨匠たちの芸術を堪能させてくれます。

ベルクグリューン美術館の改修を機に実現した今回の展覧会は、ピカソを中心に、クレー、マティス、ジャコメッティなど来日する97点のうち76点が日本初公開となり、日本の国立美術館の所蔵・寄託作品11点を加えた合計108点で構成されています。
ベルクグリューン美術館の設立後、館外でまとめてコレクションが紹介される貴重な機会となっています。是非、稀代のコレクターが情熱を注いで選び抜いた素晴らしい作品に出逢ってください。

画像1: 展覧会風景 photo by ©cinefil

展覧会風景 photo by ©cinefil

ハインツ・ベルクグリューン(1914-2007 年)

ハインツ・ベルクグリューンは 1914 年にベルリンでユダヤ人の家庭に生まれますが、1936 年、ナチス政権の抑圧を逃れてアメリカに渡り、フリーの美術ジャーナリストとして活動した後、サンフランシスコ美術館に勤務。第二次世界大戦従軍後は、パリで画廊を開き、やがて世界的な画商となります。
作品のみならず芸術家の人となりにも深い関心を持ち、ピカソ、マティスなどの作家や詩人、文学者と親交を深めます。自分の心に適う限られた作家の作品収集に専念し、一貫性のある個性豊かなコレクションを作り上げました。
「私は一貫して根気よく収集し続けることによって、誰にも増して、20世紀全般の生の実感を宿して生きた、人間ピカソの世界の輪郭を捉えようとした」と、ベルクグリューンは述べていました。
(ハインツ・ベルグラン[ベルクグリューン]著、田部淑子訳『最高の顧客は私自身』河出書房新社、2001年、p.225)

画像2: 展覧会風景 photo by ©cinefil

展覧会風景 photo by ©cinefil

それでは、シネフィルでもいくつかの作品を観ていきましょう。

クレーの宇宙

画像: パウル・クレー 《中国の磁器》1923年 水彩・グアッシュ・ペン・インク、石膏ボード、合板の額 ベルリン国立ベルクグリューン美術館 © Museum Berggruen – Nationalgalerie, SMB / bpk / Jens Ziehe

パウル・クレー 《中国の磁器》1923年
水彩・グアッシュ・ペン・インク、石膏ボード、合板の額
ベルリン国立ベルクグリューン美術館
© Museum Berggruen – Nationalgalerie, SMB / bpk / Jens Ziehe

ベルクグリューンにとって、ピカソが畏敬の対象であった一方、パウル・クレーは深い共感を覚える画家でした。
造形的な考察とロマン主義的な想像力が融合したクレーの芸術は、機知と詩情に溢れた豊かな宇宙を成しています。本展では第一次世界大戦の終わりから、バウハウス時代にかけての作品を中心に紹介されています。
キュビスムの影響や、生命の源泉であるエロスの象徴としての女性像など、ピカソと比較できる側面にも注目します。

画像: パウル・クレー 《子どもの遊び》 1939年 糊絵具・水彩、厚紙 ベルリン国立ベルクグリューン美術館 © Museum Berggruen – Nationalgalerie, SMB / bpk / Jens Ziehe

パウル・クレー 《子どもの遊び》 1939年
糊絵具・水彩、厚紙
ベルリン国立ベルクグリューン美術館
© Museum Berggruen – Nationalgalerie, SMB / bpk / Jens Ziehe

画像3: 展覧会風景 photo by ©cinefil

展覧会風景 photo by ©cinefil

マティス:安息と活力

ピカソと並ぶ 20 世紀の巨匠マティス。彼の油彩・素描・彫刻と、躍動感に溢れる 1940 年代の希少な切り紙絵が紹介されています。純粋な色彩と簡潔なデッサンを一体化した切り紙絵は、今日ではマティス晩年の偉大な達成と見做されていますが、すぐにはその真価が認められませんでした。切り紙絵に特化した最初の展覧会を開いて評価を促したのが、まだ若きベルクグリューンその人でした。

画像: アンリ・マティス 《雑誌『ヴェルヴ』第4巻13号の表紙図案》1943年 切り紙、カンヴァスに貼り付け ベルリン国立ベルクグリューン美術館、ベルクグリューン家より寄託 © Private Collection, on loan to Museum Berggruen – Nationalgalerie, Staatliche Museen zu Berlin / bpk /Jens Ziehe

アンリ・マティス 《雑誌『ヴェルヴ』第4巻13号の表紙図案》1943年
切り紙、カンヴァスに貼り付け
ベルリン国立ベルクグリューン美術館、ベルクグリューン家より寄託
© Private Collection, on loan to Museum Berggruen – Nationalgalerie, Staatliche Museen zu Berlin / bpk /Jens Ziehe

フォービスムを代表するフランスの画家マティス。
マティスの本作は「世界で最も美しい美術雑誌」といわれるフランスの美術雑誌「ヴェルヴ」の表紙として取り上げられ、リトグラフによる版画も多数掲載されました。

画像4: 展覧会風景 photo by ©cinefil

展覧会風景 photo by ©cinefil

画像: アンリ・マティス《⻘いポートフォリオ》1945年 油彩、カンヴァス ベルリン国立ベルクグリューン美術館 © Museum Berggruen – Nationalgalerie, SMB / bpk / Jens Ziehe

アンリ・マティス《⻘いポートフォリオ》1945年
油彩、カンヴァス
ベルリン国立ベルクグリューン美術館
© Museum Berggruen – Nationalgalerie, SMB / bpk / Jens Ziehe

《⻘いポートフォリオ》というタイトルにもかかわらず、鮮やかな赤色が圧倒的に多くを占める室内を描いた作品。
マティスは晩年大病により体力が落ちてからは、切り紙絵を制作していましたが、その頃に描いたものです。

空間の中の人物像: 第二次大戦後のピカソ、マティス、ジャコメッティ

画像: アンリ・マティス《縄跳びをする⻘い裸婦》1952年 切り紙、 紙の支持体 ベルリン国立ベルクグリューン美術館 © Museum Berggruen – Nationalgalerie, SMB / bpk / Jens Ziehe

アンリ・マティス《縄跳びをする⻘い裸婦》1952年 切り紙、 紙の支持体
ベルリン国立ベルクグリューン美術館 © Museum Berggruen – Nationalgalerie, SMB / bpk / Jens Ziehe

マティスは青色の切り紙絵による裸婦を多く制作しました。一色のみを用いた作品は、「色彩のマティス」と言われ、「色そのものを切り出す」というマティスの考え方がよく表れています。

画像5: 展覧会風景 photo by ©cinefil

展覧会風景 photo by ©cinefil

画像: アルベルト・ジャコメッティ《ヴェネツィアの女 Ⅳ》 1956年 ブロンズ ベルリン国立ベルクグリューン美術館 © Museum Berggruen – Nationalgalerie, SMB / bpk / Jens Ziehe

アルベルト・ジャコメッティ《ヴェネツィアの女 Ⅳ》 1956年
ブロンズ
ベルリン国立ベルクグリューン美術館 © Museum Berggruen – Nationalgalerie, SMB / bpk / Jens Ziehe

ジャコメッティは主に彫刻家として知られていますが、絵画や版画の作品もあります。
第二次世界大戦以前にはシュルレアリスムの彫刻家と見なされていたのですが、大戦後に作られた、針金のように極端に細く、長く引き伸ばされた人物彫刻が有名で、実存主義的と見なされています。

ベルクグリューンを魅了した20世紀を彩る巨匠たち、個性的な形態のピカソや強烈な色彩のマティス、造形的でロマン主義的なクレーなどの独創的な世界を是非、この機会にご堪能ください。

展覧会概要

【展覧会名】ピカソとその時代  ベルリン国立ベルクグリューン美術館展―ピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティ
【会 期】 2023年2月4日(土)~5月21日(日)
【開館時間】10:00~17:00 ※金・土は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
【 休館日 】 毎週月曜日 ※5月1日(月)は開館
【会 場】国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
【料 金】一般:2,100円(1,900円)大学生:1,300円(1,100円)高校生:900円(700円)
※()内は前売・20名以上の団体料金
※中学生以下無料
※前売券は、2023年2月3日(金)まで販売。
【主 催】国立国際美術館、ベルリン国立ベルクグリューン美術館、産経新聞社、MBSテレビ、共同通信社
【後 援】大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館、ゲーテ・インスティトゥート大阪・京都
【協 賛】DNP大日本印刷、あいおいニッセイ同和損保
【協 力】日本航空、ルフトハンザ カーゴ AG、ヤマト運輸、ダイキン工業現代美術振興財団
【お問い合わせ】国立国際美術館 TEL:06-6447-4680

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」@大阪シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2022年2月27日 月曜日 24:00
記載内容
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